Copyright © 2020 Shinko Shuppansha KEIRINKAN Co.,Ltd.

一人ひとりの意識と行動が、世界の未来を変える。 「SDGs」との繋がりについて考えよう。

  • 教育
  • ICT
  • SDGs
  • 未来
  • パートナーシップ
  • 働き方改革
  • 子育て
  • ワークライフバランス
  • 働きがい
  • ジェンダー平等
新興出版社啓林館


写真は、左から栗林・右田・周原・中嶋


 

 

私たちの仕事とSDGsとの繋がりって?

 

右田:日常の会話の中で「最近SDGsの何番がさ…」なんて話は実際しませんが、最近は街中でもSDGsに絡んだ発信をよく見かけるようになったなと思います。社員でもSDGsのバッジをつけている人も増えていますね。

 

中嶋:私は仕事で訪問する教育委員会が市役所の中にあるので、市としてSDGsに取り組んでいこうという方針が掲げられたりしているのはよく見かけますね。ただ、自分自身がSDGsを意識して生活しているかと言われたら、まだできていない部分が多いかなとは思います。

 

周原:私がSDGsのことを知ったのは仕事上でのことで、最初に見たのは14番の「海の豊かさを守ろう」でした。ある研究会で偶然出会った大学の先生が、海洋教育を浸透させるための教材として、啓林館の中学校理科の教科書を使っておられたんです。興味を持ったのでお話を聞いてみると、SDGsの取り組みの一つとして「海洋教育」の研究をされているということでした。そこで初めてSDGsとは何かを自分で調べてみて、14番以外にもいろいろあることを知りました。教育の目標もあるし、17個もあるんだ!というのが最初の印象です。

 

栗林:外部からSDGsに関する情報を得る機会は多いですよね。私は、自分が所属する総務・人事の仕事もSDGsに繋がっているなと感じます。例えば社内制度を整える仕事は、8番の「働きがいも経済成長も」の目標に繋がっているとか。先日、みなさんに子育て・介護に関するパンフレットをお渡ししましたが、あれも「ジェンダー平等」「働きがい」に繋がる部分もあるかと思います。あとは予防接種や健康経営に関するセミナーに出たりするのも、「健康と福祉をすべての人に」の目標に繋がっていると思いますしね。みなさんはそういう何気ない仕事をSDGsだなと思うことはありますか?

 

中嶋:私は4番の「質の高い教育をみんなに」はもちろん、10番の「人や国の不平等をなくそう」をよく意識します。例えば、私が仕事で担当している県では、ICT環境において進んでいる地区とそうでない地区が二極化されているような状況があるんですね。そうなってくると子どもたちの学力にも差が出てくる懸念があります。そうした環境の差を埋めるようなことが啓林館でできたらいいなとか、今回新しく打ち出された国の方針であるGIGAスクール構想に当社としても対応していかないといけないなとか、そんなことを考えています。

 

周原:その問題は私も感じています。私が担当しているエリアにも差が出ているところがあるんです。予算に余裕のある地区もあればそうでない地区もありますし。そうなるとどうしても、子どもの学習環境にばらつきが出てしまいます。私たちが提供できる教科書は必ず子どもたちの手に渡るものなので、それが良いものであればあるほど、格差の是正という意味ではいいんじゃないかなと思ったりしますね。

 

 

中嶋:環境って本当にダイレクトに影響を与えるものなので、なるべくその環境による有利不利や便利不便の格差をなくせるような手伝いを、教材づくりを通してできたらいいですよね。

 

周原:それと4番「質の高い教育をみんなに」ですが、実際「質の高い教育」というか「質の高い教科書」って何だろうというのは、問答のような感じでよく考えます。質の高い教材づくりにおいて、啓林館として発揮できる強みって何だろうかと。

 

右田:私も周原さんと同じように、SDGsの言う「質の高い教育」ってどういうことなんだろうって考えるんですけど、単純に「内容的なレベルが高い教育」という意味ではないだろうと思っています。私が担当しているのは数学なんですが、数学が得意な子にはもっと得意なことを伸ばしていってもらえるような教科書をつくりたいと思っていますし、苦手意識のある子には教科書を通して少しでも「楽しい」と思ってもらえたらいいなと思います。いろんな子どもがいるからこそ、みんながそれぞれ力を伸ばしていけるような教育が「質の高い教育」なのかなというのが私なりの答えです。

 

中嶋:8番「働きがいも経済成長も」も、教育に絡んできているなと思います。最近学校の先生方から「今は働き方改革の時代だから」とよくお聞きしますが、学校では本当に働き方改革が急務と言われていますので、私たちも「こういうことを導入すれば働き方改革になりますよ」っていう提案ができたらとは思うんですけど…。一方で、ある学校の校長先生に言われたのは、「働き方改革という言葉が先行し過ぎていて、どういうことをすれば働き方改革になるのかがあまり考えられていない」と伺ったんですね。どういうふうに働くのが先生方にとってはいいんだろうねと相談されたこともあります。私は先生方がよりよい働き方をすることができれば、それが回り回って「質の高い教育」にも還元されるんじゃないかとは思うんですけど、具体的なやり方まではなかなか難しいですね。

 

栗林:なるほど。制度ばかり作っても、ニーズのある制度じゃないと意味がないですしね。啓林館が提供できる情報や資料で少しでも先生方が授業をしやすくできれば、働き方改革の手助けすることにも繋がり子どもたちのためになるかもしれませんね。

 

 

 

啓林館の仕事を通じて、今後実現できそうなSDGsは?

 

右田:啓林館の教材って、実はすごくSDGsに配慮しているんですよ。例えば、教科書をつくるうえで題材選びをするときは、ジェンダー平等は保てているか、差別的な内容はないかというのをすごく留意しています。表現においても、教科書の中の男女のキャラクターが話す頻度を同一にしたり、一般に「その性別らしい色」と思われているテンプレートな色の服を着せないようにしたりだとか。あとはハンディキャップを持っている方のスポーツを題材として取り上げたりも。教科書づくりにおいて日頃しているそうした業務の一つひとつが、10番「人や国の不平等をなくそう」の目標と繋がっているんじゃないかなと思います。

 

中嶋:それはさっき周原さんが言っていた「質の高い教育」の一環というか、「啓林館の教科書の強み」でもあるのかもしれませんね。私もそういう裏側を訪問の際に話すと、先生方からも賛同していただけたりするんですよ。やはり学校にはいろんな子どもがいますし。ジェンダー平等や障害の有無というのは題材の中でも中心になってきつつあるなと感じますし、その点は意識し続けたいですよね。

 

栗林:右田さんのように編集に関わる人なら、12番の「つくる責任 つかう責任」の「つくる責任」というのも心がけているんじゃないでしょうか。教科書は広く子どもに行きわたるものですから、やはり教科書の中で教えていることが間違っていたら、間違いを覚えたまま覚えて大人になってしまいますし。その点は大きいと思うんですけど、どうですか?

 

右田:そうですね。私は今、中学校の教科書をつくっていますが、やはり義務教育で全国的にで使われるものでもあるので、それはすごく責任を感じますね。教科書をつくるうえでユニバーサルデザインも取り入れていて、色覚特性への配慮として色にルビをふったりする工夫をするなど気を付けてつくっています。

それから、つくり手の観点から言うと、時代の変化とともに「教育」は学校だけのものではなくなってきていると思います。教科書は基本的には学校で使われるものではありますが、学校以外の場所、例えば家庭でも読みたくなるような教科書をつくりたいなと思っています。教科書って子どもが読む書籍の中で一番読む頻度が高い本だと思うので、題材などにもこだわった啓林館の教科書を何度も読んでいただくことによって、SDGsという言葉そのものは知らなくても環境問題や不平等をなくそうという意識が自然に育まれるようになったらいいなと思います。

 

 

中嶋:それで言うと、啓林館の新しい教材の一つ「ライティングメソッド」もそうですよね。取り上げている題材がSDGsの1から17のどの項目に当てはまるかを自然に考えられるような教材になっていて、それを学校に紹介すると「そういうところもちゃんと意識してつくっているんですね」と評価いただけたりします。最近特にこうしたお声をいただける機会が増えてきたので、学校の意識も少しずつ変わっていっているのかなと思い始めていたところでした。

 

栗林:そういう教材がどんどん世の中に広まっていくといいですね。私自身の人事としての話にはなりますが、社会制度や環境を整えていくことが仕事を通したSDGsかなと思っています。出産や育児といった制度は、特に子どもにかかわる仕事をしている会社として、よりこだわっていかないといけないと思います。みなさんのワークライフバランスがしっかりとれて、「働きやすい」と思ってもらえたらいいですね。

 

中嶋:SDGsで言うと8番の「働きがいも経済成長も」というところですね。

 

周原:私は6年間営業をしていて思うんですが、今後長く働き続けていくことを考えたら、ライフイベントの中で一度営業の仕事をお休みする時期も出てくるのかなと思っていて。そのときに、私が培ってきたスキルやコネクションを別の部署でも活かしてもらえたらいいですよね。中嶋さんの部署では、他業種の人とも連携しているイメージがあります。これからの啓林館の仕事ではそうしたコネクションや他業種とのコラボレーション、外部機関との連携が本当に大事になってくるので、教科書を宣伝するだけの営業ではなく、そういった人たちを繋ぐ人としての営業のスキルというのを活かせる部署が新しくできたらいいなと思っています。今はまだそういった部署はありませんので。

 

中嶋:実は、営業部の名前が「教育推進部」に変わったあたりから、コミュニティや他の企業さんと連携して子どもたちの教育にもっと広く深く携わっていこうということになりました。これまでは学校や教育委員会などとやり取りするのが中心でしたが、世の中に目を向けてみると啓林館以外にも子どもをサポートする事業をしている会社さんというのはたくさんあるんですよね。そういうところと連携したり、教材の中で取り上げたりという取り組みが私の部署では盛んになってきています。ただ、まだ一部の地域のみですので、これからもっとそうした取り組みや姿勢が広がっていけば「啓林館っていろいろ挑戦している企業なんだ」というふうに見ていただけて、その繋がりからまたSDGsを実現する機会も増えていったらいいなと思っています。

 

 

栗林:イメージとしては17番の「パートナーシップで目標を達成しよう」かな?他社さんが持っているSDGsへの知識や取り組みと、啓林館のSDGsへの取り組みをコラボレーションさせたりとか、そういうのもいいかもしれませんね。周原さんの言う新しい部署というのも、確かに言語化されていないノウハウや今ある繋がりを集約するという意味で、効率化や新しい機会の創出になるかもしれません。やはり今あるものを守るばかりではできることも少なくなっていきますし、今後は積極的に検討していきたいですね。

今日はみなさんの仕事とSDGsとのかかわりをいろんな視点から聞くことができておもしろかったです。ありがとうございました!

 

周原・中嶋・右田:ありがとうございました!

 

一覧ページへ