中学校の教科書・教材|知が啓く。教科書の啓林館
数学

第3学年 関数 どちらの業者で送る方が安いだろうか?

3年 大分県豊後高田市立高田中学校 伊藤 美弘

1.はじめに

生徒たちは,1年次に「ともなって変わる2つの変数x,yがあって,xの値を決めると,それに対応してyの値がただ1つに決まるとき,yはxの関数である」ということについて学習した。それ以降,「比例」「反比例」「一次関数」「2乗に比例する関数」と関数について学習を積み上げてきたが,バス代や駐車場代のように連続ではない関数が身の回りにはたくさん存在する。そこで,同じように階段状のグラフになる関数で,生徒たちが具体的にイメージしやすいものが教材化できないか考えたところ,荷物の運送料にたどり着いた。荷物の重さで料金が決まる業者と,荷物の3辺の和で料金が決まる業者を比較してどちらが安くなるかを比べるものである。実生活の中で3辺の和が問題になることは,航空機の持ち込み手荷物くらいしかないかもしれないが,4つの直方体の組み合わせから,より短くなる方法がないか考える図形的な面白さも取り入れてみた実践である。

2. 実践事例

(1) 単元名 関数
(2) 題目 いろいろな関数
(3) 本時のねらい 与えられた情報を,表やグラフに表すことを通して比較し,どの業者を選ぶのが適しているかを説明することができる。
(4) 本時の評価規準 与えられた情報を,表やグラフに表し,説明することができている。
(見方・考え方)〈グループ活動・班活動観察〉
(5) 指導案
学習活動 指導上の留意事項
導入

1.前時の学習内容を振り返る。

○前時に学習したレンタサイクルの時間と料金の関係とグラフを思い出させる。

2.本時のめあてを確認する。

○班の中で考えを出し合い,課題を解決することを確認する。

自分の考えや人の考えを,伝え合い聞き合い,協力して課題を解決しよう
展開

3.自分に与えられた課題を解く。

○3つの課題を用意し,それぞれ取り組ませる。

  • ○A,B,Cそれぞれの課題グループで考えを交流する。
  • ○それぞれのグループで確認ができたら,班に戻す。

4.本時の課題に取り組む。

安く荷物を送れるのはどちらでしょうか?理由とともに答えなさい

5.各グループでの学びを持ち寄り,課題を解決する。

【予想される生徒の反応】

  • ●重さは11.2kgになるので1300円になる。
  • ●106cmや108cmになる組合せがあるから1200円で送れるのではないか。
  • ●100cm以内に収まる重ね方はないだろうか?
  • ●98cmになる組合せがあった。
  • ○班内で交流させ,班ごとでも交流させる。
  • ○3辺の和が98cmになる重ね方がどの班からも出てない場合は,まだ安くなる方法がないか考えさせる。
まとめ

6.本時をまとめ,振り返る。

○各班の考えを発表させ,確認をする。

シロネコ急便で送る方が安い
(理由:カモメ運送では1300円かかるが,シロネコ急便では1000円で送ることができるから)

○自分の考えや人の考えを,伝え合い聞き合い,協力して課題を解決できたか振り返らせる。

実践の様子1
実践の様子2

3. おわりに

生徒たちは,グループごとの課題が2グループは前時の学習の復習であったのに,1グループだけなぜ空間図形の問題なのか違和感をおぼえていた。班に戻した後も,グラフや表からシロネコ急便の方が安いことはすぐわかり,多くの班が考えを記述しようとしていたが,だんだんと直方体の組み合わせの問題がどんな意味を持つのかわかってきたようであった。もちろん1200円でもシロネコ急便の方が安くなるので間違いではないのだが,より安い方法がないか考えることを通して,実生活の中でもより安くあがる方法はないか,より効率よくできる方法がないかといったことに目を向けられる生徒に育ってほしいと考えている。そのためにも,生徒たちにとって身近で取り組みやすい課題をこれからも考えていきたい。