小学校における英語教育は、子どもたちの「聞く・話す・読む・書く」の4技能をバランスよく育成することが求められている。しかし、先生方によっては、専門性や教材準備に不安を感じることも少なくない。そこで本記事では、誰でも取り組みやすく、かつ子どもたちのコミュニケーション力を引き出すことができる「4ステップ型単元展開」の授業モデルを紹介する。
本校では年度末に全学年スピーチ大会を実施しており、日々の学習から自分の意見を英文で人前で発表するということを意識しながら指導している。
このモデルは、教科書を中心に用いながら、段階的にインプットとアウトプットを繰り返すことで、子どもたちが英語を「使って伝える」体験へとつなげることを目的としている。
なお、本校は私立小学校であるため、1年生から洋書の教科書を用いた授業展開をしている。また5・6年生は洋書と検定教科書(Bluesky elementary)を併用した授業展開を実施している。授業はALTと日本人教諭のTT(Team Teaching)を実施しており、複数教員で展開できるメリットを最大限生かしながら実践している。
STEP 1:読む・聞く(インプット)
単元の導入では、教科書のリスニング音声やワークシートを活用し、新出単語やKey sentence(単元の重要文法)の意味を理解する活動を行う。視覚・聴覚の両方から情報を取り入れることで、子どもたちの理解を深め、英語への抵抗感を軽減する。
主な活動例としては、以下の通りである。
STEP 2:書く・話す(アウトプット)
前時でインプットした語彙や文を、実際に書いたり話したりすることで定着を図る。ここでは、教科書の文を見ながら書いたり、ペアで会話練習するなどの活動を通じて、言語を実際に書いたり話したりする力を育てる。
主な活動例としては以下の通りである。
STEP 3:書く・読む(応用アウトプット)
STEP 3では、既習事項や調べたことを活用し、「自分ごと」を英語で表現する活動を行う。子どもたちの個性や興味が反映される場面であり、英語を使って「伝えたい」という意欲を引き出すことができる。ただしその単元で身に付けさせたいKey sentenceの型は崩さないことなどの指定はしつつも基本的には子どもたちが表現したい内容を英文で書かせる。得意な子は自分の持っている知識で書くことができ、苦手な子はタブレット端末などを使うことを許可し、自分なりに英文を書いていく。
主な活動例としては以下の通りである。
STEP 4:読む・話す・聞く(相手を意識して伝える)
最後のSTEPでは、他者に英語で「伝える」ことや、他者の英語を聞き、相手のことを理解する活動を行う。STEP 3で作成した自分ごとの英作文を発表し、それを聞き合うことで、英語が「伝わる」・「分かる」体験をさせる。
主な活動例としては以下の通りである。
授業設計のポイント
この4ステップは、教科書の構成を基本としながら、段階的に活動を展開できるよう設計している。年間を通して「相手意識をもってコミュニケーションをとる」ことを目標として据え、単元ごとにスピーチやポスター、ALTとの会話活動等でゴールを設定していくことがポイントである。単元ごとにゴールが変わると子どもの活動への意欲はそがれずに、楽しみながらも段階的にコミュニケーション力の育成へとつながっていく。
次に、『2.「4ステップ型単元展開」の概要』に記述した順番で実際にUnit5を指導した記録を紹介する。本単元のゴールは、「子どもたちがALTや日本人教員に会話の中でMy heroを紹介する」とした。自分が紹介したいヒーローを教員に話し、実際に教員から質問などを受けて伝わったと実感できるように設定した。授業展開例は以下の通りである。
STEP 1:読む・聞く(インプット)
まず、単元のはじめに、単元のゴールを子どもたちに示すべく、動画を見せる。そして、子どもたちに「どんな内容のUnitであるのか」・「どのレベルがゴールの目標なのか」をイメージさせ、この単元を学ぶ目的意識を持たせた。
Unitの最後にある発表例の動画を見ながらイメージを持たせる

なお、今回の実践では、私が作成したワークシート(写真1)を最後に作成して、発表することをゴールとしたため、教科書の動画でUnit5のテーマが「My hero」についてであることを確認したのち、私が子どもたちの前で、ワークシートを提示しながら実際に発表のお手本を示した。
教科書のJingleやリスニングパートを用いてUnit5で覚えるべき単語やKey sentenceを身に付けさせる。授業の冒頭で必ずJingleを歌いながら単語の音と意味を確認し、リスニングパートにおいて文章でしっかりと聞き取り、意味理解ができているかを確認した。特にUnit5では職業の名前(doctor, writer, teacher, movie director など)・人の特徴(cool, kind, famous など)を身につけることが求められる。また一般動詞の過去形を用いて、その人物や職業がやったことを聞いて理解することも必要である。
そこで教科書のリスニングパートを抜粋して、ワークシートで身につけるべきことを確認するためのリスニングを行い、聞いて意味理解ができているかを確認した。
STEP 2:書く・話す(アウトプット)
前のSTEPの復習のためのリスニングも行いながら、Unit5のKey sentenceをまずは見て同じように書いていく。このSTEPでは文の型や単語の使い方を身につけてもらうべく、自分が紹介したいことでなく、教科書に登場する人物に限定して、教科書に乗っている単語のみを使って書くことに限定した。そのため、調べる時間をあまり費やすことなく、Key sentenceを身につけることができた。また苦手な児童に対しては、まずはお手本と同じように書くことを指導した。
ワークシートの例
STEP 3:書く・読む(応用アウトプット)
前のSTEPで身につけたKey sentenceを用いながら、自分のMy heroを決め、その紹介文を考えていく。この段階では、特に調べるものを限定はせずに、教科書やタブレット端末など使えるものはなんでも使って考えて良いとし、ALTなどに質問しにいく児童の姿も見られた。
STEP 4:読む・話す・聞く(相手を意識して伝える)
本実践では、完成したワークシートを持った児童が教員のもとにきて、My heroについて発表した。またその際に、必ず冒頭は「Hello.」からはじめ、相手意識を持たせつつ、発表後にはALTや私から感想や質問を英語で述べ、自分の英語が伝わったという達成感も感じさせた。

本実践は、英語指導に不安を感じる先生方でも取り組みやすく、かつ子どもたちの表現力を育てることができる授業展開を目指した実践をした。
私は、基本的にBlueskyの全Unitをこの流れで授業展開している。ただし、単元の活動のゴールについては、各Unitの特性に応じて変更している。例えば、Unit2の都道府県紹介では、グループで紹介する都道府県を1つ選び、ポスターにまとめて発表をした。
またUnit4では自身の夏休みの思い出について一人ずつクラス全員の前でスピーチをした。
このように単元のゴールは変えつつも、授業展開の流れを一定にすることで子どもたちも授業に対する不安が減り、教師側も準備がしやすいなど多くのメリットを感じている。
英語は「学んで使う」と「使って学ぶ」のスパイラルでの学習が効果的であると考えている。そのため、この実践がぜひ日々の授業の参考になれば幸いである。また私自身もより子どもたちにとって効果的な学習方法を考え実践していたいと考えている。