情報授業実践記録
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CM分析

神奈川県立相模原高等学校
川端啓明

 
はじめに

 私たちは、商品を購入する際の情報を主にテレビCM(以下、CM)から得て、それを材料に購入することが多いのではないでしょうか?
 つまり、CMは私たちの消費行動を左右していると言えるわけです。
 CMを分析することを通して、生徒自身がCM製作者からターゲットとして見られる「消費者」であり、CMには効果的に影響を与えるための仕掛けが施されていることに気づいてもらうための授業を計画しました。

 
授業の流れ

1. 分析の前に、テレビ局と企業(スポンサー)の関係を広告収入・広告宣伝費という言葉をキーワードにして説明しておきます。
2.

主なCMの表現方法を「分析の視点」として示しておきます。
  (別紙1)

 実際にCMをショットごとに止めながら「こういうところが…」と表現方法の解説をし、次の実習の見本にしました。

3.CM分析の実習

(1)題材の選定

 一つのCMを選び、ショットごとにその表現方法を分析し、「CM分析シート」に記入していく方法で実施させます。
 CMの選定は、生徒自身に任せ、各企業のサイトにあるCMを教材にしました。

 40人でストリーミング配信を視聴することに対して回線の帯域が十分ではないと考え、いくつかのCMをあらかじめ取り込んで情報教室のサーバーに用意をしておきました。
 ナローバンド用などコンパクトな方を見るようにと注意しても、やはり映像が途中で止まったりしていました。(止まっている間に記入ができるので、かえって都合がよいとも思いました。)

【補足】
 題材選びを生徒に任せる(=生徒は、見たことのあるCMを探す)とした理由は、教員が用意した映像が生徒の消費行動に直結してはいけないと考えたからです。
 そこで、教員が念のためサーバーに用意したCM映像は、生徒がターゲットになりそうにないものとなるように留意しました。(具体的には、保護者が決定・選択する「電気」「ガス」「保険」などです。)

 最近のサイトは、CMの続編があったり、別バージョンがあったりと、いろいろなコンテンツが用意されていますので、「テレビで放映された15秒または30秒のCMだけを対象にする」といった制限をかけないと収拾がつかなくなりそうです。

(2)「CM分析シート」(別紙2)へ記入。 

 ショットごとに、表現技法や受け取った印象を記入させます。

 15秒または30秒なので、途中で止めながら分析をしても、そう時間はかかりません。生徒が選んだ題材ですから楽しく視聴してしまう前に、「このショットには、どんな意味があるのか?」、「ここのショットでこの商品の何を伝えよう(売り込もう)としてるのか?」と「批判的に(「つっこみ」をいれて)分析してみよう」と呼びかけます。

 まとめとして、このCMはどういった人をターゲットにしているのか、CM全体から受ける印象・意図、このCMがもつ問題点(不自然な点)などを分析します。

 
おわりに

 こうしたCMの作用と自分の受け止め方を自覚することもメディアリテラシーです。
 普段、何気なく見ているCMにより私たちが「なにげなく」意思決定をしていないかをあらためて考えてもらえればと思います。

参考文献

財団法人 消費者教育支援センター(平成16年6月発行)
『21世紀をたくましく IV 消費者金融編  教師用指導書』
「消費者契約教育に関する調査報告書」
 第 II 部 消費者金融に関する消費者契約教育の授業実践
  第3章 指導法と補足教材
   第1節 CM分析の手法について