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スマコレ Onlin Writingを活用したEdTech×英語教育

東京都立竹早高等学校 
中田 淳予

2025.11.04

1. はじめに

東京都文京区小石川にある竹早高等学校は,明治33年に設立され今年度で創立125年目を迎える伝統校である。制服もなく,自主自立の精神を重んじている。小石川後楽園,小石川植物園,播磨坂の桜並木などに囲まれた落ち着いた文教地区にある。東京都教育委員会から「進学指導推進校」,「理数研究校」,「海外学校間交流推進校」,「海外帰国生徒受入校」,「Tokyo Metropolitan Global Education Network School for English Education(GE-NET EE)」,「Tokyo-IBLハイスクール」の合計6つに指定されている。

2. 外部試験の目標

GE-NET EE指定校として,生徒全員に英語検定を年度末に団体受験させている。受験級は任意だが,目安としては高校1年末で2級合格,高校2年末〜高3までに準1級合格を目標としている生徒が大半である。入学時点では準2級以下(CEFR A2)の英語力で入学してくるが,入学早々にGTEC受験→CEFRの現在地を把握させることから始め,3年のゴールから逆算して年度末ごとの英検到達目標を自己決定させ,それを意識した主体的な学習態度に切り替えさせている。4技能の総合的な指導を意識し,Essay Writing指導を早期に導入している。

3. スマコレの選定理由

論理表現の教科書もVision Quest (啓林館)を使用しており,スマコレ ライティングメソッドはこの教科書準拠のEdTech教材で冊子もよく作り込まれていて,論題も幅広く多様でWriting指導のニーズに合致したため選んだ。上記の外部試験の目標を達成させるために,1年〜3か年計画でレベルを段階的に上げながらOutput訓練の1つとして活用。各学年で使用するスマコレのレベルは,英検の目安に合わせて次のように選定した。

4. 事前学習教材(冊子・動画)の有効性について

(1)「語彙・語法・文法のINPUT」と「実践的OUTPUT」のスムーズな接続の仕組み。
言語を文脈で使用することで定着力が高まる。
パラフレーズする力をつける練習問題が全Lessonに掲載されている。
英検の新傾向問題として,英語要約Writingの大問が新設された。Paraphraseはこの英文要約力に有効。

(例)In many sports, AI technology has been used for accurate judgments.
= The ( use ) of AI technology has ( enabled ) accurate judgments in many sports.
(例)It seems that AI or machines can’t understand human emotions yet.
=AI or machines still seem to ( have ) difficulty ( understanding ) human emotions.
(例)AI can support medical practices but cannot replace doctors.
=( While ) AI can assist in medical practices, it cannot take the ( place ) of doctors.

・語彙力・表現力が豊かになる。
・同じ意味を複数の言い方で表せるため,Writing, Speaking力がつく。
・Readingでも,設問が本文の言葉をパラフレーズして出題されることが多いため理解力が上がる。
・語学試験でも探究学習でも,自分の言葉で言い直せる力=思考力+表現力につながる。

(2)論題の設定がSDGsや環境,社会問題,グローバル課題に関するものなど,多様な論題。
類題も含め論題はLesson数の2倍の20個あり,選択可能。IBL, 探究学習にも親和性が高い論題。

(3)Online解説動画(日本語版・英語版)を生徒は任意で視聴可能。

5. スマコレ実践事例

(1)Input → Output → Improve の学習者主体の自律的な循環を仕組み化

 

(2)各段階の取り組み方[生徒]
❶ 「知る」:事前学習テキスト
Practice, Food for Thought, Column, Question, Brainstorming, Write Your Paragraph
語彙・文法のインプットと実践的アウトプットが同時進行でき,論題の背景知識も身に付く。
事前課題に取り組むことで,段階を踏んでParagraph Writingができる構成。

❷ 「多角的思考」:「都立AI」(Chat GPTの都立高版)を使ったAI壁打ちBrainstormingを本校では活用。
AIとの対話形式の問答を通して多角的思考を促し,アイデアを深化させることを目的とする。

❸ 「書く」:スマコレOnline Writingの実施形態は,Writing試験という位置付けで授業内実施する。
年間実施日程を年度はじめに周知し,生徒はこの試験日までに❶〜❷の事前学習をしてくる。

❹ 「リライト」:数日程度で外国人講師から添削とフィードバックが届く。リライトしてOnline提出。

❺ 「文法復習」:スマコレのEdTech分析を活用して復習。苦手な文法項目や語彙レベルを確認。
*ワンクリックで文法解説動画に飛ぶこともできる。

(3)データ分析と評価[教員]
❻ EdTechデータ分析機能の活用:スマコレのAI分析機能で,生徒の間違いやすい文法と語彙分析を確認
学年単位・クラス単位で,間違いの多かった文法項目が回数でランキング表示される。
回数をクリックするとセンテンス単位で正誤一覧表が閲覧できる。

 

正誤問題リストのように,左側にミスを含む英文,右側に訂正後の英文,のエクセルが学年全員分一覧で作成されるのが便利。このデータを活用して定期考査の正誤問題や文法問題として出題し,反復的に弱点の強化が可能。

❼ 評価
(1) 教師は進捗状況・提出状況をOnline管理
・UIデザインがシンプルで視認性がよく,生徒の取り組み状況が一覧で管理できる。
(2) 文法分析・語彙分析データを評価にも活用
・Writing で使用している語彙レベルを視覚的に把握できる。→データドリブンな評価へ

❽ 定着確認:定期考査に生徒のミスの多かった文法から正誤問題を出題し,反復的に弱点強化をする。

6. 成果と変容

現在は高校2年の秋で,生徒たちは1月の英検全員受験(準1級)に向けて励んでいる時期である。
昨年一年間の成果は次のとおり。

7. スマコレ活用まとめ

・教師負担の軽減:AI・スマコレで添削・進捗管理・データ分析・評価を効率化。
・学習者主体型:「自分の意見を整理→書く→改善する」サイクルを自律的に回す仕組化が可能。
・スマコレ:「事前学習」+「アウトプット量を増やす」+「即時フィードバック」の役割。
・社会課題の多様な論題について思考→アウトプットさせると,単なる文法暗記や単語学習にとどまらず,実践的な英語運用力と思考力の両立が可能になる。英語力の向上だけでなく,思考力・判断力・表現力が同時に鍛えられる。学習者が考えて伝える経験を積むことで,学習の定着度と実践力が大幅に向上する。

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