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数学

「数学のよさ」を実感できる授業をめざして
~第1学年 比例と反比例~

富山県黒部市立宇奈月中学校 河田 美保

1.はじめに

数学が生活に役立つという「数学のよさ」を生徒に伝えたいという思いをもって,日々の授業に臨んでいる。生徒が「数学のよさ」を実感するためには,授業で日常生活と関連させた活動や体験を通した主体的な学習を工夫することが必要であると思う。また,新学習指導要領には第1学年の数学的活動として「日常生活で数学を利用する活動」に取り組む機会を設けるよう記されている。そこで,日常生活における具体的な事象において既習の数学を活用して課題を解決するという授業を考えた。

2.授業実践

1 単元名  比例と反比例

2 単元について

関数の意義は「未知なものを既知の事柄を使って予測できること」や「知りたい数値を別の数量に置き換えて求めることができること」であり,日常生活における事象の中に存在する伴って変わる数量を考察する場面で有効に機能する。生徒には,動的な事象の考察を通してこの意義にぜひ気づかせたい。しかし一般に,事象に潜む関数関係を目で見ることはできないので,可視化するために表,式,グラフが用いられる。これらの数学的な表現を形式的に処理したり相互に関連付けたりして考察することが,数学を活用する活動であり,数学のよさを実感できる体験である。

新学習指導要領の第1学年の関数の領域の目標に「具体的な事象を調べることを通して,比例,反比例についての理解を深めるとともに,関数関係を見いだし表現し考察する能力を培う」ことが掲げられている。小学校では比例の内容を扱うが,中学校ではその学習の上に立って,「関数関係の意味を理解すること」「変域を負の数まで拡張して,比例,反比例の意味を理解すること」「文字を用いた式を使って,比例,反比例を考察すること」「座標の意味を理解し,グラフを座標平面上にかくこと」「比例,反比例を表,式,グラフなどで表し,それらを相互に関連付けながら特徴を理解すること」「比例,反比例を用いて具体的な事象をとらえ説明すること」により理解を一層深めるとなっている。比例,反比例の学習は,日常生活において数量を関係的に探究する基礎となるものであるので,一般的,形式的に流されることなく,事象と密接に関連づけることが大切である。

今までは,日常生活における具体的な事象の中から伴って変わる二つの数量を取り出し,表,式,グラフを用いて変化や対応の様子を調べることが多かった。しかし逆に,式y=axのaは具体的な事象では何を表しているのかを考えるなど,「具体的な事象」と「数学」とを双方向からとらえる学習が必要である。

そこで本時は,日常生活における具体的な事象の中から課題を見つけ,これまでに学んだ比例の見方や考え方を利用して課題の解決を図らせたい。本校では,生徒会が中心となってエコキャップ運動()に取り組んでいるが,集めたキャップの個数が多いため容易に数えることができず,そのキャップが何人分の子どものワクチンに相当するのかも知らないままであるという実状がある。この課題を既習の数学を活用して解決させたい。そして,数学を活用することの必要性や有用性を理解させ,課題を解決する喜びとともに数学のよさを生徒に実感させたいと考える。

※エコキャップ運動
ペットボトルのキャップを集めて再資源化することでCO2の削減に寄与し,キャップの再資源化で得た売却益で世界の子どもたちにワクチンを贈るという活動。本校では,キャップ収集に取り組んでいる。

3 指導計画(全16時間)

第1次 比例 ・・・・・・・ 9時間
第2次 比例の利用 ・・・・・・・ 2時間(本時1/2)
第3次 反比例 ・・・・・・・ 4時間
第4次 反比例の利用 ・・・・・・・ 1時間

4 本時の学習

(1)ねらい

(2)展開

学習活動 指導上の留意点(○指導 ◎支援 ◆評価)
(1)学習課題を確認する。

○生徒会で集めたペットボトルのキャップ,エコキャップ運動のパンフレット(800個のキャップで1人分のワクチン)を見せる。

ペットボトルのキャップは全部で何個あるだろう。
(2)予想する。

・およそ○個。

・予想がつかない。

○100個のキャップを見せ,概量をつかませる。

(3)求め方を考える。

・個数を数える。

・重さを量る。

○数えることが大変であることに気づかせ,能率的な方法を考えさせる。

○「重さは個数に比例する」ことを気づかせる。

(4)グループごとに求める。

・重さを量る。

・表,式,グラフを使って個数を求める。

○キャップをグループごとに袋に分け,配布する。

○はかりや電卓を用意しておく。

○誤差が生じることを伝える。

○状況を把握するために机間指導をする。

◎進んでいないグループには表をかかせ,比例の関係を利用するよう助言する。

◆身近な事象に興味・関心をもち,問題の解決に意欲的に取り組もうとしている。

【グループ活動】〈関心・意欲・態度〉

(5)発表する。

・表を使う。

・式を使う。

・グラフを使う。

○発表では筋道を立てて説明するよう助言する。

◆比例の見方や考え方を利用して,問題を解決することができる。

【発表内容】〈表現・処理〉

○比例の見方や考え方が活用されていることをおさえる。

(6)キャップの総数とワクチン数を求める。

・各グループの個数を合計する。

・(キャップの総数)÷800

○ワクチン数を確認し,キャップ収集へ協力したことを称賛する。

(7)本時のまとめをする。

・類題を解く。

○本時の学習を振り返り,数学を生活に活用できることや関数のよさを確認する。

[生徒の反応例]

【表】

①表を横に見て

40個のとき100gである。
重さが8000gつまり80倍になると,個数も80倍になるから,
40×80=3200   したがって,3200個

②表を縦に見て

(個数)×2.5=(重さ)になる。
したがって,(重さ)÷2.5=(個数)である。
重さが8000gのときは 8000÷2.5=3200   したがって,3200個

【式】

キャップの個数がx個のときの重さをygとすると y=2.5x と表される。

y=8000を代入して,
8000 2.5x
2.5x 8000
3200

したがって,3200個

【グラフ】

グラフは,
原点と (100,250) を通る直線である。
y=8000 のときの
x座標を読みとると 3200
したがって,3200個

5 授業のまとめ

(1)生徒の感想

(2)成果

(3)課題

3.おわりに

生徒の感想から分かるように,生徒は自分たちが収集したキャップを教材にした数学的活動を通して,数学が生活に役立つという「数学のよさ」を実感することができた。また,数学をこれからの生活や学習に活用しようとする意欲を高めることができた。

教師が「数学はおもしろい,数学はいいものだ」と思えば,そのような教師に指導される生徒もそのように感じると思う。したがって,具体的な指導方法や指導内容の研修を大切にするとともに,私自身が「数学のよさ」を感じることができるよう,書物を読んだり,研修会に参加したりして,研究と修養に努めていきたい。