小学校における外国語活動と外国語科の実践において,社会で求められる資質・能力の育成を目指すためには,以下のような視点から指導が求められると考える。①コミュニケーション能力の育成,②自己調整能力の育成,③協働力の育成,④デジタルリテラシーの育成,⑤創造力の育成,⑥社会的・情緒的スキルの育成,⑦国際的視野の深化である。
ここで述べた6つの指導を具体的に記す。
| ① コミュニケーション能力の育成 |
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| ② 自己調整能力の育成 |
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| ③ 協働力の育成 |
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| ④ デジタルリテラシーの育成 |
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| ⑤ 創造力の育成 |
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| ⑥ 社会的・情緒的スキルの育成 |
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| ⑦ 国際的視野の深化 |
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そこで,これらの視点を取り入れた指導を行うことで,子供たちが自己調整能力を高め,協働して学ぶ力を身につけ,グローバルな環境でも活躍できるような題材や活動を工夫して設定することで,子供たちが思いや願いをもって言語活動に取り組むことができると考えている。
今回は,『Blue Sky elementary 5 Unit 6』の実践から,目指す子供の姿に迫るための指導の工夫を紹介する。本単元は,レストランなどの飲食店での食事の注文に関する表現を学ぶことを通じて,コミュニケーション能力を高め,さらに異文化理解や国際的な視野を広げることが目指されている。
導入時,子供たちは教科書のIntroduction(p.66)とWatch the Scene(p.67)から,世界の様々な料理を知った。また,ALTが授業ごとに様々な国の料理を以下のような英語表現で子供たちに紹介をした。
【Japan】
こんにちは (Konnichiwa)
This is sushi. It is a Japanese dish. It is very fresh and delicious. It is made with fish and rice. You can enjoy a sushi meal for around 2,000 yen.
【Canada】
Hello!
This is poutine. It is a Canadian dish. It is made of fries topped with cheese and gravy. You can buy poutine for around 5 Canadian dollars.
【Italy】
Ciao!
This is risotto. It is an Italian dish. Risotto is a creamy rice dish. It is cooked slowly with broth and usually mixed with cheese, mushrooms, or seafood. You can enjoy risotto for about 12 euros.
このように,ALTが世界の様々な料理を紹介すると,子供たちから「自分が紹介したい料理を,相手の人が食べたいと思うように,工夫して伝えることをmain goal」にしたいという意見が出た。この目標を達成するために,子供たちと共に学習活動を考え,具体的な見通しを持って取り組むことができるようにした。
授業の2時間目からは,子供たちは自分が伝えたい表現を一人一台の端末を活用して調べたり,教師に尋ねたりすることで必要な言葉やフレーズを獲得した。また,友達やALT,JLTとの関わりを通じて,伝え方を工夫し,紹介の精度を高めていった。
毎時間の振り返りの時間では,どのように伝え方を改善したのかを記録することで,子供たちがどの時点でも自分の改善点を振り返ることができるようにした。また,ペアやグループで協力し,自分の目標を達成するためにアドバイスし合ったり,伝え方を見合ったりする場を設けることで,互いに伝え方をより良くしようとする意識を高めた。このように,友達やALT,JLTとの積極的な関わりを通じて,英語を使う場面を設定することで,子供たちは他者と協力しながら,自分が納得する伝え方を試行錯誤する姿が見られた。
【Unit 6 I'd like pizza.の実践】
| 時 | 学習活動(〇) | 子供の思考(・) |
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[写真①:オンライン辞書を活用している様子]
[写真②:子供の思考]
[写真③:友達と伝え合う姿]
[写真④:他者を変えて伝え合う姿]
[写真⑤:伝え方を工夫しようとする姿]
小学校における外国語活動と外国語科の授業は,単なる知識の習得にとどまらず,他者に配慮しながら自分の意見を伝え,相手の意見を理解する能力を育むことが求められている。また,他者との関わりを通じて自己を表現し,相手と共に学び成長する場にもなるべきだと考える。このような学びを通じて,子どもたちは他者とのコミュニケーション力を高め,協力して問題を解決する力を養うことができる。そのためには,子供たちが他者と関わりながら学ぶ姿勢を育むことが重要である。また,子供たちの学習が孤立しないようにするためには,個別で自分の伝えたいことを習得する学習に加え,ペアワークやグループワークといった協働作業の学習形態を取り入れることが効果的である。これにより,子供たちは必要な場面で自ら他者と関わる機会を得ることができる。こうした協働的な学びを通じて,自己の伝え方をアップデートしていく経験を積むことができるのである。子供たちが外国語を用いて積極的に他者と対話し,協力して問題を解決する経験を通じて,自己調整能力や他者との協働力が育まれる。これらの力は,単なる学習の場面にとどまらず,社会に出てからも必要とされる重要な資質となる。そのため,教師は,単元を通して子どもたちが成長できるような学びの場を設計する責任がある。単独の授業にとどまらず,長期的な視点で子どもたちの学びを支え,子供たちの思いに寄り添った指導を行うことが大切である。学習課題の設定や活動内容,評価方法などを工夫し,子供たちが自分の学びを振り返り,次の学びへとつなげていけるような支援を行っていきたいと考える。