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冬をたのしく | |
大阪 T.K. |
2.単元設定の理由 子どもは,冬という季節に対してどのような対応をしているのだろうか。季節感が薄れつつある都会での生活においても,子どもは自ら進んで外に飛び出して遊ぶことは少なく,寒い気象を避け屋内で過ごすことが多いと思われる。従って,冬の生活を楽しむ工夫をしたり季節感を取り入れた遊びを考えたりして,積極的に季節の事象に対してはたらきかける営みは少ないのではないか。 そこで,本単元を設定し,町の自然や人々の生活の様子から冬という季節を諸感覚をはたらかせて充分に味わうとともに,季節感を取り入れた遊びに積極的に挑戦し,みんなで遊び方を工夫することにより,冬の季節の特徴を生かして自分なりに友達と楽しもうとする態度を養おうとした。 冬の遊びとしては,1学年で体が温まる遊びを経験していることをふまえ,本学年では冬の自然現象を遊びに生かすことを考えた。つまり,温度の低下により氷が張ることからの氷遊びや,強い北風を利用したたこあげなどを冬の遊びとして位置づけることである。それにより,子どもが寒さを遊びに取り込もうとする姿勢をもつことにより季節に対応した遊びや生活をつくりだすことを期待している。 氷遊びは,本単元で取り扱う遊びのなかでは子どもたちが高い興味を示す遊びであろう。それは,校庭の池や水たまりに氷が張ると登校してきた大勢の子どもが集まり,割ったり手に取って眺めたりしている姿からも予測される。雪が積もることがほとんどない大阪の町にあって,氷は,冬の自然現象を代表するものとして親しみやすいものなのだろう。本単元においては,氷で思い切り遊ぶことにより,子ども一人ひとりの自由な発想や夢を生かすようにするとともに,遊びに必要なグループをつくったり楽しく遊ぶためのルールを考え出したりすることができるようにする。つまり,遊びを創造的に展開できる子どもを育てようと考えている。 3.環境の構成 氷遊びについて 子どもたちにとって氷は身近な存在である。家の冷蔵庫には製氷皿があり,いつでも取り出して飲物を冷やすことができる。しかし,諸感覚をはたらかせて氷そのものの特質「冷たい・溶ける・滑る・割れやすい・透き通っている」を充分に楽しんだり,その特質を生かした遊びを工夫したりした経験は乏しいと思われる。そこで,氷が溶けにくい冬の自然のなかで,思い切り氷遊びに浸る環境を構成し,氷遊びの楽しさが体得できるようにする。
5.実践を終えて 本時は,市販の大きな氷を使い,場の設定もあらかじめしておくことにより子ども一人ひとりにおいては十分な活動量があったと思われ,感覚を駆使して氷の不思議さに気付きおもしろい遊びが展開できたようだ。
しかし,指導者がお膳立てしすぎて子どもの遊びがもつ本来の自由度がやや失われたようだ。例えば,氷が同じサイズ(20×40×20p)であり同質であったので多くの子どもは叩いて割る遊びから始めていた。子どもが各自で用意した様々な氷であれば,見せ合ったり大きさや透明さを比べたりして多様な活動が期待できたかも知れない。
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