防災を長年研究してきた立場として,その研究成果が,実際に社会で役に立たなければならないと強く感じています。そう考えますと,学校現場での防災・減災教育は,知識を覚えさせるのではなく,「命が助かるために,知ることによって知恵となるもの」を目指す必要があります。従来の教科の目的と防災・減災教育の目的は異なります。授業で災害の現場を経験した消防団の人から話を聞くような機会があってもよいと思います。例えば,大地震で多くの場所で火災が発生した場合,渋滞で消防車は現地にたどり着けません。一方,背丈までの火災は,消火器で消すことができます。また,座布団をかぶせたり,植木鉢を投げて土で覆ったりして,消火することもできます。第一発見者自らが,被害を小さくするよう努めなければなりません。そういった役に立つ知恵を身につけておき,防災訓練でエクササイズして確認しておくべきです。




東北地方太平洋沖地震では,小さな子どもの避難を助けたり,避難所で掃除当番をしたり,食事を配ったりなど,中学生がとても活躍しました。地域の高齢化が進むと,中学生も一緒になって防災・減災対策を行うという流れが定着していくと思います。