理科の教科書によると 日常のあちらこちらに不 思議はころがっているようです。問5 キャベツ畑でみつけた青虫。どんなチョウになるんだろう? 小学理科3年「チョウを育てよう」

「答え」のまえに。 問題は、わかるか、わからないかではなく
考え方や、ものの見方を理解できるか。
さて、あなたはどう考えましたか?

解説

幼虫は、食べるものや隠れ場所があるところをすみかにしています。
チョウは成虫になると、空を飛び、遠くまで移動できますが、幼虫の間は、卵からかえったところからそれほど移動することが
できません。そのため、幼虫の食べることができるものに卵が産みつけられます。

アゲハは、ミカンやサンショウなどの葉に、モンシロチョウは、キャベツやカラシナなどの葉に卵を産みつけます。
卵からかえった幼虫は最初に自分が入っていた卵の殻を食べ、食べつくすと周りにある葉を食べて成長していきます。

アゲハの成虫と幼虫
モンシロチョウの成虫と幼虫

卵が産みつけられている葉が違うのには、理由があります。

アゲハの幼虫はキャベツやカラシナを食べませんし、モンシロチョウの幼虫はミカンやサンショウなどを食べません。
アゲハとモンシロチョウの幼虫では食べるものが違うのです。

このようなことから、キャベツにいた幼虫はモンシロチョウになることがわかります。
ではなぜ、アゲハとモンシロチョウで食べるものが違うのでしょうか。
実は、キャベツなど、アブラナ科の植物にはカラシ油(ゆ)配糖体(はいとうたい)という成分が含まれています。

キャベツを食べたときに、少し辛く感じたことはありませんか。その辛味の成分がカラシ油配糖体(ゆはいとうたい)です。
この成分は、同じアブラナ科のダイコン、ブロッコリー、ワサビなどにも含まれています。

アブラナ科の植物 キャベツ 大根 ブロッコリー
ミカン科の植物 ウンシュウミカン ユズ サンショウ

そこで、モンシロチョウの幼虫は、体内でカラシ油配糖体を分解できるように発達しました。
そのため、キャベツやカラシナを食べることができるようになります。
しかし、アゲハはそのように発達していないので、アゲハの幼虫にとってはこの成分が毒になり、アブラナ科の植物を食べることはできません。

では、モンシロチョウの幼虫は、アゲハの幼虫が食べるミカン科の植物を食べることができるのでしょうか。

これはできません。アブラナ科の植物にアゲハにとって毒になる成分があるように、ほかの植物にもまた違った成分が含まれているかもしれないからです。
モンシロチョウの幼虫は、アブラナ科の植物の成分を分解することはできますが、どんな成分にも対応できるようにはなっていません。

成虫であるチョウはさまざまな花の蜜を食べますが、幼虫はチョウの種類によって食べることができる植物が決まっていることが研究の結果わかっています。

味の好き嫌いじゃないんだね。

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さらに、こんな問題も考えてみましょう。

解説

動物も植物も、生物はみんな呼吸をして生きています。
食べ物と水がなくても、私たちは短い間なら生きのびることができますが、呼吸を止め続けることはできません。

では、呼吸はどうして必要なのでしょう。

鼻や口から私たちの体に入った空気は、まず肺に入ります。
肺では、空気に含まれる酸素を血液に取り込み、
体を巡ってきた血液から二酸化炭素を取り出します。
そして、必要のなくなった二酸化炭素は、鼻や口から外にはき出されます。
酸素を受け取った血液は、心臓に入り、心臓から全身に送り出されます。

空気の成分(体積での割合)

私たちは、呼吸をすることで体内に酸素を取り込み、二酸化炭素を体外に吐き出しているのです。

では、どうして酸素が必要なのでしょうか。その理由は、私たちの体をつくる約60兆個と言われる細胞にあります。

呼吸によって体内に取り込まれた酸素は、血液にのって全身の細胞へと運ばれます。
また、私たちが食べた食物の栄養素も、血液中に溶けて体中の細胞に届けられます。
細胞は、運ばれてきた酸素を使って栄養素をエネルギーに変える仕事をしています。
酸素の役割は、私たちが食べたものをエネルギーに変えることなのです。

女性が妊娠すると、子宮の中に羊膜という赤ちゃんを包む膜ができます。妊娠周期が進むと、羊膜は、羊水という赤ちゃんを衝撃から守るための液体で満たされていきます。母親のおなかの中の赤ちゃんは、羊水という液体に全身浸かっている状態です

子宮の中の様子

母親の体内にいる赤ちゃんは、外の空気から酸素を取り込むことができませんが、母親とへその緒でつながっているので、
母親から酸素をもらうことができます。

子宮の壁にある胎盤と赤ちゃんをつなぐへその緒には、血管が通っています。赤ちゃんは、へその緒を通して母親の血液から酸素や栄養などを受け取り、二酸化炭素などのいらないものを渡します。母親が呼吸しているのと同じように、赤ちゃんも酸素を取り込み二酸化炭素を出しているのです。

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解説

桜の開花予想とは、どの地域の桜がいつごろ咲くかを予想したもので、毎年、気象庁が発表しています。

さくらの開花日の等期日線図

等期日線とは、桜の開花日が同じだと予想される場所を地図上でむすんだ線のことです。
桜前線という名前で聞いたことがあるかもしれません。
これを見ると、南から北へだんだんと桜の開花が進んでいくことがわかります。

では、どうして桜の開花日を予想できるのでしょうか。

桜の開花予想には、主にソメイヨシノという種類の桜が使われています。
ソメイヨシノは、江戸時代、エドヒガンとオオシマザクラをかけあわせてつくられた桜です。
その美しさと成長のはやさから大人気になり、全国に植えられました。
しかし、ソメイヨシノは人の手によってつくられた雑種のため、正常な種をとることができません。
種から育てられないので、現在全国に植えられているほとんどのソメイヨシノは、接ぎ木という方法で増やされました。

接ぎ木とは、増やしたい木の枝を別の木に埋め込む方法です。
時間がたつと、絵だと土台の木が繋がって一本の木になります。
もともとは一本の木から切り取った枝なので、
育った木は、土台だった部分以外、元の木と同じ遺伝子になります。

接ぎ木

このように、体の一部を分けて子孫を増やすことを無性生殖といいます。
一方、両親がかかわって子孫を増やすことは有性生殖といいます。
有性生殖では、子は両親の遺伝子を半分ずつ受け継ぎますが、
無性生殖では、子は親とまったく同じ遺伝子になります。

有性生殖 無性生殖

桜の開花予想は、全国のソメイヨシノが同じ遺伝子をもっていることを利用して行われています。

桜の開花には、気温の変化が必要です。
寒さが一定の間続いたあと、あたたかくなることによって、桜は咲きます。

同じ遺伝子のもの同士は、同じ性質や特徴をもち、まわりの環境に対しても同じように反応します。
同じ遺伝子をもつソメイヨシノは、気温の変化への反応も同じです。
同じ気候、同じ地域のソメイヨシノは、開花するのも同じ時期になるので、いつ、どこの桜が咲くかが予想できるのです。

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