2年
『町はかせは友だちいっぱい!』         
大阪府門真市立上野口小学校
達 勇一朗
竹部  保
松本 妙子

I.子どもの実態

 住宅街や商店街,工場など狭いながらも様々な面をもつ町・上野口。ところが,子どもたちは,行動範囲の狭い2年生ということもあり,遠くへ出かける機会も少なく,自分の家のまわり以外の校区の様子については,あまり知らないようである。

 しかし,1年生の時に校区の公園に遊びに行ったり,植物探しに出かけたり,公園探検するなどの活動を通して,徐々にではあるが校区の様子について興味を持ちはじめている。

II.生活科の取り組み

  .単元名『町はかせは友だちいっぱい!』

  

.ねらい


地域の自然や町の人々の生活に触れることにより,自分たちの住む町・上野口と自分たちの生活とが密接に関わっていることに気づく。


自分たちの地域やそこに住む人たちのよさを見つけ,地域社会の一員としての自覚を身につける。


活動結果を広く発信することにより,その思いを他者と共有する。

  

.指導計画及び時間

合計134時間  (生活科85時間 国語29時間 図工15時間 道徳5時間)

【ふれる】

  ○

上野口のすてきポイントを発見しよう


グループごとの調査活動

ねらい  

自分たちが興味を持った事柄を選択し,引き続き調査を行うことを通して,自分たちの住む上野口の町のよさを認識する。

お互いの調査結果を交流させることにより,上野口の町を多面的に把握し,地域についての理解を深める。

【つかむ】

  ○

上野口のすてきポイントを発見しよう


グループごとの調査活動

ねらい  

自分たちが興味を持った事柄を選択し,引き続き調査を行うことを通して,自分たちの住む上野口の町のよさを認識する。

お互いの調査結果を交流させることにより,上野口の町を多面的に把握し,地域についての理解を深める。

【かかわる】

  ○

上野口のよさを多くの人たちに伝えよう


リーフレットの作成・配布

ねらい  

自分たちの調査結果を広く発信することにより,多くの人たちと地域についての思いを共有する。

  ○

門真の友だちと自分たちの町のよさを伝えあおう


市内の小学校との交流

ねらい  

自分たちの調査結果を広く発信することにより,多くの人たちと地域についての思いを共有する。

ねらい  

自分たちが行った調査をもとに,上野口の地域のよさを他の小学校の子どもたちに発信し,交流させることを通して,自分たちの地域や自分たちの生活の広がりを認識し,他の地域とのつながりについて気づく。

【いかす】

  ○

みんなで広げよう!すてきな町 上野口


地域と連携した活動

ねらい  

地域と関わる様々な活動を通して,多くの人たちと共に生きる地域社会の一員であるという自覚を持つ。

  

.活動内容


ふれる】上野口の町をたんけんしよう

 自分たちの町,上野口のことをいろいろ知ろうと,子どもたちは初めに自分たちの身の回りの自然について調べる活動を行った。子どもたちはグループを組んで,春を見つけようと学級園や運動場の端などで,モンシロチョウを見つけたり,春の花を観察したりするなど自分たちの身の回りにもたくさんの生き物がいうということに気づいたようだ。

 様々な活動を行っていく際,デジタルカメラを活用したり,コンピュータを使って観察結果をまとめたりするなど,スキルの育成を意識した活動も取り入れてきた。

 自分たちの町の自然を知ると同時に,上野口の校区にはいったいどんなものがあるのか,どんな人たちが生活しているのかを調べ,上野口の町にある『すてきなところ』を探すために,校区を3つの地域に分けて,みんなで探検を行った。

 この1回目の探検を通して,狭い校区の中でも今まで行ったことがないお店を見つけたり,空き地や駐車場だった所に,新しい建物が建ったことを知るなど,校区が日々変わっていっていることに気づくことができたようだ。

 1回目の探検を通して,子どもたちはたくさんの校区の『すてき』を見つけることができた。お菓子が安く買うことができる『すてき』なお菓子屋さんや,学校よりも大きい『すてき』な工場など,一人一人が本当にたくさんの『すてき』を集めることができたようである。そうして集めた校区の『すてき』を整理して一枚の紙にまとめることで,改めて自分たちの町の様子を知ることができた。


つかむ】上野口のすてきポイントを発見しよう

 上野口の町のことをよく知るにつれて,もっといろいろなことを調べてみたい,もっとたくさんのすてきを見つけたいというように,地域に関心を持つようになってきた。

 そこでさらにたくさんのすてきを見つけるために,グループを作り,様々なお店や工場,消防署や交番,鉄道など自分たちが興味を持ったものについて改めて調べに校区に出て行った。

 調べ学習を進めていく中で,門真市内の給食で食べている豆腐が自分たちの校区で作られていることがわかったり,24時間体勢で自分たちの命を守ってくれている消防署や交番で働く人たちのいることを知ったり,校区の工場で作られている部品が多くの携帯電話の中で使われていたことを発見するなど,今まで気づかなかった自分たちの住む地域と普段の生活とのつながりが見え,子どもたちは自分たちの住む上野口の町についての新しい発見があったようだ。


かかわる】上野口のよさを多くの人たちに伝えよう

 門真の友だちと自分たちの町のよさを伝えあおう

 2回の校区探検を経て,発見できた自分たちの町の『すてきなところ』,『すごいところ』を多くの人たちにもっと知ってもらうためにどうすればよいかを子どもたちは考えた。

 「多くの人に知ってもらうためにすてきなところをまとめた新聞や広告を作って配ろう」,「看板を作ってお店に置かせてもらったおう」,「すてきなところを集めた『上野口カルタ』を作ろう」など様々なアイデアが出てきた。

 そこで子どもたちがグループに分かれて調べた上野口のすてきなところをほかのグループの子どもたちにも知ってもらうためにもう一度壁新聞にまとめる活動を行った。

 その後,子どもたちが調べたポイントを『乗り物グループ』『お店グループ』『子どもが行くところグループ』『工場グループ』『人だすけグループ』に分け,各グループがまとめた記事を持ち寄って,上野口の町のすてきなところ,すごいところが一目でわかる新聞を完成させた。

 その際は,字の大きさやレイアウトなどに注意して書くなど新聞を読みやすくするための工夫も行った。

 そのようにまとめ上げた新聞をもとに,他の小学校に手紙を送って上野口のすてきを多くの友だちに知ってもらうと同時に,他の小学校の校区のすてきなところについて質問することができた。

 市内16校の小学校に手紙での交流を行い,自分たちと同じように校区の学習を行っている友だちと協力することで,他の地域の様子についても関心を持ち,他校の地域の様子を知ることで,改めて,自分たちの町をふりかえることができたようだ。

 また,学校を訪れた先生方にもそれぞれの学校の校区の様子についてアンケートを行った。校区のいちばん人気のお店や校区を通っている乗り物について質問をする中で,上野口の町と同じところやちがうところを見つけたり,自分たちの町とよその地域とのつながりを見つけることができてきているようだ。


いかす】みんなで広げよう!すてきな町 上野口

 校区探検を通して,今まで知らなかった校区の様子に気がついてきた子どもたちは,調査活動などを通して,地域の人たちとの交流もできたようである。今後,地域のお店での買い物体験や,郵便局の見学などを通して,さらに密接なつながりを持って生活している地域の人たちの活動する様子を感じてもらいたい。


  

.活動をふりかえって

 自分たちの住む町上野口のすてきをたくさん見つけ『町はかせ』になった子どもたち。町探検の活動を通して地域の人々や他の小学校の子どもたちと友だちになり,地域に対する意識も高まってきたようである。

 また,他校の校区の様子についてまとめる活動を通して,地域による違いや共通点,つながりなど門真市内にあるたくさんのすてきを発見することができた。このような地域に対する思いを3年生の地域学習につなげていってもらいたい。


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