子どもの語彙力をつけるにはどうすればいい?

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目次

2020.01.09

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1.最近問題の語彙力不足。そもそも語彙力とはどんな意味?

最近SNSで #語彙力 が増えていることをご存知でしょうか。例えば映画での感動を伝える時、的確な表現が見つからず、「すごい…あれは本当にもう…(語彙力w)」と投稿すること。

これは「語彙力不足」の表れだと言えます。では、語彙力をつけるにはどうすればいいのでしょうか。

まず「語彙」の意味から見ていきましょう。辞書には【語彙…用語の集まり。また、その数。(旺文社 標準国語辞典〔第六版〕)】と書かれています。

「彙」という字には「集まり」という意味があるので、「語彙」=「日本語の集まり」といえます。よって、「知っている語彙が少ない」とは「知っている日本語が少ない」という意味になります。

では、肝心の「語彙力」とはどういう力なのでしょうか。先ほど述べた通り、「語彙」=「日本語の集まり」ですので「語彙力」=「日本語力」ということになります。

つまり、語彙力とは日本語を正しく使える力を意味します。ここで重要なのは、どのくらい日本語を覚えているか(知識量)ではなく、どれほど日本語を正しく使えるか(思考力、判断力、表現力)という力こそが語彙力であると捉えている点です。

要するに「語彙力がない」とは「知っている言葉の数が少ない」のではなく、「その場面で必要な言葉を正しく選び使う力がない」ことをいいます。決して知識の量ではないのです。

2.若者の語彙力低下の背景 ― 読解力と語彙力の関係

若者の語彙力低下には、科学的根拠があります。OECD加盟国の15歳児を対象とした学習到達度に関する最新の調査結果によると、日本は数年前に比べて子どもたちの「読解力」が低下しているという結果が出されました。

参考:PISA調査

読解力とは問題を読み解く力であり、語彙力のもつ「日本語を正しく使える力」(=思考力、判断力、表現力)が必要になってきます。つまり「語彙力」は「読解力」を支える基礎的な力であり「読解力の低下」=「語彙力の低下」と捉えることができます。

実際、2020年の小学校から全面実施される新学習指導要領では、「語彙指導の改善・充実」が大きな改訂のポイントとされ、語彙力不足改善の指針となっています。

さらに、『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編/文部科学省』では、「小学校低学年の学力差の大きな背景に語彙の量と質の違いがある」と示されており、これらは国語のみならず全教科の学習を支える力でもあることから、「語彙を豊かにする指導の改善と充実を図っていく」ことが重要視されているのです。

3.語彙力をつけるためには

前置きが長くなりましたが、具体的に語彙力を高めるにはどうすればいいのでしょうか。

語彙力を高めるためには、言葉をたくさん覚えようとするのではなく、言葉を日常生活の中でたくさん使って自然に覚えていくことが大切です。繰り返しになりますが、語彙力とは「日本語を正しく使える力」です。

ただただ言葉を知識として知っているだけでは意味がありませんし、日常の中で使わないとせっかく覚えた言葉も忘れていってしまいます。その場面に合った言葉を日常で使えて初めて語彙力として身についていくのです。

特に親や保護者の方に改めて考えていただきたいのは、ご家庭は子どもにとって最も過ごす時間の長い日常場面であり、ご家庭での言葉のやりとりこそが子どもの語彙力を大きく左右する、ということです。

スマホやインターネットによって、以前に比べて「わからない言葉の検索」も簡単になりました。辞書を引くという作業もほとんど不要になりました。一見便利になっていく社会ですが、その反面失われていく力もあります。

そのような社会に対して、子どもを守っていくことを学校だけに任せるのではなく、ご家庭でもできることを考えていく必要があるのです。

 

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