(4)
 テーマに適したデータの扱い方やまとめの工夫
 それぞれの実験に適したデータの扱い方(図、表、グラフ、計算、写真、ビデオなど)をアドバイスする。発表時、見る側にとって視覚的にもわかりやすい発表(プレゼンテーション)の工夫を促す。

オシロスコープによる音の大小の記録

  (5)
 効果的な発表(プレゼンテーション)
 自分たちの課題解決の実験の発表を行う。カードを黒板に貼り、発表原稿を読みながら実演(Show&Tell)を交えて行う。本校の理科室の構造上、後方の生徒は発表を見づらいため、演示実験台前に椅子を並べて発表を見聞する。発表に際しては、「総合的な 学習の時間」に行ったスキル学習(発表のしかた、話し方、機器の扱い方など)を利用する。実験内容や考察だけでなく、発表のしかたについても生徒に質疑、感想、アドバイスを求める。

. カードやポスターによる発表
 課題解決学習全体をカードやポスターにまとめ掲示する。カード形式を採用することで、班員に分担ができるとともに同時に作業を進められる。発表時間が十分に確保できない場合は、カードを模造紙に貼りポスターとすることでポスターセッションを行える。この方法では発表後に掲示して残す場合にも有効である。



. 実演発表(Show&Tell)
 自分たちの課題解決の実験を、実際に演示(Show&Tell)をしながら発表をする。これにより生徒全体が、あたかもその実験を実際に行ったような雰囲気を作れるとともに、実験についての理解を深めることが期待される。


オシロ画面をテレビに投影

4方向糸電話

声の高低による粉末の振動


笛の合図による音の伝わりの時間差を体感

おんさによる水面の波をテレビに投影


6.記録と評価
 記録シートを用いて他の班の発表をメモすることで、それぞれの課題解決学習の内容を共有しあい、知識として理解を深める。発表についてのコメントも入れ、今後の参考として活用していく。


 評価では、4つの観点それぞれに、今回の課題解決学習における評価項目と目標基準をあらかじめ生徒に伝え自己評価を行った。個々人の評価基準はまちまちなため、それぞれの項目に文章で具体的に取り組んだ内容などを記述させ、教師はその記述も参考に評価基準をそろえた。評価をワークシートの中から切り離すことで、生徒個々の毎回の評価シートを教師の手元でポートフォリオファイルという形にでき、学期末の評価に活用したのち、教師からの評価を加えて生徒に返却をすることができた。



7.生徒の反応と指導の成果
 今年度は学期に1回ずつ(年間計3回)の課題解決学習を取り入れたが、生き生きと取り組んでいた。回を重ねるごとに発表も上手になり、また見やすくわかりやすいよう、ビデオや投影装置などを駆使したプレゼンテーションを行う班が増えてきた。自分たちで試行錯誤を繰り返し、身近にあるものを利用して課題解決のための実験装置を、ここで紹介した以外のものも多々考案し、またクラス全員が校庭に散らばり、ラジオ体操を行いながら音の速さを体感した班もあり、生徒の創造力の豊かさを改めて実感した。

8.今後の課題
 今回の授業は3年間の基礎に当たる部分に当たる。こうした課題解決学習を通し、2,3年次での授業や選択授業において、個人で自ら課題を見つけ、解決に向けて取り組んでいけるように導きたい。また、設備の点で難しい面もあるが、パソコンを一つの道具として利用した授業展開も避けては通れないのではないだろうか。しかしながら、身近にある物や昔から使われている教育機器にあっても、その使い方をもう一度さまざまな角度から見ることで新しい使い方もあるのではないかと思う。評価の面においても研究を進めていくことが急務である。


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