1.単元について
広がる環境汚染,農薬問題などで,安心して食物を口にすることが困難になってきた。”安心して食べられるおいしい野菜を”自分の手で作ることは,育てる楽しさや植物の成長から季節を感じたり,環境問題にも目を向けることができるのではと考えた。そして,自分の生活を見直し,豊かにしていくことができることを願って設定した。
冬野菜のよさ |
(1)害虫や病気がつきにくい
(2)灌水の必要があまりない
(3)種から育てられ,採種することもできる |
2.児童の実態
1. | | 土に触れるということが少なくなってきた。 |
2. | | 季節の野菜をほとんど知らない。 | 3. | | 害虫をこわがる子もいる。 | 4. | | 野菜ぎらいの子もいる。 | 5. | | 1年生より1人1鉢ずつで,育てた経験がある。
花(1年夏)→球根(1年冬)→夏野菜(2年夏)と好きなものを育てた。 |
3.授業の実際
活動計画(全9時間)
月 | | 学 習 活 動 | 教師の支援と留意点 |
9月 | 第 一 次 | 何を育てようかな ?<3時間> |
・ | 何を育てるか考える。 |
・ | 冬野菜で育てられるものを調べる。
【 にんじん,(サニー)レタス,キャベツ,白菜,ほうれん草,ブロッコリー (大根)】 |
・ | 野菜の種を近くの園芸店で購入し,蒔く。 |
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・ | 1人1鉢で,育てたいものを考えさせる。 |
・ | 植木鉢で育つものを考えさせる |
たね当てクイズ
小さいたねだけどそだつのかな?
にているたねもあるよ |
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10月 〜 2月 | 第 二 次 | どんどん 大きく なあれ<3時間> |
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地域の野菜作り名人にコツを教えてもらう。 |
観察は,デジタルカメラで写真を撮り発見カードに貼り付け,印刷する。 |
防虫,防寒用に透明ゴミ袋をかぶせる。 (11月ころより) |
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水やりは,地面から植木鉢の穴を通るまで何秒かかるか予想させると楽しい。 |
除草は,草と人間の知恵くらべ 根っこがとれたら人間の勝ち! 根っこをのこしたら草の勝ち! |
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2月 〜 3月 | 第 三 次 | 野菜作り 名人は だれだ?<2時間> |
・ | 収穫時の喜びを味わう。 |
・ | おうちの人にプレゼントしよう。 |
・ | おうちの人と一緒にお料理しよう。
【 グラタン,おひたし,ごまあえ,おこのみ焼き,カレー,サラダ】 |
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・ | 無農薬で新鮮な野菜ができたことを学級だよりで紹介し,家族の人と一緒に味わってもらう。 |
・ | 日記や作文で紹介する。 |
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4月 | 第 四 次 | 花が さいたよ。 種も とろう。<1時間> |
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・ | 植えたときと同じ種が,1粒の種からどれくらいとれるか予想させる。 |
・ | キャベツなどの葉には,チョウが卵を生むので,観察させる。 |
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4.成果と課題
都会の食卓で,野菜の旬を味わうことは,むずかしい。しかも,田畑はほとんどなく野菜の成長を目にすることも滅多にない。しかし,そんな環境の中でも,育ててみようという意欲さえあれば,植木鉢1つと,わずかな土があれば野菜は育つ。庭のない家庭でも,ベランダでも。
私は今回,初めて種から栽培してみた。小さな一粒の種が,実を結び,仲間を増やしていく。自分の成長と重ね,生きていくすばらしさも共感できたように思う。
自分で育てたものを「食する」という体験は,農業の楽しさや苦労を知り,環境を大切にしていく素地になったのではないかと思う。
(課題)
1.それぞれの野菜で収穫期が違うので家族の協力なしにはできない。
2.長期間にわたるので,根気強い支援が必要である。
5.その他
※ | コンピュターの活用について
ゆとりの時間(土曜日)を活用
1年生よりデジタルカメラ,スキャナー(アルバム作りなど)を使い授業に役立てている。 デジタルカメラは,探検グッズの必需品。 |
※ | 植木鉢以外では |
(学習園)
年度 | 育てたもの | → | 食べたもの | ワンポイント |
H.6 | さつまいも | → | 親子で自由クッキング | 作りたいものでグループ分けしパーティをする。 |
H.7.8 | さとうきび | → | 黒砂糖 | 硝石灰が必要(こんにゃく屋さんでわけてもらう) |
H.9 | ピーナツ | → | クッキー | オーブンが必要 |
H.10 | 大豆 | → | 納豆 | 納豆菌は納豆屋さんでわけてもらう。 |
花がさいたブロッコリー (3月)
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