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理科

理系選択希望者への力学的エネルギー保存の法則の指導の一例

清風高等学校 山田 裕之

1.はじめに

本校では,高等学校1年生の全生徒が物理基礎を履修している。そして,ここでの物理の学習状況が,高等学校2年からの文理選択に大きな影響を与える。そのために物理の教員は,どのような授業を展開するべきかで常に頭を悩ませることになる。理解の難しい複雑な物理現象を扱ったり,煩雑な計算などをさせる機会が増えると,物理離れを招いて理系選択者を減らすことにつながりかねない。しかし,興味・関心を抱かせることばかりを考えて体験学習的な授業を中心に展開し,物理法則についての概念などの細かい説明や公式の導出過程の計算などを後回しにしていると,理系選択者は増えるかもしれないが,実際に理系に進んだ後で直面する,大学入試を意識して行う現実の学習に苦悩する生徒が出てくることになる。このようなジレンマの中で,高等学校1年生に行う物理基礎の授業を試行錯誤している。

しかし,指導するクラスの性質によっては,このようなジレンマにあまり陥ることなく授業を展開できる場合もある。習熟度別のクラス編成を実施している本校の場合,習熟度の高いクラスでは理論的な知への欲求が強く,また理系志望者が多数を占める傾向にある。したがって,このような性質のクラスでの授業では,理系を選択し,さらには物理を選択することを前提として,通常のクラスよりも掘り下げた内容を展開できるのである。

今回取り上げた鉛直ばね振り子における力学的エネルギー保存の法則について,物理基礎の授業としてどこまで説明をするべきかは,指導するクラスの習熟度や理系志望者の割合によって熟慮を要する。また,鉛直ばね振り子については,ことさらに物理基礎の授業で掘り下げた説明をしなくても,理系選択者は「単振動」の単元でこの鉛直ばね振り子を学ぶことになる。しかし,だからこそ逆にこの「単振動」の学習につなげるためにも,理系選択者には,鉛直ばね振り子における力学的エネルギー保存の法則の掘り下げた説明を加えておきたいとも思う。

今回は,鉛直ばね振り子における力学的エネルギー保存の法則について,習熟度が高く,理系志望者が多いクラスを前提に,これに属する生徒を意識した指導方法と授業の展開の一例を紹介してみる。

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