小学校 教科書・教材|知が啓く。教科書の啓林館
理科

科学的に思考する子どもを育てる理科学習指導
~表現・交流活動を生かした指導過程と学習ノートの工夫を通して~

5年 福岡県糸島市立怡土小学校 教諭

1.はじめに

今回の学習指導要領の改訂では,科学的な思考力・表現力の育成が重視されている。そのために,言語活動の充実が図られています。

しかし,実際の子ども達は,観察・実験をすることが十分にできていても,結果や考察を効果的に表現することが十分にできない場合が多いと感じています。そこで,観察,実験などの結果を子ども一人一人が自らのものとして大切にしつつ,予想や仮説との関係で比較し検討したり,自分と他者との結果を比較し検討したりして考察を深め,科学的に説明させるような工夫が必要だと考えました。

2.表現・交流活動と学習ノートの工夫とは

表現・交流活動とは,体験などから得た事実や気づき,考えを記述したり(表現活動),記述したことをもとに考えを説明したり意見を述べ合ったりする(交流活動)ことだと考えました。この表現・交流活動を繰り返して行うように学習活動を構成します。

特に,子どもの思考をより科学的な思考へと高めるために,表現活動のあとに小グループでの交流活動(ミニ交流)を行い,そこで議論して付加・修正・強化されたことを学習ノート再度かきこませ(表現活動),全体交流(交流活動Ⅱ)へとつなげるようにしました。

~ミニ交流と再考する場の位置付け~

図:ミニ交流と再考する場の位置付け

学習ノートの工夫とは,視覚的に事象と要因の因果関係がとらえられるような学習ノートを作成しました。具体的には,結果の共通点に着目させ,自然事象の規則性をとらえさせるために,結果をカード化したり,観察した結果の共通点が視覚的にとらえられるように構造化したりしました。また,友達の追究結果と自分の結果が比べられるように学習ノートの構成を工夫しました。

図:学習ノートの例

【学習ノートの例】

つまり,表現・交流活動を活かした指導過程の工夫で,実証性,再現性,客観性の条件を検討させ, 学習ノートを工夫して,帰納的・演繹的に思考させるようにしました。

3.単元計画

単元は「私たちの気象台」です。学習内容は雲の動きと天気の変化には規則性があることです。

図:実証授業「私たちの気象台」

4.指導の実際

【気づく】

気づく段階では「天気にはきまりがあり,それは雲の様子が関係しているのではないか」という学習課題を設定します。そのために,ゲリラ豪雨を紹介し,局所の天気だと自分たちでも予測できるのではないかと想像させました。子どもたちは,ゲリラ豪雨は気象予報しでさえ予想するのは難しいが,自分たちの住んでいる局所であれば,天気を予測するこ子ども達が考え出した天気を予測する上での条件は,雲の様子以外に,気温や風向き,風の強さなど,面白いのはかえるの声というのもでました。

これらの条件の中から雲の動きに着目させるために,試しの観察を3回取り入れました。そして,学習ノートを用いて,天気を予測するものをカード化し,操作をさせました。

カードを操作する中で雲の色,雲の動き,雲の量,雲の形,風向きに絞り込むことができました。グループ交流後に再考する表現活動では,「雲の量はいると思います。それは雲が多いと雨が降ると考えたからです。湿度が高かったり,風が強いからといって雨が降るとは限らないから」と表記しており,雲の量が必要であることや湿度や風の強さは条件として外していることが分かります。その後,全体交流では,風向きはどんどん時間によって変わり,そのことによって天気が変わることが少ないことから,表現・交流活動の結果,天気のきまりを予測するには雲の動きを観察する必要があることがわかり,学習課題を設定することができました。

【調べる】

まず,局所の天気を直接観察させました。そして,晴れのとき,雨のとき,曇りのときと分けて,ノートに整理をさせました。ノートには,晴れ,くもり,雨の時の共通する事柄を赤で囲み,帰納的に天気のきまりを導き出すようにしました。児童は,雲の動きが西から東,南西から北東を共通していると判断しています。また,雲の色が黒っぽいこと,雲の種類も共通していると判断しています。児童が帰納的に導き出したきまりはまだ,客観性が得られていないので,ペア交流を行わせ,考えを付加させました。児童は雨の時も,くもりの時も共通している。同じと付け加えています。つまり,友達との交流により考えが強化されたことになります。このようなノートによる思考と交流により,局所の天気は雲の動きに伴っておよそ西から東へと変わることを明らかにすることができました。

局所の天気のきまりが分かったので,次は広い範囲の天気にも怡土と同じように雲が動いて,西から東へと動くのかと発問し,局所の天気のきまりが広い範囲の天気に適用できるのかと考え,演繹的に検証させました。

子どもが考えた気象情報は,①テレビの天気予報 ②ネットによる雲の動きわかる動画 ③アメダスと天気,雲の動きが分かる画像 ④新聞の天気図 です。

学習課題:局所の天気と同じように広い範囲の天気は雲が動いて西から東へと変化するのか

ペア交流では,同じ追究方法,つまり同質の内容で交流させました。この結果,子供が赤字で示しているように自分の検証結果が強化されていきます。しかし,分かるのは,雲の動きが西から東へと動くことだけです。全体交流では,雲の動きだけでなく,天気の変化と関係付けることが焦点となりました。全体交流後には,雲の動きだけでなく,広い範囲の天気も怡土と同じように西から東へと変わることを明らかにすることができました。

【活かす】

気象情報を使って,天気の予測を終えた後,「朝焼けは雨,夕焼けは晴れ」と昔の人は考えた理由を天気のきまりを使って説明しましょうと発問しました。この段階では,自由記述の学習ノートを作成しました。子ども達は考えを表現・交流させていきました。天気が西から東へと変わるというきまりを用いて,分かりやすく図を使いながら説明することができました。

学習課題:「朝焼けは雨,夕焼けは晴れ」と昔の人が考えた理由を天気のきまりを使って説明しよう

5.終わりに

学習中,雲は常に西から東に動くとは限りませんでした。一ヶ月という長期的にデータを収集する中で,「低い雲は風に左右されるけど,高い雲は主に西から東に動いている」など明らかになったことがたくさんありました。