2年
まかせろ じまん グーな町          

大阪府A小学校



1.実践にあたって

 素直で人なつっこい子ども達で,話したい,聞いてもらいたいという気持ちの強い学年である。毎朝の健康観察でも,決められたように「はい。元気です。」というのではなく,自分の気持ちや昨日の出来事を話してくれる。小さなもめごとはおこるが,困っている友だちをなんとか助けたいという気持ちをもっている。そんな子ども達が,自分達の町が好き,そこで生活している人が好きと自慢できる子ども達になってほしいと願い,『まかせろ じまん グーな町』の活動を考えた。また,地域の人や保護者の方にも町づくりに参加していただき,多くの人から認められることによって,より一層自尊感情を身に付けてほしいと考えた。


2.学習活動名 『まかせろ じまん グーな町』


3.学習のねらい

1 自分が住んでいる町のすばらしさを見つけたり,そこに住む人の温かさにふれたりする中で,自分の町の良さを感じる。
2 友だちと力を合わせて,自分たちができる町づくりの活動をやり遂げる。
3 調べたことや考えたことを伝え合うために,わかりやすく表現する。


4.指導計画(全18時間)

ふしぎ発見町たんけん(4時間)
すきなところはどこ?どこに行きたい?
校区を歩こう
どんなふしぎを見つけた?→ふしぎ・じまんを発見!
3つの指令が届いたよ→やってみよう
  1自慢を探すこと 2お得情報を仕入れること 3インタビューした人の笑顔を撮ってくること

町じまんを見つけよう(4時間)
町の自慢の場所を選ぼう→10グループに分かれる
指令「インタビューした人の笑顔を撮ってくること」をやり遂げる方法を考えよう
プロの写真屋さんに話を聞こう「写真の撮り方」
インタビューの内容を考えよう

町じまんをしよう(4時間)
インタビューしてきたことをまとめよう
3年生に町じまんを発表しよう
指令IIが届いたよ
  1T保育所の自慢の中から探すこと 2写真の場所を探すこと 3つながりをもっとつくること。
町じまんを地域の人や家の人にも伝えよう

グーな町だよ!大作戦(4時間)
どんな絵を描くか,考えよう
壁を管理している人に頼みにいこう
描いてもいいよと言われるための作戦を考えよう
家の人にも協力してもらおう
作戦の実行だ!「壁に絵を描いていこう」

つたえよう ひろげよう(2時間)
6年生を送る会で発表しよう


5.活動の実際

 学習活動全体が,子どもたち自らが問題を解決していく流れになるように,いくつかの工夫を取り入れた。

1 ゲストティーチャーによる学習支援

 「ふしぎ発見町たんけん」は,子ども達にとって自分達の住んでいる町を新たに知り,いろいろな不思議を見つけた学習であった。また,学年全体で話し合う授業や学習課題を見つける授業を通して,友だちに自分の考えを伝えようとする気持ちが少しずつ出てきている。学習の過程で指令である笑顔を撮るためにはどうしたらいいのかをプロの写真屋さんから話を聞く機会を得たが,相手の人が心から笑えるように話しかけること,自分達も笑顔で話すことなど,インタビューする側の心構えも話してくださった。

 インタビューの内容は,プロの写真屋さんに教えてもらったように,インタビュ一させてもらう人とのつながりがつくれる質問の中身を考えることから始まった。相手が笑顔になるような質問であることと自分達が聴きたい質問であることを確認した。まず,一人ひとりが自分の考えた質問を書くということから始めた。これは,意見を言いやすい子どもだけの話し合いにならないために考える時間をゆっくりとり,グル一プ全員でインタビュ一の中身を考えたかったからである。自分達だけでインタビュ一に行く責任感を持ってほしいという願いもあった。

2 インタビュー先への依頼文の送付
 インタビューに協力いただいた方々は,快く子ども達の学習活動に参加いただけた。しかし,子ども達の質問に答える側となると,期待や不安が入り混じっていることと思われる。そこで,打ち合わせも兼ねて事前に子ども達の質問内容等を手渡し,気楽に対応していただけるように配慮した。

3 教師からの「指令」による支援

『町たんけん』への協力のお願い

 元気な子どもたちの声が,学校にもどってきました。明日から,プールも始まり,二学期の学習や行事に向かって,「がんばろう。」とみんなで話し合っています。

 さて,一学期から生活科では,『町たんけん』に取り組んできましたが,二学期は,もう少しふくらませて,学習していきたいと思います。“この町のじまんを見つけよう”とじまんの場所10グループに分かれて,インタビューに出かける計画をしています。

 インタビューの際に,子どもたちは次の指令をやり遂げることを目標にしています。

1. お得情報を仕入れること
2. インタビューした人の笑顔をとること

 同じ時間にそれぞれのグループがインタビューに出かけます。その時の安全を最優先に確保していきたいと考えていますが,2年担当教師の人数では,ついていけないグループも出てきます。

 そこで,保護者の方にご支援をお願いします。当日10日(水)9:45〜11:30に子どもたちのグループについて頂ける方を募りたいと思いますので,よろしくお願い致します。協力頂ける方は,5日(金)までに下記の用紙にご記入の上ご提出願います。詳細については,参加していただける方に後日連絡します。

 子ども達が問題を解決していく過程では,どうしても視点が広がりすぎてぼやけ気味になりがちである。そこで,学習のねらい近づく活動として流れるように,意図的に教師から「指令」という設定で,子どもたちの活動を絞る方法を試みた。課題を投げかけては子どもの活動を広げ,次に「指令」により視点を絞り,さらに意識を高めて活動を進めることで,学習に対する満足感を深めていく活動ができた。

4 保護者による支援

 インタビューの時には子ども達が安心して校区内を探検できるように,保護者にも同伴をしていただく協力を願った。また,最終課題の"壁に絵を描く"活動にも,保護者の協力を得た。一人の力では到底できないが,友だちと力を合わせることで大きな課題も乗り越えていける。そして,乗り越えられた時の喜びは,自分に自信をもつことにつながる。さらに"壁に絵を描く"ことは,2年生が見つけた町じまんを地域の人たちへ伝えることであり,自分達が町づくりに参加できた達成感も味わうことになる。この活動を通して,友だち同士のつながり,地域の人達とのつながりをより深めてほしいと考えている。


5 表現方法の工夫

 子ども達が得た情報を整理し自分の考えや願いを加えて表現するために,作文や学習ノートに頼る話し合い形式だけではなく,ペープサートを使って発表したり,壁画として絵に描いて表現したりする方法を取り入れた。


6.学習を終えて

 教師が学習活動を練りこむほどに,子ども達は教師の願い以上の力を発揮してくる。教師集団の意気込みと工夫が,子どもの力を育んでいるという実感を得ることができた活動であった。


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