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授業実践記録(英語)

英語4技能の統合を意識した生徒主体の授業への取り組み

長崎県立長崎北陽台高等学校 伊藤 敦司

1.はじめに

私が現在勤務する長崎県立長崎北陽台高等学校は,普通科と理数科を併せ持つ県内最大規模の公立高校である。緑豊かで閑静な環境の下,生徒は日々学習に励み,卒業後は国公立大学等に毎年多数進学している。

また,部活動においても強豪として全国的に有名な本校のラグビー部は,全国大会(花園)でも過去準優勝した経験があり,他にも、夏の全国大会(甲子園)でベスト8入りして「青い旋風」(本校のスクールカラーが淡青色のため)と謳われた野球部や九州有数の強豪である男子バドミントン部や登山部等,数多くの生徒が学習と部活動の両立を実践している。

以上,英語教師としては非常に恵まれた環境で,平成15年から9年間生徒達を指導してきた。今回の授業実践記録では,平成25年度より実施される新学習指導要領を鑑みて,そのポイントである「英語を用いて生徒が活動することを中心とする授業」への取り組みの一例を報告する。

2.READINGの指導について

私は,アメリカのハワイ大学で日本の中学・高校教師を対象にした英語研修に参加する機会をいただいた。その際,現地の講師陣より指導を受けた教授法をヒントに,実際授業で実践・活用した内容を,ここで紹介する。

Extensive Reading

ここ数年,大学入試センター試験や各大学の入試問題においても長文化がかなり進んでいるのに対して,高校生が教科書を使って3年間で読む英文がかなり少ないことを日頃から痛感していた。

その一助となればと思い,まずは教科書以外の英文素材(サイド・リーダー)を集め,それを休暇の課題として生徒に読ませることから始めた。本校生が長期休暇中に読むのに適当な内容・分量と考え,選んだものを下に記す。

・ Penguin Readers Level 2 (Elementary 600words)
Level 3 (Pre-Intermediate 1200words)
・ Evergreen Series (800words, 1000words, 1200words)
・ SCHOLASTIC Readers Level 1 (Elementary 600words)
Level 2 (Pre-Intermediate 1000words)

指導の流れとしては,以下の通りである。

  • ① 生徒が各自1冊ずつ,自分の興味・レベルに応じたサイド・リーダーを選ぶ。(40~50冊程度,多様なジャンルのものを用意しておく)
  • ② 生徒は自ら選んだサイド・リーダーを長期休暇中に読む。その際,極力辞書は使わない。
  • ③ 自分が読んだサイド・リーダーの内容をまとめ,10ページ程度のリーフレット(絵本)を作成する。唯一の条件は,全て英語で表記することのみとする。
    (生徒には白画用紙数枚を事前に渡しておく。各自のデザインで自由に作成して良いが,必ずタイトルをつける)
  • ④ 休暇後の授業で,作成したリーフレット(絵本)を持参し,4~5人のグループの中で,各自が5分程度ずつ,グループ内の他の構成員に絵を示しながら,英語で内容を説明し発表する。
  • ⑤ グループ内で,各自英語で感想を述べ合う。
  • ⑥ 各自が作成したリーフレットについては提出させ,評価する。
    なお出来栄えがよいものは,作成した生徒の了解がとれたら,教師が譲り受け保管しておき,次学年の参考にする。

例)生徒のリーフレット作成例(一部抜粋)

タイトル:The finest young woman(Grace Daring)

On a stormy September morning, a ship lay wrecked on a rock off the shores of the Farne Islands. There were 12 people on the rock. They were nearly dead with wet and cold. Grace Daring, the daughter of the lighthouse keeper on one of the Islands, looked out over the waves and saw the wreck of the ship. At first, she couldn't see any people, but soon after she saw some men on the top of the rock. She wanted to help them, so she told her father about it at once. Her father looked at her and said, "We must try to save them. Will you come?" she agreed quickly. They took out the lighthouse boat to try to save those poor people.

3.教科書の写真や絵を利用した指導について

Picture Painting

新課程コミュニケーション英語Ⅰの教科書である啓林館ELEMENT English CommunicationⅠには,実際の本文に至る前の2ページを割き,"Graphic Introduction and Retelling"という部分がある。

ここには今から学ぶ内容を示唆し,高校生にとって興味深い絵や写真が10数枚記載されているので,英語4技能を養成する活動に利用したい。例えばLesson1 "Samurai and English"は「明治の文豪福沢諭吉の英語学習との出会い」をテーマにした内容であるが,福沢の青年期の写真や,彼が渡米した際の咸臨丸の絵,初代大統領ジョージ・ワシントンの肖像画,日本の訪問団が大統領に謁見した際の絵等12点がある。現在,私が考えている授業展開(導入例)は以下の通りである。

  • ① 4名1組のグループを作り,絵を描く者(Painter)1名と,絵(写真)の内容を伝達する者3名(Communicator)を決定する。なお,4名の机はグループ内において,各自が聞こえる状態で並べておく。
  • ② Painterは目を閉じた状態で教科書"Graphic Introduction and Retelling"の中にある絵(写真)の中から,1つを指さし,その後も目を閉じておく。
  • ③ 3名のCommunicatorには,先ほど指さされた絵の内容を伝えるための考察時間1分が与えられる。ただし3名同士で相談する等,一切発言してはならない。
  • ④ Painterは目を開けて,白画用紙に3名のCommunicatorが英語で伝える内容の絵を描く。制限時間は4分間。
  • ⑤ 描いた絵と教科書に記載してある実際の絵(写真)を各グループ内で見比べる。その後,各グループが描いた絵を黒板に貼りだし,その貼りだされた10枚の絵を見て,今回学習する課がどういう内容かを各自が類推し,50語程度の英語エッセイを書く。
  • ⑥ 2人組のペアになり,相手が書いたエッセイを読む。その後,英語でその感想を述べ合う。また、教師が数名を選び,発表させても良い。
  • ⑦ 教師による授業(本文)の導入が始まる。

4.おわりに

生徒が英語の面白さを知り,かつ英語の4技能を伸ばすには,教師から与えられた教材を使用するだけではなく,生徒自身が「読みたい!書きたい!聴きたい!話したい!」と思うものを使用することが最も有効であると思う。そのために我々教師が工夫して,学習者の主体性を尊重した授業展開を行うことができれば,授業が活性化することは間違いない。これからもこの視点を忘れず,同僚とも意見交換をしながら,4技能が統合された授業プラン作りをこれからも進めていきたい。

(参考文献)Kathleen T. McWhorter "Academic Reading" sixth edition

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