2年
ぼくの わたしの こうみんかん         
〜つくろう!ふ小サークル〜         
福岡教育大学附属福岡小学校
教諭 塚本 正典
教材化を図るための視点

次の3つの視点から教材化を図ることが大切であると考えます。

本物体験であること
   模擬的な活動ではなく,実際の場で,緊張感があり,様々な人とのかかわりを生み出すもの
目的達成的であること
   活動の目的が明確であり,活動の意味や意義を感じたり,目的の達成感や成就感を得ることができるもの
継続的なかかわりができ,自分の生活を変えること
   学習後も自分のかかわりが広がり,自分の生活に生かしたり役立てたりできるもの

単元目標

公民館で行われる読み聞かせや体操等の様々なサークル活動の様子に関心をもち,意欲的にふ小サークルを開きながら,マナーを守って正しく公民館を利用することができる。
「ふ小サークル」を開く活動を通して,サークルを進める人たちが,多くの人に読書や体操の楽しさを伝え,サークルの素晴らしさを知ってほしいという思いや願いに気付き,友達とともにサークル活動をつくっていくよさに気付くことができる。

単元指導計画(10時間)

であう段階(3時間)
公民館の探検を通して,公民館で実際に進めてあるサークル活動(読み聞かせ,さわやか体操)に出合う。2
自分ができることについて見通しをもつ。1
 
ふかめる段階(5時間)
自分が作りたい活動をもとに,グループごとにサークル活動をつくる。2
グループごとにサークル活動を発表し,GTとともによい点や課題について話し合う。1
新たな課題をもとに,取材を進め,サークル活動を作り上げる。2
いかす段階(2時間)
公民館で,サークル活動を進める。2

授業の実際

であう段階(3時間)
公民館の探検の中で,様々な部屋があることや,小さい子どもからおじいちゃんやおばあちゃんまで,様々な人が利用していることに気付きました。その中で,2つのサークル活動に出合い,読み聞かせの活動や体操の活動に参加することができました。
 
公民館の探検にいったよ   さわやか体操をしたよ   読み聞かせを聞いたよ
 
2つのサークル活動の出合いをもとに,「読み聞かせを聞いたから,今度は自分たちでやってみたい」「おばあちゃんたちと体操を一緒にやってみたい」という思いをもつことができました。そこで,自分がやってみたい活動を選択して,グループごとに読み聞かせの活動や体操の活動を進めていくことを決めました。
 
ふかめる段階(5時間)
体操サークルの活動の様子        
  おばあちゃんのことを考えて,ゆっくりとしたリズムで,体や足をしっかりのばす体そうを考えました。
 
読み聞かせサークルの様子        
  小さい子どものことを考えて,楽しい絵本を選びました。そして,絵がよく見えるようにして,ゆっくり読んだよ。
 
 子どもたちは,まずサークルのグループごとに活動づくりを進めました。読み聞かせのグループは,まず本選びをして互いに役割分担を決めて本の読み聞かせを進めました。体操のグループは,どんな体操をするのか,どんな順序でするのかというプログラムを考え,体操を進めていきました。その時に,相手意識を大切にしながら,活動の目的をもって取り組んでいくことができました。

 さらに,自分たちの活動を吟味するため,友達どうしで見合ったり,GTからのアドバイスをもらったりしながら,自分たちの活動を見直すことができました。
   
    小さい子どものことを考えて,丁寧に読むことは,大切なことですね。そして,相手の顔を見て,楽しく話したり,間をとって読んだりするともっといいね。
GTの方にアドバイスをもらったよ    
 
いかす段階(2時間)
 子どもたちは,実際の公民館の場で,それぞれのサークル活動を進めていきました。実際の場で,読み聞かせや体操をすることにより,自分たちの活動の達成感や成就感を味わうことができました。
 
小さい子どもに,読み聞かせをしたよ   おばあちゃんと,自分たちの体操を進めたよ

指導の成果と今後の課題

教材化について
   公共の施設の場である公民館を正しく利用していくために,公民館の施設や活動を支えている人の立場から見ていくことは大切であると考えます。そして,子どもたちが真剣に取り組むために,活動の意義を感じるために,本物の,実際の場における活動の教材化を図っていくことは有効であったと考えます。今後,子どもたちの生活が継続的にどう変わっていったのか見取っていくことが課題であると考えます。
活動構成について
   であう段階,ふかめる段階,いかす段階という3つの段階で構成し,どんなことをやってみたいか,どんな活動ができそうか等の活動の見通し(イメージ化),友達どうしの試行的な活動,取材をもとに意図的計画的な活動に高めて繰り返し働きかける本格的な活動を位置づけたことは,有効であったと考えます。
教師の支援について
   子どもたちが自然と自分の活動を振り返り,気付きを得ながら,次の活動に生かしていくように,具体的な活動を仕組んでいくことが課題であると考えます。

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