英語
ライティングメソッド(Standard, Advanced)を用いた授業実践~オンライン添削を通して,ライティング指導をより継続的な指導へとつなげるために~
- 近江兄弟社高等学校
- 大川 広海
1. はじめに
本校,近江兄弟社高等学校は,創立者ウィリアム・メレル・ヴォーリズと一柳満喜子によって創立されたキリスト教主義の私立高等学校である。歴史ある学園となっており,2026年で創立104年を迎える。礼拝を通してイエス・キリストを模範とする人間教育を実践し,海外との姉妹校との留学や国際交流を中心としたグローバル教育を展開している。本校には生徒の個性や進路に応じた4つのコース(アーツサイエンスコース,グローバルコース,ヒューマンネイチャーコース,国際コミュニケーションコース)が設置されており,その中でも「国際コミュニケーションコース(以下,ICC)」は,高度な英語力の習得と異文化理解を重視した専門性の高いコースだ。 ICCでは,生徒全員が「高校卒業までに英検2級以上を取得する」という明確な目標を掲げ,日々英語学習に取り組んでいる。
2. 教材採用の経緯
ICCでは,専門英語科目の一つとして「Essay Writing」を開講しており,本科目は,2023年度に新設された,英語ネイティブ教員と日本人教員によるチームティーチング(TT)形式で展開される授業である。 開講初年度は教員が独自に教材やワークシートを作成し,テーマ設定からブレインストーミング,エッセイ執筆,定期試験を通じた評価までを行っていた。しかし,生徒一人ひとりが執筆した英文の添削や授業準備にかかる時間と労力が非常に大きく,指導の持続可能性や効率性に課題を抱えており,生徒が作成したライティングに対して十分な指導や振り返りをさせることができていなかった。 そこで導入したのが,啓林館のスマートレクチャーコレクション「ライティングメソッド」だ。本教材を採用した決め手は,以下の3点にある。
➀オンライン添削機能の充実 →教員の添削負担を軽減しつつ,生徒へ質の高いフィードバックを提供できる。
②英文法の再確認 →単に英文を書くだけでなく,根幹となる英文法知識をあわせて定着させることができる。
③ICT端末の活用 →本校では生徒が1人1台のChromebookを所持しているため,オンライン添削サービスとの親和
性が非常に高く,生徒が「いつでも・どこでも」自身のライティングに対する添削結果を確認
し,復習に活かせる学習環境を構築できる。 これらの要素が,本校ICCの目指すライティング指導と合致したため,正式な導入へと至った。
3. 教材の使用方法・授業形態
本校では,高校2年生で「ライティングメソッド Standard(10題)」を,高校3年生で「ライティングメソッド Advanced(5〜10題)」を活用し,段階的な指導を行っている。学年ごとの授業スケジュールは以下の表のように行っている。
Essay Writing 指導スケジュール(2年生:Standard /3年生:Advanced)
| 授業コマ | 高校2年生:Standard
(10題) |
高校3年生:Advanced
(5〜10題) |
| 1時間目 | ・Warming-up(文法問題)の解答・解説 |
・Warming-upの解答・解説 ・論題に関するグラフや図表からの情報整理・分析 |
| 2時間目 |
・Food for thought (テーマに沿った自分自身の意見や考えをシェアする)
・Brainstorming
・英文作成作業 |
・付属コラムやWeb記事を活用したグループワーク(背景知識の構築) ・記事内容の要約および班別発表 ※ 写真1参照 |
| 3〜4時間目
(2年生は1単元で3時間 3年生は,1単元で4時間の構成) |
・1時間目の文法問題に関する小テストの実施 ・授業時間内でのエッセイ入力・提出 |
・エッセイの執筆準備および入力・提出 |


※写真1
4.導入に際して大切にしているポイント
本教材を活用するにあたり,最も重視しているのは「生徒が英文を書くことに慣れ,添削結果を次回に繋がる自律的な学びに昇華させること」である。単に英文を書いて提出し,返却された結果やスコアだけを見て終わりにしてしまっては,ライティング力の本質的な向上には繋がらない。そのため,毎回の添削結果が返却されたタイミングで,課題として「添削レポート」の提出を生徒に義務付けている。※2
※2 添削レポートの例


この「添削レポート」では,生徒自身に以下の3点において,まとめさせている。 ➀ミスの分析
→添削されたエッセイで修正されている箇所がどこかを再確認させる。どのような「文法」や「構成」で間違っていたのかを振り返らせる。
②添削者からのアドバイスの読み込み
→添削者のコメントを精読し,どのような指導や指摘を受けたか。英語で書かれた添削コメントをじっくりと読み込ませる過程は,英文を正確に読み解くリーディング力の強化にも寄与している。
③振り返りと次回への目標
→今回の良かった点・悪かった点を分析し,次回に向けた改善策は何か。また,継続的な添削を受ける中でどのようなことに注意を払い英文を作成したかについても振り返らせる。そうすることで,これまでの添削が生かせるようになったかどうかを振り返ることができる。
この添削レポートを評価基準に組み込むことで,「添削されて終わり」ではなく,自身の弱点や癖を正しく把握し,次回のエッセイ執筆へ活かす持続的な指導サイクルを実現している。
5.導入してからの変化
「ライティングメソッド」および「添削レポート」を組み合わせた指導の実践により,生徒の学習姿勢や成果,ならびに教員の指導環境において明確な変化が表れている。 単に英文を書くだけでなく,自身の意見を英語で表現し,添削を通じて振り返りを行うことで,英語ライティングに対する生徒たちの興味・関心が大きく高まった。授業中に「この文法はどう使えばより意図が伝わるか」「自身の意見を効果的に表現するにはどう書くべきか」といった具体的な質問が生徒一人ひとりから自然と増え,より能動的に学びへ向かう姿勢が見られるようになっている。
また,添削者からのコメントと自身のミスを客観的に見つめ直すことで,同様の文法ミスや構成上の不自然さが回を重ねるごとに減少しているだけでなく,表現の幅や論理性が増し,本コースの目標である「高校卒業までの英検2級以上取得」に向けた強固な土台作りとなっている。
添削にかかる時間と労力が軽減されたことで,教員は授業内でのブレインストーミングのファシリテーションや,生徒からの個別の質問に対する細やかなサポートなど,対面授業ならではの質の高い指導に十分な時間と情熱を注げるようになった。
6. 終わりに
私自身,これまで英語のライティング指導において膨大な時間をかけて英文を添削し,生徒に返却するものの,生徒は添削をみて,間違っている箇所がたくさんあったなどの感想しか持てず,どのようにすれば,添削中の細かなアドバイスやミスの原因を探究することができるのかを模索していた。そんな中で「ライティングメソッド」を活用した「添削レポート」との連携した指導は,生徒の英語ライティングにおける主体的な学びを促進させているのだと考える。まだまだ未完成ではあるものの,この教材のさらなる可能性を教員自身も探究していきたい。






























































