私の実践・私の工夫(生活科)

2年
『見て,かんじて 町がすき,人がすき!』           
香川大学教育学部附属坂出小学校
真鍋 佳樹

1.単元の目標

 ・目的をもって調べたり,働く人に質問したりし,自分なりの方法でまとめ,町へのかかわり方を考えようとする。

 ・町探検での調べ方や人との交流の仕方を考え,分かったことや楽しかったこと等を工夫して表現することができる。

 ・公共施設・公共物がみんなに役立っていることや,施設や商店で働く人の思いを知り,物と人の思いとが深くかかわっていることや,自分自身の地域へのかかわり方に気付くことができる。
2.単元について

 (1) 単元開発

 「町探検」は,子どもが自ら地域に出かけていき,町を見て感じて,そこで働く人とかかわり,その結果を,交流したり,人に伝えたりするといった面で,子どもの関心・意欲が喚起されるだろう。また,自分の五感を通して気付いたことを表現しようとすることや人とのかかわり方を工夫しようとする必然性も高まるであろう。

 ここで培いたい力は,探検で得た伝えたいことを,プレゼンテーションする際に工夫していく力,地域の人の思いや願いを知るためのポイントとなるインタビューを工夫する力である。いずれも,国語科との関連を密にした力である。

 (2) 単元の組織について

 本校は,校区をもたないため,子どもたちの生活圏は,必ずしも本校の周辺に限るわけではない。そこで,単元を構成するに当たっては,「本校を中心とする坂出の町探検」と「自分の住んでいる町探検」を段階的に組み立てる。

 まず,学校周辺の町探検を共通体験として組み,その活動の中で,プレゼンテーションを工夫していく力,地域の人とかかわりのポイントとなるインタビューを工夫するという2つの力の基礎を確立していく。この時期の子どもたちは,表現においては,「自分が伝えたいことが相手に正確に伝わっているか」といった相手意識も十分には育っていない。また,直接目に触れる「物」への関心が高く,その物を生み出している人々の思いや願いに迫るといった視点を持ち得ていない傾向がある。そこで,「坂出の町探検」においては,探検の際に撮った「写真の活用」を考えたり,「物」から「人」への視点の転換を図っていったりしたい。また,複数回の「坂出の町探検」を行い,その間にプレゼンテーションやインタビューの質問の在り方を吟味する交流の場を設定していきたい。

 

3.単元の流れ

 <第1次> 学校のまわりを探検しよう パート I (8時間)

2年生79人で,坂出の町探検に行ったよ。駅や公園,商店街,図書館に資料館・・・。よし,地図にまとめて次は,自分の探検場所を決めて,2回目の探検に出発だ!


 <第2次> 学校のまわりを探検しよう パート II (14時間)

10グループに分かれて,お気に入りの場所の探検だ。


大ブームの「さぬきうどん店」。機械がたくさんあったよ。賞状もたくさん飾っていてびっくり。

池にはコイがたくさんいたよ。ごみ一つ落ちていないきれいな公園だよ。どうして,こんなにきれいなのかなあ。


アーケードのある商店街。お店の看板が,同じ形で,同じ場所に並んでいたよ。アーケードには「鯉のぼり」の飾りがあったよ。

いつも利用している坂出駅。でも,奥の方にエレベーターがあったのには気づかなかったなあ。



 グループで探検して,たくさんの写真を撮ってきたよ。でも,発表会では,どの写真を使って見つけた秘密を説明したらいいかな?


 町探検で撮影してきたたくさんの写真の中から,自分の発見を話す時に使うものを選んでいきました。2人の教師の提案をめぐって,子どもたちからは厳しい指摘が飛び出しました。そして,「伝えたいことが真ん中に!」「伝えたいことが大きく!」といったコツに加えて,伝えたいことに応じて写真を組み合わせたり,比べたりする方法も,グループの活動の中からたくさん生まれてきました。

↓

 「町のお気に入りの場所のひみつをもっと知るために,インタビューをしたい。」みんなが探検した香風園に関係のある方をゲストティーチャーにお招きしてどんな内容を質問すればよいかを考えました。それをモデルとしてものに関する質問,人の努力や気持ちを問う質問があることを発見しました。そして,各々が考えた質問を見直したり,人の願いや思いを聞き出すような質問内容を付け加えたりしていきました。

 <第3次> 自分たちの町を探検しよう (5時間)

 この後,子どもたちは学んだインタビューやプレゼンテーションのコツを使って,自分の町の探検をし,発表会に向けてがんばっています。

4.実践を終えて

 今,生活科も総合的な学習の時間も,各教科との連携の視点がクローズアップされている。今回の実践は,写真活用,インタビューの仕方といった情報リテラシーとして,国語科との連携を図ったものである。2年生にとっては,多少高度な学習であったかもしれない。しかし,子どもたちの活動が幅を広げ,深みを増してきたことが,発表会の様子から感じられた。

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