2年
町のものしり名人をめざして          
〜レッツゴー!町たんけん〜          

愛知県A教諭



1.実践にあたって

 児童は校内でいろいろな人とかかわる活動を行ってきた。2年生になって,今度は1年生のお世話をしたいと意欲満々である。このような児童の意欲を生かして校内からさらに一歩踏み出し,自分たちが暮らす町の中に飛び出し,活動の場を広げたいと考えてこの単元を設定した。


2.単元名 レッツゴー!町たんけん


3.単元の目標

友達と協力しながら「町のものしり名人」になることをめざして主体的に探検活動を行い,お知らせ会の準備や発表をする活動を通して,いろいろな人とかかわり,人の温かさ,人と触れ合うよさや楽しさなどを感じ取ることができる。
「お知らせ会」を開くことにより,見たり聞いたりしたことを自分らしい方法で表現する力が育つ。
メッセージカードをやりとりするかかわりの中で自分の成長に気付くことができる。


4.指導計画(全17時間)

町のものしり名人をめざして,さあ,さくせんかいぎだ! (2時間)

町をたんけんしよう (7時間)

町のものしり名人がはっけんしたことを おしらせします! (7時間)

おれいの気もちを とどけよう (1時間)


5.活動の実際

町のものしり名人をめざして,さあ,さくせんかいぎだ!

 単元の学習に入る前に校区の白地図を用意して,学校を書き込み,学級の児童の家の位置にシールを貼った。カードにお勧めの場所の絵と紹介したいことを記入し,持ち寄った。一人ずつお勧めの場所が町の中のどの場所かを地図で指し示し,確かめながら発表しあった。

〈おもな発表内容〉
  ○○君のお母さんが働いているパンやさんです。
○○さんの庭には,花がたくさん咲いています。
バッタやカエルがたくさんいる公園です。
11月にお参りがあっておいしいごちそうが食べられるそうです。


「さあ,町探検に出発だ!」

町をたんけんしよう

(学年での探検)〔探検1回目〕

 友達のお勧めの場所の位置や様子を確かめたり,新たに町のよいところを見つけたり,町の人の様子を見たりするために学年での探検の計画を立てた。そして,町の人の様子,春の自然,公共物や公共施設を確かめてくることにした。

 「町のものしり名人になろう!」と意気揚々と町探検に出発した。朝の町は静かで,あまり人に出会わなかったが,時間がたつにつれ,幼稚園児を迎えにいくバス,ごみ回収の仕事をする人,家を建てている大工さんなどが見られるようになり,徐々に活気づいてきた。クリーニング屋さんの窓からはアイロンがけをする様子が見られた。田んぼではちょうど田植えの真っ最中で,苗を積んだトラックとも擦れ違った。みかんの花の香りの漂う中,児童は春の町を体感することができた。


「これがこんにゃくいもだよ。」

(グループ探検)〔探検2回目〕

 さらに詳しく調べてみたい場所や内容を話し合い,グループを作った。探検先では見てくるだけでなく,必ず一人一つはインタビューしてくるように質問内容をグループで話し合ったり,練習したりしてから探検に出かけた。

 探検では実物を見たり,触れたりすることができた。おかげで,町のことがもっと知りたい,町の人とかかわりたいという意欲が高まったようである。



町のものしり名人がはっけんしたことを おしらせします!

(お知らせ会の計画)

 お知らせ会の準備を始めるにあたって,これまでグループでの発表の経験がないので,教師側が,絵地図・紙芝居・ペープサート・本・町新聞・実物や模型を見せる方法などがあることを知らせた。そして,探検した場所によってどの方法が分かりやすいかを考えながら,グループ毎に発表の仕方を話し合って決めた。

各グループの発表方法
  YYストライク
グループ
からうすすぎこん
グループ
ゆうゆう
グループ
なかプッチャ
グループ
小さいパンやさん
グループ
場所 公園(5カ所)
Yストア
杉山食品(こんにゃく屋)
唐臼保育園
郵便局
長命うどん
金魚池
祖父母の家
ラバ(パン屋)
安託寺
発表方法 絵地図・新聞を使った説明 ペープサート
(インタビュー)
粘土模型
ニュース
(実演)
絵・見取り図を使った説明・インタビューの実演・クイズ 紙芝居・クイズ


グループの友達からのメッセージカード

(お知らせ会の準備)

 グループで相談しながら発表のための絵を描いたり,ペープサートを作ったりした。

 授業の最後には,グループの友達の頑張りをメッセージカードに書いて交換し,互いに認め合う活動も行った。カードをもらうことにより,活動の意欲が高まり,グループの友達の仲も深まった。


(学級・保護者へのお知らせ会)

 学校公開日を利用して,お知らせ会を行った。金魚池の発表では,学級の児童の家が見学先であったため,仕事をしている祖父にお知らせ会に来ていただいてインタビューの様子を再現することもできた。「とても分かりやすかった。」と高評であった。発表が終わる毎に,児童は発表グループに対してメッセージカードに記入した。保護者からも「発表が分かりやすく,チームワークもよかったです。」など,心のこもったメッセージをいただいた。


(1年生へのお知らせ会)

 学級でのお知らせ会の後,メッセージを読んだり,家庭に帰ってアドバイスをもらったりした。

 2度目のお知らせ会は,声も大きくなり,自信を持って分かりやすく発表できた。1年生からは「発表の仕方が分かった。」「町のことがわかった。」という感想が聞かれた。2年生は1年生から言葉や手紙をもらい成就感を味わうことができた。



おれいの気もちを とどけよう

 お知らせ会を終えて,見学先の人やボランティアの保護者の方に優しくしてもらったときの感謝の気持ちを伝えることにした。手紙の中には,インタビューが初めてできたこと,いろいろ知ることができたこと,発表会を成功させることができたことなどがつづられていた。これからも町の人とかかわっていきたいという気持ちも書かれていた。


6.学習を終えて

自分たちの住む町への関心が高まってきたこの時期に,町探検を行ったことが児童の意欲を高めた。自分から進んでかかわっていこうとする様子も見られるようになってきた。活動の後,全児童が「町のものしり名人になれた」と胸を張って答えた。
メッセージカードは児童の意欲を高め,励ましになった。また,相互評価することによって,個人での活動が多かった児童も,友達と協力する楽しさを知ることができた。さらに,自分の成長を,他の人の言葉で教えられ,改めて気付かされることにもなった。
これまで一人ずつ発表する場面はあったが,グループでの発表はこのお知らせ会が初めての経験であった。そのため,教師が発表の方法を説明したり,発表文作りを援助したりする場面が多かった。他のグループの発表を見ることで,児童はいろいろな方法で発表できることを知った。この経験を次の学習に生かいていけるよう,児童の思いや願いを十分に表現させる支援の方法の工夫が今後の課題である。

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