2年
こんなすてきな町−平田大すき        
兵庫県三木市立平田小学校
齋藤 幸子
岡田 万里子

1.単元について

  ○単元のもつよさ

 2学期,校区のある地域では,町をあげての秋祭りの行事があり,獅子舞や囃子などに参加する児童もいる。また,今年度は,本校創立百周年に当たり,「百周年学習フェスタ」が計画されていることもあり,自分たちの学校や地域を意識させ深く関心を持って見つめさせる絶好の機会である。そこで,「自分たちが住んでいる平田の町について調べたことを,百周年学習フェスタでみんなに知らせよう」という目標を持たせることによって,より意欲的に取り組ませたいと考えた。

 地域への愛着は,身近な自然の不思議さやすばらしさだけでなく,地域の人々や友達とのふれ合いの中で芽生える。2学期の町探検では,見学やインタビューなどの活動を多く取り入れて,人とふれ合う楽しさや喜びを味わう中で,もっと自分の町のよさを発見させたい。また,友達と協力しながら主体的に探検活動を行い,楽しんで取り組む中で,自分を見つめ,自分の良さや可能性にも気づくことができることを願ってこの単元を設定した。

  ○児童のもつよさ

 児童は,1学期にみんなで春の町を探検し,畑に栽培されている野菜や,通学路周辺の様子を見た後,自分たちで探検したいところを決めて,グループごとに町探検をした。そして,自分たちの住む校区が「自然豊かである」「ケーキ屋さんや花屋さん,薬屋さんなどのほか,大きなお店もある」「駅や警察,デーサービスセンターなど,くらしに大切なものもある」ことなど,そのよさに気付いてきている。

 そして,もっと町探検をしたいという思いを持っている。そこで,再度町探検をすることによって,秋の季節感を感じたり,町の人々とふれあったり関わったりする楽しさやすばらしさを実感したりして,より深く自分たちの町のよさを発見し愛着が持てるようにしたい。また,友達と協力する楽しさや,自分や友達のよさにも気付き,友達関係が深まり広がっていくよう導きたい。

  ○単元における活動支援の手だて

 1学期の町探検をふり返り,もっと詳しく見たい,調べたいという場所や事柄ごとにグループ編成する。探検にあたっては,「何のために,何を見たり聞いたりしてくるのか」という自分なりの目的をはっきりさせるとともに,「百周年学習フェスタで発表する」という意識を持って探検させたい。グループごとの活動になるため,特に安全に十分配慮し,保護者にも協力を呼びかけて付き添ってもらう。見学のまとめや発表の方法については,調べたことをうまく伝えられるように,また,見る人に楽しんでもらえるように,紙芝居,劇,クイズ,模擬店などを工夫し,自分達も楽しんで取り組めるようにしたい。こころ学級の2児や学習に参加できにくい児童についても,それぞれの場でグループのみんなと一緒に活動できるよう配慮したい。

2.目 標

  (1) 自分の町に関心を持ち,友達と協力して進んで町を探検したり,意欲的に伝えたりする。
(生活への関心・意欲・態度)

  (2)

 町探検で,見たり聞いたり調べたりしたことや気づいたことなどを,自分らしい表現方法で表すことができる。お世話になった人たちへ,感謝の気持ちを手紙で伝えることができる。
(活動や体験についての思考・表現)

  (3)

 自分たちの町や地域の自然,人々や社会のようす,公共物などに関心を持ち,それらと自分との関わりや町のよさに気づくことができる。
(身近な環境や自分についての気づき)

3.活動計画(全20時間)

他教科との関連

わたしの夏休み(学活)

秋にたねをまくやさいをそだてよう(生活)

あったらいいな,こんなもの(国語)

読んで,見て見て,わたしの絵手紙(図工)

さがしてみよう(道徳)

わたしをそだてるまち(学活 心のノート)

こうつうあんぜん(学活)

お手紙(国語)

虫の声,かじやのポルカ(音楽)





こんなすてきな町−平田大すき

【全20時間】

秋の町をたんけんしよう
(10時間)
1学期の学習をふり返る(4)

 地図づくり  夏休みに行ったところ

探検の計画を立てる(2)

 探検場所 探検の目的 係分担 持ち物 約束

町探検に出かける(2)

 町のようす,人々,自然,公共施設 見学
 インタビュー

発見したことや楽しかったことを発表する(2)
町のしょうかいをしよう
(8時間+α)
みんなに知らせよう
  「こんなすてきな町」−平田大すき−


紹介の仕方を考える (2)

 絵や文 新聞 紙芝居 歌 劇 写真

もっとくわしく調べる,話を聞く(課外)

発表会の準備をする(6)

 役割分担 まとめ 練習 招待状 飾り付け

100周年学習フェスタ
(2時間)
発表会(1)

感想,まとめ(1)

森林公園へ出かけよう(遠足)

しぜんからのおくりもの(図工)

ありがとうがいっぱい(学活 心のノート)

もうすぐ冬休み(生活)

年賀状を作ろう(生活)







《地図作り》

安全に気をつけて


前の地図にのっていたお店がなくなっていた。


わたしの家はここ。


ここにザリガニがたくさんいるよ。


ここは車が多い。
  


《町たんけん》−お母さんといっしょに

・安全に気をつけて
  

 児童の希望により11グループ(1グループ2〜6人)に分かれた。2年担任2人ではグループごとの見学が手薄になるため,安全確保も兼ねて保護者に付き添ってもらった。それぞれの見学先では,地域の人とふれ合い交流を深めることができた。様々な厚意がありがたかった。

 百周年学習フェスタに向けて,「お家の人やお世話になった方々に,みんなの発表を見てもらおう。フェスタを成功させよう。」を合い言葉に意欲を喚起し,いろいろな発表の仕方を考え,喜んでもらえるおみやげなどを工夫しながらながら取り組んでいった。

《町のしょうかいをしょう》

お祭りグループ(大村の獅子舞 平田の屋台 加佐のお祭り お店)


 児童のおじいさんにお祭りの由来等を話してもらうよう依頼すると,区長さんに連絡を取り,青年たちが獅子舞を見せてくれるよう手配くださった。おじいさんから話を聞くだけでなく,実際に獅子舞を見たり,獅子舞を舞わせてもらったりしたことによって,よりお祭りに興味を持ち,獅子舞やお囃子を入れた発表のイメージをふくらませることができた。

  

よいやさ



その調子


当たり! 1等だよ

 せいねんだんのお兄ちゃんにししをもたせてもらったよ。たいこだってたたかせてもらったよ。おじいちゃんもいろいろ話をしてくてれたよ。

 おまつりは,えどじだいぐらいにできたそうです。

 高い木がたいふうでたおれて,たいこぐらがつぶれて,みんなの力で作ったそうです。

 おじいちゃんの子どものころは,おまつりに馬が走っていったんだって。

病院グループ

 学校の近くにある病院(精神科の病院)に見学の意向を伝えると,学校からの見学ははじめてということで,快く受け入れてくださった。「心の病気の人のための病院」ということは,2年生の児童にとっては理解が難しいが,市民病院などみんながよく行く病院との違いを考えながら,薬局や給食室,作業所,自立にための援護寮や喫茶店,運動場,農園などを案内してもらった。子どもたちが持っていった折り紙で作ったおみやげも,入院されている方に渡した。

 とてもやさしい人たちがたくさんいました。

 とっても広かったです。小学校の2倍だよ。うんどうじょうもあったよ。

 ○○病院は,ただけがをした人が入っているのではなくて,心の病気の人が入っていることを,はじめて知って,勉強になりました。

 事務長さんの願いは,もっと大勢の人に○○びょういんのことを知ってもらうことです。

おみやげ作り

病院に飾ってもらおう

   紙芝居

「○○病院のひみつ」


みんなにも病院の人にも見てもらえてしあわせ

お店グループ(ジャスコ,ウエルシア・牛乳屋・あさひ屋)

 2グループに分かれて,見学し,花屋さんと薬局のことを発表をした。花屋さんは,お店にならべる花などを,折り紙やきれいな紙で作った。おばあさんが作ってくださったアートフラワーや野原で摘んできた花,家から持ってきた花などもかざって,お客さんにプレゼントした。もう一つのグループは,薬局で聞いたことを紙芝居にして発表した。

  
メッセージカード(見学の感想)

 花やさんへ

 わたしは,花を買いました。お母さんも買いました。お母さんはとてもうれしそうでした。とてもありがとう  (2年生)

公園グループ

 大村公園にある遊具や施設を調べたり,ゴミ拾いをしてどんなゴミが多いかを調べたりした。そして,「今の公園」と,「こんな公園あったらいいな(国語の学習と関連)」と思う未来の公園について発表した。未来の公園は,楽しいものが模造紙いっぱいに描かれていた。
  

けいさつグループ

 休日にも自主的に何度か訪問して,話を聞いたり署内を見学させてもらったりしている。「こうへいくんの交通安全教室」と題して,ペープサートで人形劇に構成して発表した。

  
メッセージカード

 けいさつチームのみなさんへ

 ペープサートで分かりやすく説明できたね。もう少し大きな声で発表できたらよかったと思うよ。絵やペープサートの準備が分かりやすかったよ。  (5年生)

デイケアグループ

 デイサービスセンターを見学して,絵カードでデイケアの一日の様子を発表した。

自然グループ

 生き物クイズをしたり,花や落ち葉のしおりをプレゼントしたりした。幼稚園の子一人一人にも招待状を書いていたので,タッチング広場やめだかすくいに大勢集まった。メダカを入れる袋がなくなってしまって,急遽お母さんが作ってくださった。

メッセージカード

メダカグループさんへ

 ぼくは,ああいう方法でめだかすくいをするなんて,ぜんぜん思いつきませんでした。

 めだかすくいで,1ぴきとれたからうれしかったよ。ナマズもいました。どじょうもいました。  (2年生)
  

4.活動をふり返って

 子どもたちの興味関心あることやものによってグループ分けをしたので,グループが11になって,2人の担任だけでは見切れない面もあったが,百周年学習フェスタで発表することを目標に子ども達は意欲的に取り組み,心に残る活動になったと思う。発表の仕方もそれぞれのグループで工夫し,変化があって楽しめた。

 同時開催された図工展には,子どもたちが発見した平田の自然やもの,ことなど,「わくわく発見カード」に書いていたものを展示した。招待状やお礼状なども自主的に届けるなどして,お世話になった方々にも喜んでもらえた。国語や図工など他教科で学習したことも生かせてよかったと思う。

 『みんな大きくなったよねー成長の絵本(3学期生活科)』より

 9月一町たんけん

 町たんけんに行くとき,わたしは,「しぜんのいきもの」でした。1学きは,お店でした。しぜんは2人です。2人だけれど,がんばっていきものや花のしゅるいやいろいろ見つけて,学習フェスタをしました。

 町たんけんで見つけたのは,ひがん花とひがん花のくき,それから花のおしばなです。ほかのいきものも見つけたけどわすれました。でも,町たんけんで楽しかったのは,心にのこっています。

 10月の学しゅうフェスタ

 わたしは,9月ばんで書いていたとおり,しぜんでした。しぜんのおし花は,ようちえんの子にはぜったいあげたいなあと思ったので,32人すぎるほど作って作って作りました。

 ようちえんの子たちは,ならんで来てくれたので,わたしやすかったです。あったおし花は,おかあさんとか1年生にあげました。

 それがおわって,百周年きねん日のふうせんを,空の上の上までとばしました。


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