1年
きゅうしょくっておいしいね         
神奈川県相模原市立夢の丘小学校
教諭 金田 広子
1.単元のねらい

 給食を通して,作っている人たちへの感謝の気持ちをもったり,いろいろな物を食べることの大切さを感じたりすることによって,自分をふりかえり,食生活を見直す。

2.単元について

(1)給食を通して食の大切さを考える

 子どもたちは給食の時間が大好きであり,毎日学校でみんなと食べている給食は,食を振り返る上で「生きた教材」となる。日常の給食の残量状況を振り返る中で,給食を作っている人の気持ちに思いをはせることで,感謝の気持ちを育めるのではないかと考えた。

 また,残量をゼロにするために自分たちで献立を考える活動を通して,栄養についても目を向けることができるだろうと考えた。これらの活動を通して,好き嫌いなく食べる意識を高め,偏りのない食事が習慣化できるようにしていきたい。

(2)「食」が健康へとつながることを実感するために

 本単元では,学校給食では多様な食品が使われていることに気付かせるとともに,食事と体のつながりについて関心をもてるようにさせたい。そこで,自分たちが残さず食べることができると思う献立を考え,それを給食の献立と比較することによって,栄養のバランスが大切であるということを実感させたい。それぞれの献立の材料を3つの栄養素に分け,その違いを目で分かるような教材を用意する。そして,自分たちが考えた献立では何が足りなくて何が多いのかを分かるようにし,それが体にどのように影響するのかを栄養士の先生に話をしていただくことで理解できるようにしたい。

3.単元計画(全10時間)

第1次 給食の食べ方を振り返ろう(1時間)

第2次 給食を作っている人に話を聞いてみよう(2時間)

第3次 自分たちで献立を考えよう(4時間)

第4次 これから自分たちはどうしたらいいか考えよう(3時間)

4.授業の実際

1給食の食べ方を振り返ろう

いつも残さず食べているよ。
嫌いなものがあって,どうしても全部食べられないんだ。
時間がなくて残してしまうんだ。
こんなに給食が残ってるなんて気付かなかった。
いつも食べている給食のこと,もっと知りたいな。
給食を作っている人に聞いてみたらいいんじゃないかな。

2給食を作っている人に話を聞いてみよう

どんなことを聞こうかな。
給食を作ることで,たいへんなことは何ですか。
どんな気持ちで給食を作っているんですか。
給食を作って,嬉しいと思うときはどんなときですか。
残った給食を見てどんな気持ちになりますか。

3給食を作っている人の話を聞いて,思ったことを話し合おう

栄養士さんや調理員さんたちは,一生懸命作ってくれてるんだなあ。
給食を作るのってたいへんなんだね。
残さないようにするにはどうしたらいいんだろう。
残さないためには,好きな物を作ってもらえばいいんじゃないかな。

4残さないために,自分たちで献立をリクエストしよう

スパゲッティーなら全部食べられるよ。
ポテトチップスを作ってもらおう。
パンは半分残してしまうけど,チョコパンなら全部食べられるよ。
牛乳じゃなくてジュースがいいな。
自分たちが考えた献立で,給食を作ってもらえるかな。
栄養士の先生に聞いてみよう。グループで献立を考えよう

5考えたリクエスト献立を栄養士の先生に見てもらおう


これなら全部たべられる献立を考えてみたよ。
給食で作ってもらえるかな。
自分たちで作った献立は,野菜がすごく少ないんだね。
黄色がすごく多いよ。
これじゃあ,列車が動かないよ。
じゃあ,給食はどうなんだろう。
給食って,体のことを考えて作られているんだね。

6いろいろな物を食べるために,自分ができることを考え,実行しよう

自分たちが考えた献立を食べ続けているとどうなるんだろう。
何でも食べないと,大きくなれないし,病気になっちゃうんだ。
今までいろいろ残していたけど,食べなきゃいけないんだな。
栄養バランスのとれた献立を考え直してみようよ。
ごはんを食べないと元気が出ないから,がんばって食べるようにしよう。
お肉が嫌いだけど,食べないと大きくなれないんだな。少しずつ食べてみるよ。
野菜も食べないと病気になっちゃうよ。嫌いなピーマンも少しでも食べてみよう。
お母さんににんじんの料理をしてもらって,おうちでもがんばって食べてみよう

7これから自分たちはどうしたらいいか考えよう


がんばって食べてみたら,おいしかったよ。少し食べられるようになったよ。
わたしたちのために作られている給食だから,できるだけ残さないで食べたいな。
おいしい給食をありがとうっていう気持ちを忘れちゃいけないと思うな。
何でも食べないと大きくなれないことが分かったよ。
がんばって,嫌いな物を食べてみたよ。おうちでも,少しずつ食べてみよう。
牛乳を半分まで飲めるようになったよ。全部飲めるようにがんばりたいな。

5.成果・課題

 好きな物を食べ,嫌いな物は残す,平気で食べ物を捨ててしまうことが多かった子どもたちであったが,本単元を通して「食」に対する意識が高まった。

 給食の献立を自分たちで考え,栄養士の先生にアドバイスをうけたことで,「学校給食は栄養バランスがとれているんだな」と実感していたようだった。また,「私たちのことを考えて,一生懸命作ってくれているんだね」「おいしく食べられる工夫をしてくれているんだ」と作ってくれている人の思いに気づき,感謝の気持ちをもつことができた。

 学習後の給食の時間には,入っている材料に興味を持ち,「これは緑の食べ物だね」「これは何色だろう?」とつぶやく声も聞こえるようになった。また,自分の体のために,苦手なものも頑張って食べてみようとする子も増えてきた。給食の残量が随分と減り,「食べてみたらおいしかった」「全部食べたよ」という声が多く聞こえるようになった。

 一方,子どもたちの意欲を持続していくためには,家庭との連携を図っていく必要があると感じている。


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