1・2年
むかしあそびをしよう        
〜1・2年交流活動〜          
東京都小平市立小平第十五小学校
小山節子
はじめに

 生活科も10年以上の実践の結果,学校現場での動かしがたい定着を見ることができる。新教育課程の「生きる力」育成に生活科の果たす役割は大きい。指導と評価の一体化を目指して,生活科の実践と工夫に努力する日々である。

 以下の実践は,長年にわたって積み重ねてきた校内研究の成果である。

1・2年交流活動のねらい

 身近な人と一緒に活動をしながら,より良い人間関係を育てる。

児童の実態

人に関わりたいという気持ちはあるが,関わり方がわからず,じれたり,かんしゃくを起こしたりする子がいる。


集中力が弱く,周りの子の動きに左右されたり,すぐに投げ出してしまう子もいる。


紐を結んだり,線に沿って切ったりという手作業がうまくできない子が多い。


1年生は,気の会う仲間とは好きな遊びをやったりしながらかかわりが深まっている。


2年生は,1年生のリーダーとして自分の力をつけたいという意欲がでてきている。

遊びの中で育てたい子どもの姿

夢中になって遊べる子ども


工夫して遊ぶ子ども


友達や異学年の子と一緒に遊びを楽しめる子

具体的な手立て

交流を通して1・2年生が「教えあい」「学びあう」場を設ける。


児童の得意なものを生かす。(遊びの名人を認め合う雰囲気作り)


自分たちでルールを考えたり,遊ぶ場所を考えたりする自主的な活動を促す。


遊び場所が使いやすいように置き場を工夫し,また片付け方を身につけさせる。


技のカードを作って目当てをはっきりさせる。


楽しく活動できたことを絵や文にまとめ相手や家の人に伝える。


家の人や地域の人から遊びの技を教えてもらう。←→ むかしあそびの真骨頂!!

活動計画(2年生)

どんな遊びをするのかな

1年生にどんな遊びを教えられるか考える。

自分たちで遊びを楽しもう

話し合った遊びを自分たちでやってみる。


こま,けん玉の名人に遊び方を教えてもらう。


ぶんぶんごまを作って遊び,1年生にも教えてあげる。

遊ぶ会の準備をしよう

どんな会にしたいか話し合う。


遊びのグループを作り,練習や店の準備をする。


1年生に遊びの紹介と宣伝に行く。

遊ぶ会をしよう

グループごとにお店を開き,1年生に遊びを教える。(本時)


遊びを広げよう

もっといろいろ教えてもらったり,やってみたりする。

1・2年で

他の学年で

家庭や地域で

本時の活動

(1) 本時のねらい

遊び方を教えたり,教えてもらったりして,遊びを楽しむ。


遊びを通して感じたことや考えたことを伝え合う。

(2)

 本時の流れ

児童の活動(2年)児童の活動(1年)教師の支援
始めの会の進行をする

(1)

始めの言葉

(2)

お店の紹介

(3)

会の進め方

(4)

注意
2年生の話を聞く。
スムーズに進行できるように助言する。


安全面についての確認をする。
遊びのグループに分かれて1年生に教えながら一緒に遊ぶ。


やり方や,ルールを説明する。


見本をやってみせる。


一緒に遊ぶ。


できない子を助ける。
グループに分かれて遊ぶ。


前半は予約した遊び


後半は違う遊びをする。
遊びの決まらない児童には,声かけをする。




楽しく安全に遊べるように助言する。


うまく関わりが持てない児童には援助する。
片付けをする。
片付けをする。
 
終わりの会の進行をする。

(1)

1年生の感想

(2)

2年生の感想

(3)

終わりの感想


感想を言う。


互いの良かった所に目を向けられるように助言する。

評価

いろいろな遊びに挑戦することができたか。


遊びを工夫しながら,みんなで楽しむことができたか。


自分の思いをしっかりと表現できたか。

2年生がビュンビユンごまを自分で作った時の感想

「いっしょうけんめいやったけど,なかなかできませんでした。あともうすこしといったけど,まわりませんでした。こうかんしたけどむりでした。でも,がんばってやりました。」


「さいしょたこ糸でやってみたけど,ぜんぜんまわんなかったら,毛糸みたいの(アサひも)でやったら,かんたんにまわったから,うれしかったです。」

1年生に教えたよ

「ぼくは,1年生にぶんぶんごまをおしえました。1年生は,うまくまわせませんでした。おしえたら,のどがかわいてしまいました。」


「できあがってさっそく1年の子が,ぶんぶんごまにちょうせんしました。でもまわせません。ぼくにまわしてみてといいました。まわしてあげました。すごいといってくれました。1年の子が名前をおしえてくれました。ぼくも名前をおしえてあげました。」

1・2年交流活動を通して 成果と課題

2年生が「1年生にかかわろう」「やさしくおしえてあげよう」という気持ち,意欲が出てきた。


昨年からの取り組みの中で,「2年生になったらおしえてあげるんだ」という意識の継続ができている。これは,いままでの活動の積み重ねの成果といえる。


1年生は,「おそわったことができるようになるまでがんばろう」「2年生に見せよう」という気持ちで,とちゅうで投げ出すことなくがんばれた。


一緒にやることで信頼関係ができた。

生活科から発展して

 身近なところで交流体験を積んだ子どもたちが,今後,地域の人たち,さらにもっと広い範囲での様々な人と交流する時に,この経験が生かされると期待している。

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