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教師の方へ

授業実践記録(英語)

気付き・理解・活用が循環する授業を目指して

大阪府 A教諭

1.はじめに

昨年度(2013年度)新学年発足に際し,これまでの授業を振り返ってみると,生徒が内容理解をすることにかなりの時間を費やしていた部分がありました。しかし,改めて考えてみると,生徒は内容を理解するときには,あまり時制や冠詞,仮定法などの形式に意識が向いていないのではないか,という疑問が出てきました。学年担当者で話し合い,生徒は自ら英語を使用する時にこそ,どういった表現であれば正しく情報を伝えることができるのかということに意識が働き,形式に対する気づきが生まれるのではないか,という結論にいたりました。その結果,教科書の内容理解に多くの時間を費やすのではなく,レッスンの内容について自分なりの言葉でリテリングをした上で,自分の意見を英語で言えるようになることを単元の目標とし,そういった場面での英語使用について振り返りの機会を与えることで,英語の形式面への意識を高め,よりよい知識の定着につなげることを学年の担当者全員の共通目標としました。

2.授業の形式

(1)Oral Introduction, Oral Interaction

新しいパートに入る際,英語でOral Introduction, Oral Interactionを行います。教科書に掲載されている写真を用いたり,補足資料として準備した写真や動画を示したりしながら,教員の発話内容の理解をサポートします。この導入部分の目的は,生徒が本文を読む前に,新出語や複雑な文構造を含んでいて,理解しにくい文章をパラフレーズし,生徒が自力で本文を読むためのサポートをすることと,読む際のポイントを与えることです。また,ここで,レッスンのまとめとしてのアウトプット活動につながるよう,生徒の語彙の幅を広げておくことも重要です。例えば,ELEMENT English Communication I Lesson 7 "Biomimetics"では,レッスンのまとめとして,環境問題に関するスピーチ活動を行うことを設定していたので, "global warming"や "CO2"など,環境問題に関する語彙をOral Introductionで意識的に使用しました。

(2)Reading Comprehension

内容理解については,生徒が本文を読んだ後に,Oral Introductionで示した英語での質問の答えを生徒から英語で引き出しながら理解を深めていきます。ここでも写真など,ビジュアルエイドを用いて理解を確認していきます。

(3)音読

Oral IntroductionやReading Comprehensionで内容を理解した後,音読活動を行います。音読は,①model reading,②chorus reading,③blanked text readingの順に行います。③blanked text reading には,以下のように形式に重点を置いたものと,内容に重点を置いたものを行っています。

[形式に重点を置いたもの]

Reading Aloud ①: Form-focused
意味を考えながら,(  )内の動詞を適切な形に変えて音読しよう!

Biomimetics is also used (solve) environmental problems. The 500 Series bullet trains have a unique design. There (be) a practical reason for the design of the front of the train. At first, the train made a loud noise when it (enter) tunnels. The designers worked hard (reduce) this noise.

[内容に重点を置いたもの]

Reading Aloud ②: Content-focused
意味を考えながら,(   )に内容語を補って音読しよう!

Biomimetics is also used to solve (   ) problems. The 500 Series bullet trains have a (   ) design. There is a (   ) reason for the design of the (   ) of the train. At first, the train made a loud (   ) when it entered (   ). The designers worked hard to (   ) this noise.

(4)ストーリーリテリング

ストーリーリテリングでは,①与えられたキーワードを基に生徒が自分の言葉で伝える(図1),もしくは,②生徒自身がキーワードを抜き出したり絵を描いたりし,それを基に自分の言葉で伝える(図2),という2種類の活動を行っています。

図1 生徒に与える絵やキーワード(Teacher's manualに収録されているもの)

Lesson 7
Retelling Part 3
environmental problems
The 500 Series bullet trains
a loud noise
a kingfisher's beak
air resistance

図2 生徒の作品例

ストーリーリテリングの活動では,生徒が丸暗記から抜け出せなかったり,あまりディスコースを意識せずに発話したりする,といった問題点がありました。そこで,生徒が書いてきた作品の中からよいものをモデルとして紹介したり,文と文の内容的なつながりを意識しながら,ペアで一文交代で行うストーリーリテリングを取り入れたりすることで,上記の問題点を解消することができました。

3.アウトプット活動

それぞれのパートについて,内容理解,音読,ストーリーリテリングを行った後,教科書本文の内容に関連する題材で,本文とは異なる意見が述べられている英文や,異なる視点で書かれている英文を生徒に与え,それについてペアで即興で会話をしてから,スピーチ原稿の作成,グループ内での原稿の推敲をした後に,スピーチをさせました。今回のレッスンでは,環境が人間によって破壊されているため,多くの生物が絶滅の危機に瀕している,という内容の英文を新たに作成し,それを読ませたあと,「生物を守りながら社会を発展させることは可能か」という題で,以上の活動を行いました。

[スピーチ構成]
第一段落 biomimeticsについて
第二段落 biodiversityについて
第三段落 社会の発展とbiodiversityをどう両立するのか。

このスピーチの構成であれば,生徒は第一段落では教科書の内容について,第二段落では新たに提示された英文の内容について,学んだことをまとめれば書くことができるので,あまり抵抗感なく取り組むことができます。

以上,生徒が英語を活用する授業について述べてきました。昨年度末生徒に行ったアンケートでは,「前置詞をきちんと使えるようになりたい」や,「時制をきちんと使い分けられるようになりたい」など,単に語彙や文法を理解するのではなく,それらを活用できるようになりたい,という回答が多く見られました。生徒の英語力を高めるために,今後も生徒のアウトプットを引き出す授業づくりを進めていきたいと考えております。

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