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授業実践記録(理科)

火山噴出物と地形

鹿児島県日置市立土橋中学校 教諭 村岡 知英

1.はじめに

本校は薩摩半島のほぼ中央,シラス台地の上に位置している。また,桜島の噴火活動による降灰も一年を通して多くみられる。しかしながら子どもたちの意識は,そういった日常生活と,理科の学習とを十分に結び付けられていない現状がある。そこで,子どもたちの身近にあるものや体験とリンクさせつつ,この分野の授業を進めた。

2.実践の内容

(1) 火山灰とシラス

小学校での学習とも関連してくると思うが,子どもたちに「シラスって何?」と質問すると,多くの子は「昔の火山灰がたまってできたもの」と答える。実際は火砕流が堆積してできたものがシラスである。社会化等で「火山灰土」という表現で学習しているゆえの勘違いもあると思う。そこで,火山灰とシラスの違いを観察した。

火山灰は雨水等で流される前のものを鹿児島市桜島地区で採取してきた。シラスは鹿児島県内の随所にみられるのでそこで採取する。今回は,鹿屋市吾平町で採取したものを用いた。ただし,県内には霧島屋久国立公園があり,その保護地域での採取とならないように注意した。また,桜島は近年,活発な噴火活動を続けており,採取前に噴火の際の退避壕の場所や避難路の確認を行った。

火山灰については,鉱物を観察する時と同様,時計皿を用いて押し洗いし,双眼実体顕微鏡で観察した。シラスは,そのまま双眼実体顕微鏡で観察した。火山灰が角ばっているのに対して,シラスは角が取れて丸くなっている。すなわち火山灰は降ってきたもの,シラスは流れてきたものということが推測されるのである。

ちなみに,鹿児島県内にみられるシラスの大部分は約2万5千年前に姶良カルデラで起きた姶良大噴火による入戸火砕流を起源とするものと考えられているが,指宿市池田湖周辺の池田火砕流による堆積物など,地域によっては別起源のものもシラスとよばれている。

シラスを双眼実体顕微鏡で撮影(300万画素)

(2) 鹿児島の地形

シラスの由来がわかったところで,鹿児島の地形に移る。鹿児島を覆っているシラスは,台地を形成しており(シラス台地),その最上部の台地面は極めて平坦で,姶良カルデラや阿多カルデラから離れるほど緩やかに標高が低くなっている。現在の台地上は,鹿児島市では住宅地としての開発が進み,大隅半島ではサツマイモを中心とした畑作,畜産とともに,近年では宅地開発が進んでいる。

鹿児島市の住宅団地の標高は,以下のようになっている。

グループ 住所 標高(m) 基準点名
城山 108 (※標高点)  
伊敷台4 98 (※標高点)  
武岡2 124.1 三等三角点 高尾
常盤 106.9 四等三角点 常盤谷
武3 119.3 三等三角点 郷戸
西陵1 94.7 四等三角点 西郷団地
西陵6 114.7 四等三角点 西陵
田上 93.3 四等三角点 広木
紫原6 99.7 三等三角点 中大塚
桜ヶ丘3 111.7 四等三角点 山田
希望ヶ丘 78.8 四等三角点 竹迫
皇徳寺台南 108.6 四等三角点 南皇徳寺

各地点を4つのグループに分けたのは,各グループの間には川が流れているからである。①と②の間には甲突川,②③の間には新川,③④の間は脇田川,④の南には永田川という具合である。

大隅半島では,鹿屋市内の2地点を比較した。

住所 標高(m) 基準点名
鹿屋市西原1 79.9 三等三角点 黒木山
鹿屋市笠之原 79.7 四等三角点 鹿屋東中学校

この2地点も,間に肝属川をはさんでいる。また,笠之原町(笠野原台地)の東には串良川が流れ,野井倉原へと続いている。

シラスは水を浸透させやすいので台地上に川や湖沼などの水源がほとんどない。またシラス台地の周辺には湧水が多いこともポイントである。つまり,一度,火砕流に覆われ,同じ高さの台地となったのち,流水のはたらきによって浸食されて地形が変化し,現在の形となったことが考えられる。

実際に観察に行くのが一番いいのであろうが,時間的な問題等もあり,地形図を用いての活動と生徒の普段の生活の中での経験とをいかして授業を行った。

次時には,雲仙普賢岳の噴石と色の比較をした。

3.まとめにかえて

本県には桜島をはじめ11の火山がある。2011年の桜島は,南岳山頂火口と昭和火口での爆発的噴火が996回(12月28日現在)を数え,1回の爆発による噴出物の量は昭和の活動期ほど多くはないものの,今なお活発な活動を続けている。鹿児島に住む生徒たちは,これからも火山とともに生きていく。自然の雄大さ,偉大さを感じさせながら,防災の観点からも多くの話題に触れ,生活に密着した単元としたい。

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