資料請求
  • 英語

Share the Definition!
-英英辞典から広がる語彙・思考・表現活動-

中越高等学校 
萩野 俊哉  

2026.02.02

1.活動のねらい

語彙学習というと,日本語訳を覚える「暗記型」の活動が主流です。しかし,英語の意味を英語で理解する習慣を身につけると,語彙力はもちろん,表現力・思考力も大きく伸びます。

このShare the Definition!は,英英辞典の定義(definition)を核に,生徒が「英語で理解し,英語で表現する」ことを目的としたアクティビティです。授業内で簡単に導入できるゲーム的な活動から,ペアやグループでの自己表現・コミュニケーションへと展開できる点が特徴です。辞書的な学びを,言葉でつながる学びへと変えることを目指します。

2.活動の概要と位置づけ

この活動では,生徒は「単語を定義で理解し,説明し,使う」流れを体験し,かつ,コミュニケーション活動へ繋ぎます。定義を使った語彙指導は,英語4技能5領域をカバーし,総合的な英語力を伸ばします。

授業構成の一例:

  1. 【基礎編】定義を聞いて当てる(受容的活動)
  2. 【発展編】定義を自分で書く・話す(産出的活動)
  3. 【表現編】定義を用いて会話・発表する(自己表現,協働・コミュニケーション活動)

【基礎編1】Definition Guess(Criss Cross Game)

全員で楽しめる,定義当てゲームです。

手順

  1. クラス全員を立たせます。
  2. 教師が英英辞典を使い,定義を英語で読み上げます。
    例:“This is a large animal that has a long trunk.”
  3. 生徒は挙手し,教師が指名します。
    例:“An elephant.”
  4. 正解した生徒は,自分のいる列の縦列または横列のいずれかを選び,その列が着席します。

ヒントの与え方

  • “This word starts with the letter E.”
  • “This word has eight letters.”

教師の指示英語例

“Listen carefully and raise your hand when you know the answer.”
“If you get it right, choose a row or a column to sit down!”

指導のポイント

  • 立って行うことで集中力が高まり,英語が教室に“響く”。
  • 前回の語彙を使えば復習活動,これからの語彙なら導入・スキーマ活性化になる。
  • 生徒の正答を褒めるときは,
    “Good job! You caught the meaning perfectly.”
    などの自然な英語で応じると,授業全体が英語モードになる。

【基礎編2】Definition Grab(定義取りゲーム)

瞬発的に英語を聞き取り,理解するトレーニングです。

準備と手順

  1. ペアで正対して机を合わせ,中央に消しゴムを1つ置く。
  2. 教師が黒板にいくつか単語を書き,数種類の定義を読み上げます。そのうち1つだけが正しい。
    例:- “It’s a place where you can buy books.”
      - “It’s a place where you can eat lunch.”
      - “It’s a place where you can play games.
  3. 正しい定義が読まれた瞬間,先に消しゴムを取った生徒が答える。
    例:“A bookstore!”
  4. 正解でポイント獲得。

英語の指示文例

“Put an eraser between you.”
“Listen carefully to the definitions.”
“Grab it when you hear the correct one!”

バリエーション

  • 単語ごとに点数を変える。
  • 間違えたらマイナス点。
  • 早押しのようなスピード感で進めると盛り上がる。

学習効果
英語で聞いて即座に意味を判断する力が養われ,リスニングの基礎にもなる。

【発展編1】Definition Writing(定義を書く活動)

目標
自分の言葉で「定義を書く」ことで,語彙の理解をより深める。

手順

  1. 教師は3〜4語(例:river / freedom / friendship / challenge)を提示。
  2. 1語につき1分間,できるだけ多くの定義をノートに書く。
    例:“A long natural flow of water”
      “Water that moves from mountains to the sea.”
  3. ペアを作り,互いのノートを見せ合い,最もよい定義を選ぶ。
  4. その選んだ語について,二人で新しい定義を協力して作り直す。
  5. いくつかのペアがクラスで発表。教師が最後に辞書の定義を紹介。

教師のまとめの英語例

“Your definitions were really creative.
According to the dictionary, ‘river’ means〝a longnatural area of water that flows across

the land and into a sealake, or another river”.

評価とフィードバック

  • ノートを回収し,良い表現にはコメントを添える。
  • 「定義の内容」+「英語表現の正確さ」の両方を評価。
  • 辞書を使って確認する時間を設け,学びを自己修正型にする。

【発展編2】Definition Quiz(ペアでの定義クイズ)

活動のねらい
生徒が定義を“聞く・話す・当てる”中で,自然に会話が生まれる。

手順

  1. ペアを作り,教師が範囲や条件を指定(例:Lesson 4 の単語,名詞)。
  2. 一人がある単語の定義を言い,もう一人がその単語を当てて答える。
    例:A: “This is a person who helps sick people.”
      B: “A doctor.”
  3. 交代して続ける。

活動を発展させる方法

  • “synonym”や“antonym”を使ってヒントを出す。
    例:“It’s the opposite of hardworking.”(→ lazy)
  • “It’s a kind of fruit that is yellow and curved.”(→ banana)など,柔らかい語彙を混ぜて楽しませる。
  • クイズ形式でチーム対抗戦にしても盛り上がる。

自己表現活動への発展例
ペアで次のような対話を展開させる:

A: “Which word do you think is most difficult to define in English?”
B: “Maybe ‘freedom’, because it has different meanings for different people.”

ここから,英語での小ディスカッション活動にも自然に移行できる。

【発展編3】Definition Presentation(定義を用いた発表活動)

目標
語彙を単独で覚える段階を越え,定義を使って自分の考えを伝える。

活動例①:My Favorite Word Presentation

  1. 生徒は自分の好きな英単語を一つ選び,その英語定義を調べる。
  2. その単語を選んだ理由を,定義を用いて説明する。
    例: “My favorite word is ‘challenge’. It means something that is difficult but gives you a chance to grow. I like this word because I often face challenges in basketball.”
  3. 1分プレゼン形式でクラスに発表。

活動例②:Guess My Word(定義を使った推測ゲーム)

  1. グループで1人ずつ自作の定義を言う。
  2. 他のメンバーが単語を当てる。
  3. ただし,定義には“the word itself”(定義される単語そのもの)を使ってはいけない。
    > “It’s a feeling you have when you want something very much.”(→desire)

教師の英語指示例

“Make your own definition. Don’t use the word itself.”
“Try to make it sound natural and clear.”

評価観点例

  • 語彙理解(定義の内容の正確さ)
  • 表現力(構文や語彙の多様性)
  • コミュニケーション力(伝えようとする意欲)

【発展編4】Definition Recording(録音によるリフレクション活動)

発音やイントネーションも含めて「自分の定義を伝える」練習として,ICレコーダーやスマートフォンを活用する方法です。

手順

  1. 本稿で紹介しているペア活動後,自分の定義発話を録音。
  2. 自分の録音を聞きながら,次のような自己評価を行う:
    – Did I pronounce the key words clearly?
    – Did my partner understand my definition?
    – How can I make it easier to understand?
  3. 次の授業で,改訂版の定義をもう一度ペアで共有。

この「自己録音→再挑戦」というサイクルは,学習者の発話意識と語彙定着を大きく高めます。

【表現編】定義を用いて会話・発表する(自己表現・協働活動)

語彙の定義を「覚える」「書く」「当てる」だけで終わらせず,それを自分の言葉で使う段階に進めることが重要です。ここでは,英英辞典的な語彙定義を素材として,英語での自己表現と協働的コミュニケーション活動へと発展させる指導例を紹介します。

活動1:Definition Talk(定義を使って会話する)

ペアあるいは小グループで行う活動です。教師が5〜6個の単語を提示し,生徒はその中から2つ選んで英語で定義します。相手はそれを当てるだけでなく,次のような「会話」を広げていきます。

例:A: This word means a person who gives help to others.

  B: A volunteer?

  A: Yes, that’s right. Do you think you could be a volunteer?

  B: Maybe, if I have time. I’d like to help children.

このように「当てて終わり」ではなく,「その単語を使って意見を交わす」流れをつくることで,単語が生きた言語資源となります。
教師は,会話を続けるためのフレーズ(例:”How about you?” “Why do you think so?”)を板書して支援するとよいでしょう。

活動2:Definition Presentation(定義を使った発表)

上級生やスピーキング力の高いクラスでは,生徒が自作した「英語の定義」を使ってショートプレゼンテーションを行う活動も有効です。テーマは「自分を表す5つの言葉」や「クラスを表す3つの言葉」など,自己表現につながるものがよいでしょう。

例:“I’ll introduce myself with five words. The first word is curious. It means a person who always wants to know something new. I often ask many questions in class. The second word is patient. It means a person who can wait and doesn’t give up easily. When I practice piano, I keep trying even if I make mistakes. …(略)”

このような発表では,「単語の定義を説明する力」と「その単語を自分の経験と結びつける力」を同時に伸ばすことができます。また,聞き手の生徒には「今の定義で印象に残った単語」「自分にも当てはまる単語」などを発言させ,リスニング+リアクション活動に発展させることも可能です。

活動3:Definition Debate(語彙を使った簡易ディベート)

語彙活動と論理的思考をつなげる発展形です。教師が「自由」「幸福」「成功」など抽象的な単語を提示し,グループで英語の定義を考えます。グループごとに定義を英語で発表し,どの定義が最も説得力があるかをクラス全体で話し合います。

例題: What is success?

  • Group A: Success means getting a lot of money.
  • Group B: Success means doing what you really like.
  • Group C: Success means helping other people.

定義を通して「言葉の概念」を考える活動は,生徒の批判的思考(critical thinking)を促し,単語を“使える知識”として内面化させるきっかけになります。

指導上のヒント

  • どの活動でも,“定義→当てる→使う→伝え合う” という流れを意識すると効果的です。
  • 教師は活動の前に「会話を広げるための表現リスト」や「意見を言うためのサポート文」を配布しておくとよいでしょう。
  • 評価の際には,語彙知識そのものに加えて,コミュニケーション意欲・発話量・表現の工夫など,言語使用の観点を含めて観点別にコメントを返すと,生徒の学びが深まります。

この【表現編】を加えることで,「Share the Definition!」は単なる語彙ゲームではなく,語彙を媒介とした自己表現・協働的思考・相互理解の活動へと発展します。英語を「正しく使う」段階から「創造的に使う」段階へと導く,この橋渡しが高校英語授業の醍醐味です。

(追加のおススメ活動)★Word Gift――「贈り合う」語彙活動で学びをつなぐ――

活動のねらい

語彙を「覚える対象」から「贈る対象」に変えることで,学びが自己中心的な作業から,他者との協働へと変わります。

活動の手順

  1. 授業の最後にペアを作り,各自が本文から「覚えたい単語」を3~5つ選ぶ。
  2. 互いにその3~5つを伝え合う。
  3. 次回までに,相手からもらった単語(例:achieve, honesty)で英文を作る。
    例:“He finally achieved his dream.”
      “Honesty is one of the most important values in life.”
  4. 次回授業で「単語を聞く→例文を聞く→その単語の意味を答える」という順で,クイズ形式で上記1.のペアでお互いにテストし合う。
  5. 正答数をペアで記録し,クラス全体でランキング表示。

◆発展的展開(自己表現を絡めて)

① Word Story
生徒が「贈られた単語」を使って短いストーリーを作る。
例:I received the word “friendship” from my partner. Last Saturday, my friend helped me study for a test. We laughed and shared our ideas. I felt happy to have a friend who cares about me. Friendship means helping each other and spending time together. I hope to keep good friends and always be kind to them.

② Word Debate
ペアで互いの単語を一つずつ選び,「どちらの言葉がより重要か」を英語で話し合う。
例:A: “I think friendship is more important than freedom.”
  B: “I see. But without freedom, we cannot choose friends we like.”

このように語彙を媒介にして思考や価値観を表現させると,語彙活動が「意味を扱う英語コミュニケーション」へと進化します。

まとめ:定義から広がる「言葉の思考空間」

定義を用いた語彙学習は,「知識の確認」から「言語の運用」へと橋をかけます。生徒は英英辞典の定義を理解する過程で,英語の意味世界を内側から体感します。やがて,こんな言葉が生徒の口から自然に出るようになります。

“Can I make my own definition for this word?”
“I found a better way to explain it.”

それは,英語を「覚える言語」ではなく,「考える言語」として使い始めた瞬間です。語彙指導の最終目標は,単語の暗記ではありません。言葉の意味を自ら再構築し,他者と共有する力を育むことです。
定義を通して学ぶことは,英語で考え,英語で表現する最初の扉を開くことにほかなりません。

 

資料請求

お探しのコンテンツが
見つかりませんか?

見本請求/パンフレット請求

資料請求はこちら