1.単元について
(1)地域の特色を生かして
2年生の生活科は,学校の周りの環境によって単元展開が変わってくる。環境を生かした学習を進めることが,つまり子どもが慣れ親しんでいるところから課題を見つけることが大切である。
山間部の小学校ならば,近くを流れる川を核にして活動を展開することができる。都市部の小学校では,商店街,交通機関,公民館などの施設が身近にあるので,何度も足を運んで学習できる。その中で地域の人との交流が生まれ,自分たちの町の良さに気付くようになると考えた。
(2)子どもの活動を価値付ける
グループごとに町へ出て調べる活動をするとき,担任は全てのグループについて行くのは不可能である。それぞれのグループの活動を知る方法として,私は「発見カード」に記録された内容を読んだり,子どもの話を聞いたりしてきた。ところが文章表現の得意な子は見たことや感じたことをわかりやすく絵や文に表しているのに,苦手な子は白紙のまま提出することがあった。
何を見てきたのか。それがわかれば話も聞きやすいと考えて,「レンズ付きフィルム」を使うことにした。子どもが撮影した写真を見ることでその子の思いを感じ取り,価値付けていくことができた。
2.活動計画<15時間>
| 学習活動 | 教師の支援と留意点 |
第 1 次 |
◎清水の町の好きなところ<2時間> |
○ | いつも遊んでいる場所や気に入っている所を出し合って,自分たちの町について思いを巡らせた。 |
○ | 黒板にまとめながら,
のように分類した。 |
○ | 好きな理由やその場所での思い出なども言わせていった。 |
○ | 浄念川にはボラが生息しているため関心が高かった。 |
○ | 3月と12月にそれぞれの神社の祭りがある。 |
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○好きな場所とその理由を発表する。<2>
・店 |
ペット おもちゃ 花 ラーメン 米 本 肉 くつ おかし やおや
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・スーパーマーケット ・コープ(生協) |
・清水港 |
『テクノスーパーライナー希望』 『水上バス』(塚間・貝島行き) 『港内巡り観光船』 バス・タクシー フェルケール博物館
| →交通 |
・川 ・鳥 |
巴川 浄念川
スズメ シラサギ ツバメ
| →自然 |
・公園 ・神社 |
松井町公園 幸町公園
美濃輪稲荷神社 西宮神社
| →遊び場 |
・公民館 |
清水公民館 南部公民館
| →図書館 |
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第 2 次 |
◎好きなところを紹介しよう<6時間> |
○ | グループに1台,レンズ付きフィルムを持たせた。 |
○ | カセットテープレコーダを使うグループもあった。 |
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○ | 目的地別のグループに分かれて,写真を撮る場所を相談する。<1>
・場所を決める。 ・持ち物を決める。 |
○ | 写真を撮りながら,そこにいる人にインタビューする。
<2>
・町の人の話を聞く。 ・見つけたことを記録する。 |
○ | 写真やインタビューをもとに好きなところを紹介するカードを作る。<3>
・紹介カード ・紹介新聞 ・作文 |
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第 3 次 |
◎もっと調べてみよう<5時間> |
○ | 調べる視点については教師の考えも伝えた。 |
○ | 写真には町の人と一緒に写るようにさせた。 |
○ | できるだけ町の人に話を聞く機会をもたせた。 |
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○ | 目的地別グループを再編成して,調べ方を相談する。<1>
・年間行事について ・利用の仕方について
・詳しく調べる方法 ・だれに聞くか |
○ | 計画に従って調べる。<3>
・店の人の話を聞く。
・おじいさんやおばあさんに聞く。
・祭りのことを聞く。
・年間行事を教えてもらう。 |
○ | 発表の準備をする。<1>
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第 4 次 |
◎年間学習計画を立てよう<2時間> |
○ | 実現できそうな項目を選び,学習する時期を考えた。 |
○ | 発表に使った物を掲示して意欲をつなげていった。 |
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○ | グループごとに発表する。<1> |
○ | 2年生の生活科の学習計画を立てる。<1>
・浄念川の魚や鳥を観察しよう。
・次郎長通りに来るツバメを調べよう。
・2年生の祭りをしよう。
・バスに乗って出かけよう。 |
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3.私の工夫
グループごとに「レンズ付きフィルム」を持たせ,見つけた物を自由に写させてみた。家からカメラを持ってきた子にはフィルムを与えて写させた。私はでき上がった写真を見て,子どもの視点や町の人との交流を価値付けることができた。
しかし,27枚を撮りきるのに約2週間かかってしまうため,授業ごとに価値付けたり評価したりすることはできなかった。また,現像やプリントに予想以上の費用が必要になり,学級費だけでは足りなくなってしまった。最近売り出されている「デジタルカメラ」が数台あれば活動後に教室で子どもの話を聞きながら画像を見ることが可能になるし,コンピュータとプリンタを使って印刷し,すぐにノートやカードにまとめられるだろう。
高価な「デジタルカメラ」を子どもに持たせることには不安もあるだろうが,利用価値も高いので予算があれば是非備品として購入したい。
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