私は2年前,外国語専科として本校に赴任した。今まで外国語を担当することはあっても専科は初めてで,最初の一年間は授業の進め方も悩むことばかりであった。
前任校では特別支援学級を担任していたこともあり,「どの児童にも分かりやすい」授業となるよう心掛けてきた。実際私の経験では,特別支援学級の児童が交流学習として,外国語を通常学級の児童と一緒に受けるケースが多かった。
今回,第6学年Unit4の実践を通じて,普段私が授業で心がけていることを紹介したい。
(1)単元名 Unit4 I went to the zoo.
(2)単元のねらい
自分の経験を友だちやALTの先生に伝えるために,夏休み中や最近したことをビデオレターにすることができる。
(3)単元計画
| 時 | ねらい | 主な学習活動 |
|---|---|---|
| 1 | 教師のsmall talkを聞くことを通して,単元のゴールをイメージし,「したこと」やその感想をおおよそ理解することができる。 デジタル教科書を聞いて,夏休み中にしたことやその感想をたずねたり答えたりする表現を知ることができる。 |
|
| 2 | 仲間と夏休みについてたずね合う活動を通して,自分のしたことやその感想を答えたり,相手の話している内容を理解したりすることができる。 |
|
| 3 | デジタル教科書を聞く活動を通して,昨日したことや先週末したことについてたずねたり答えたりする表現を知ることができる。 |
|
| 4(本時) | 昨日のことや先週末,修学旅行での体験などについてたずねたり答えたりする活動を通して,特定の日時を言うことができる。 |
|
| 5 | ビデオレターで伝える内容を仲間とやりとりする活動を通して,よりよい内容へと整理することができる。 |
|
| 6 | 整理した内容をもとにビデオレターを撮影することができる。 |
|
| 7 | ビデオレターに撮影した内容をもとに,書くことができる。文字の音に気を付けて,発話することができる。 |
|
(4)第4時の実践
| 学習活動 | 教師の支援 | |
|---|---|---|
| 導入 |
|
|
| 展開 |
○○にしたことや,感想を伝え合おう。 |
|
C1: What did you do last weekend? |
|
|
C1: What did you do on your school trip? |
|
|
| 終末 |
|
|
(5)「分かる」授業として意識したこと
① small talkの工夫
授業の導入として,ほぼ毎時間,単語の復習とターゲットフレーズの復習を取り入れている。その後のsmall talkでは,子どもたち自身の話題へといきたいところだが,自分のこととなると話せない児童や,どんなことを話せばよいか悩み,つまってしまう児童がいる。そのような児童のために,私は単元に合ったミニカードを用意しておき,small talkに活用するようにしている。カードに描かれたイラストの内容を仲間に伝え,伝えたら交換することにすると,自然にさまざまな表現に慣れることができる。慣れてきたら,「1分以内に3人とカードを交換しよう。」などと目標を決めることにより,ゲーム感覚で楽しく活動できる。
② ワークシートの工夫
専科1年目は教科書の付録のワークシートをそのまま活用していたが,2年目からは児童の実態に合わせてアレンジするようにしている。
例えば,I went to the supermarket on Sunday.という文章を話したい時,児童がワークシートを頼りに話しやすいよう,表の列順を英語の語順に合わせたものを用意した。児童がメモをとることよりも会話中心に活動できるよう,選択肢を準備した。
また,いろいろなリアクションができるよう,チェック欄を設けた。
③ 教科書に準じた色使いの工夫
教科書のpre lessonで,英語や日本語の語順について触れている。その際の主語・動詞・目的語の色分けを,普段の板書にも活用するようにしている。
児童の中には,I enjoyed on Monday.のように目的語のない文を話すことがある。そうした間違いに気付くには,このような視覚的な支援は有効だと思う。
④ Word listの活用
「自分の経験」を話す際に,言いたいことを英語でなんというのか端末で調べる場面は授業中よく見られる。しかし,文章全体を翻訳にかけて非常に難解な文章を作り出す失敗例も過去にあった。いっそ端末を使わずに,あらかじめ言いたいことをword listにして児童に配付する方法を今回は用いた。選択肢があることで,ゼロから自分の伝えたいことを考えるよりも児童の心理的障壁が下がる。悩んでいるうちに会話をする時間が無くなってしまうような事態を減らすことができた。
⑤ 振り返りシートの工夫
振り返りは以前自由に書かせていたが,「よくできた」「たくさんの人と話せた」というありきたりの感想が多かった。今回,書く観点をあらかじめワークシートに設け,「よくできたこと」「難しかったこと」「疑問点」に分けて書かせた。すると,児童が難しいと感じていることが明確になり,授業改善の手助けとなった。例えば,「It was fun.はよくて,なぜIt was enjoy.と言わないんですか。」や,「今までIt'sと言っていたのにwasが出てきたので感想を言うのが難しいです。」という振り返りがあった。高学年ともなると,「分かりません」と質問できる児童は少ないので,このような形で児童とコミュニケーションがとれる振り返りシートは今後も続けて活用していきたい。
今回Unit4の単元計画を立てる際,どうすれば児童が意欲的に取り組むことのできる課題になるのかということを第一に考えた。第6時で撮影したビデオレターを見たALTや体験入学の友人たちはとても喜び,返事のビデオレターを送ってくれた。その返事を見た児童からは自然に笑みがこぼれ,大きな拍手が起こった。これからも児童がゴールに進む道のりが明るいものになるよう,一人も取りこぼさない授業づくりを目指し,さまざまな支援を行っていきたい。