外国語活動・外国語科において,テキストに登場する人物の発話を聞く活動は,児童が新たな語彙や表現に触れ,意味や使い方を理解していく上で重要な役割を果たしており,児童一人一人のアウトプットに向けた良質なインプットを保障する活動であるといえる。一方で,授業において登場人物が「何を話しているか」を正しく聞き取ること自体が活動の目的となってしまうと,その発話が単元全体の学習のどの部分につながるのかが児童に十分に意識されにくくなるという課題がある。その結果,聞く活動が,児童にとって単元ゴールから切り離されたものとして捉えられ,聞く必然性が生まれにくくなることが考えられる。そこで本報告ではテキストの登場人物の発話を聞く活動を,単なる「聞き取り」に終始させるのではなく,単元ゴールにつなぐ教師の関わり方について考えていく。
【単元名】 What time is it? みんなのこと知りたいな -お気に入りの時刻編- (Let's Try 2)
【実践時期】令和7年9月頃
【単元ゴール】「お互いのことを知るために,お気に入りの〇〇-timeを発表しよう」
【単元計画】
| 時 | 目標(◆)と主な活動(○) | 評 価 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 知技 | 思判表 | 態度 | ◎評価規準(評価方法) ※指導・学習改善のための評価 (方法) |
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| 1 | ◆日課や時刻に関する語彙や表現に慣れ親しむ。 | ||||
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本時では,記録に残す評価は行わないが,目標に向けて指導を行う。児童の学習状況を記録に残さない活動や時間においても,教師が児童の学習状況を確認する。 |
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| 2(本時) | ◆日課や時刻について聞いたり話したりことに慣れ親しむ。 | ||||
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お互いのことを知るために,お気に入りの〇〇-timeを発表しよう |
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(聞) |
◎日課や時刻についてWhat time is it? It's 〇〇a.m. / p.m. It's 〇〇 time.などを用いた,お気に入りの時刻について聞いて意味が分かっている。 (行動観察・振り返りシート点検) |
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(発) |
※日課や時刻についてWhat time is it? It's 〇〇a.m. / p.m. It's 〇〇 time.などを用いて,お気に入りの時刻を話している。(行動観察・振り返りシート点検) | |||
| 3 | ◆お互いのことを知るために,お気に入りの時刻について,聞いたり相手に工夫しながら話したりする。 | ||||
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聞 | 聞 |
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発 | ||||
| 4 | ◆お互いのことを知るために,お気に入りの時刻について,聞いたり相手に工夫しながら話したりする。 | ||||
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発 | 発 | 発 | ||
【本時の展開】
目 標:日課や時刻について聞いたり話したりすることに慣れ親しむ。
| 時間 | 児童の活動 | 指導者の活動 | 指導上の留意点 ※指導・学習改善のための評価(方法) |
|---|---|---|---|
| HRT | |||
| 3分 |
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| 5分 |
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| 5分 |
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| 1分 |
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お気に入りの時刻について聞いたり話したりしよう① |
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8分 |
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◎日課や時刻についてWhat time is it? It's 〇〇a.m. / p.m. It's 〇〇 time.などを用いた,お気に入りの時刻について聞いて意味が分かっている。 |
| 3分 |
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| 10分 |
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| 3分 |
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| 1分 |
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| 5分 |
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| 1分 |
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本報告では,テキストの登場人物の発話を単元ゴールにつなぐ教師の関わりの代表的な場面として,第2時の Let's Listen.1 2(「本時の展開」赤字で囲んでいる箇所)の場面を取り上げる。この活動において,まずは登場人物が「何時に」「どのようなことをしているのか」といった発話内容の確認を行い,児童が場面や意味を大まかに捉えることができるようにした。
その上で,テキストの登場人物の発話を単元ゴールにつなぐために,「単元ゴールに向けて,使えそうなものはあるかな?」と問いかけ,テキストの発話を単元ゴールと結び付けて捉える視点を示した。この問いかけは,登場人物の発話を正確に聞き取れたかどうかを確認することを目的とするものではなく,児童一人一人が自分の発表を想起しながら,表現の内容や伝え方に目を向けることを意図したものである。これにより,児童は「何を言っているか」を理解することにとどまらず,「自分の発表に生かすことができそうな表現は何か」という視点で発話を捉えるようになった。そして児童同士で意見を交流する活動を行い,それぞれが見つけた「使えそうな表現」や「参考になりそうな伝え方」について理由を添えて発言し合った。最後に,児童から挙がった意見をもとに,板書を用いて「①自身の発表に使える表現」や「②発表の仕方・態度(非言語的要素)」といった観点で整理を行った。これにより,テキストの登場人物の発話は,単なる聞き取りの対象としてではなく,単元ゴールに向けての共通の手がかりとして学級全体で共有されることとなった。
このように第2時では,テキストの登場人物の発話を聞き取ること自体を目的とするのではなく,単元ゴールに向けて自身の発表に生かすことができるよう,発問や板書を通して聞く視点を意図的に示した。
【実際の教師と児童のやり取り】
※黒板にまとめる。
※児童の実態に応じて,もう一度動画を一緒見ることもある。
※黒板に上述の観点でまとめる。
第2時の実践を通して,テキストの登場人物の発話を単元ゴールにつなぐ上で有効であった点について考察する。まず,発話内容の確認後に,単元ゴールを見据えた問いかけを行ったことにより,児童はテキストの発話を「何を言っているか」を理解する対象としてではなく,「自分の発表に生かせるかどうか」という視点で捉えるようになったと考えられる。また,「自分の発表に使えそうなものはあるかな?」という発問は,児童にとって聞く際の視点を明確にする役割を果たしていた。正しく聞き取ることを目的とするのではなく,自身の発表に生かす表現を探すという目的が共有されたことで,聞く活動に必然性が生まれていたと考えられる。
自身の発表を修正する様子
さらに,友達との意見交流や板書による整理を通して,「自身の発表に使える表現」や「発表の仕方・態度」といった視点が学級全体で共有された。このことにより,テキストの登場人物の発話は個人の気付きにとどまらず,発表に向けた共通の参考資料として価値付けられたといえる。
以上のことから,第2時における教師の関わりは,テキストの登場人物の発話を単なる聞き取りの対象として終わらせることなく,単元ゴールに向かって自身の表現を考えるための手がかりとして位置付ける上で有効であったと考えられる。
発表の様子
本実践では,テキストに登場する人物の発話を聞く活動を,単なる聞き取りに終わらせるのではなく,単元ゴールにつながる教師の関わりについて検討した。第2時において,発話内容の確認後に「単元ゴールに向けて,使えそうなものはあるかな?」と問いかけることで,児童は登場人物の発話を自分の表現に生かすという視点で捉えるようになり,児童にとって聞く活動に必然性が生まれていたと考えられる。
その結果,その後の話す活動においては,多くの児童が表現や伝え方を意識しながら,自分のお気に入りの時刻について話そうとする姿が見られた。いずれの児童も,「お互いのことを知るために伝える」というコミュニケーションを行う目的,場面,状況を踏まえ,理由を添えたり,相手を意識した話し方を工夫したりするなど,目的に即した内容で話していた点は,本実践の成果として捉えられるのではないだろうか。今後も,児童一人一人が目的意識をもって聞き,聞いたことを自分の発表へと生かしていくことができる授業づくりを追究していきたい。