高等学校の教科書・教材|知が啓く。教科書の啓林館
理科

「センサー物理」は実力養成問題の宝箱 その利用例

学校法人松韻学園福島高等学校 斎藤 浩樹

1.はじめに

本校の生徒の実力レベル
地方国立大学,私大(偏差値55の前後が混じっている状態,「説明は丁寧に」が基本)

本校の課程

<2年次>
物理基礎と生物基礎…各2単位(4~9月)
物理または生物の選択…2単位(10~3月)
  • 4~9月に物理基礎の熱まで
  • 10~3月に物理の剛体,運動量,円運動,単振動
<3年次>
物理…4単位
  • 4~1月にやっと終了,ただし原子分野はごく簡単に

2.問題集の利用と目標

<物理基礎>

例題の多い問題集を利用し,例題の重要性を認識させる

<物理>

2年次にセンサー総合物理の剛体から利用する。力学終了後前に戻る場面も。
物理基礎における例題の重要性の認識から,次の段階を意識させるように誘導。
  ↓

力学の学習を発展させるうえでの難しさは,力,エネルギー,運動量,熱などから成る「体系」と「各部分」の関連付けにあると思われ,電磁気も同様と感じている。

3.センサー総合物理の利用例

「上下に重ねた2物体の問題」の例

(問題やページ番号はセンサー総合物理より)

① p.32の例題6,ABを重ね,下のBを力Fで引く。一体で動く時とAが滑る時。

② p.37の問題58,ABを重ね,上のAに初速度を与える。AがB上を滑りながら,やがて一体となり運動する。

③ (p.132の問題234,単純な合体)

(p.134の問題240,弾丸の打ち込み)

p.135の問題247,ABを重ね,上のAに初速度を与えるとAがB上を滑りながら,やがて一体となり運動する。

  ↓

各問題の基本ポイント

①と② 物理基礎での「2物体の運動方程式」と,「摩擦力」の取り扱い。

 ③  物理の「運動量保存の法則」。

  ↓

視点の追加 (ねらい:思考力を「センサーの実力問題のレベル」に引き上げること)

  • 合体とは,「反発係数」=0という見方 → 「力学的エネルギー」の損失が最大

  ↓

指導の留意点(視点の多角化)

  • 摩擦を伴う合体は,摩擦力から「運動方程式」のみを連想させ,「運動量」まで考えが及ばないで終わってしまう。また,その逆もありうる。それらをつなげていく。
  • 「力学的エネルギーの損失に目を向けること」は,「力学的エネルギー保存の法則で考えが留まりやすい生徒の注意喚起」になる。
  • 「摩擦による力学的エネルギーの損失」は「熱の発生」へとつながっていく。

※物理での式の形について

ma=F(外力),⊿E=W(外力),⊿P=I(外力),⊿U=Q(外から)+W(外から)の形

4.終わりに

物理の入口では,重い物(鉄球)と軽い物(羽)が,空気抵抗なしでは同時に落ちるという「日常の経験」の及ばない,まるで「感覚(経験)と真実(物理法則の基礎)とが脳内で戦うような場面」がある。

ここを,乗り越えさせるため,センサーの問題は「ステップが細かく分けられ,基本から応用まで,良く精選されている」と編纂の労苦を思いながら,その「センサーの力」を借り,熱意をもって感動的に説明を行う工夫をし,生徒に向き合っている。