2年
「育てよう!食べよう!作るの楽しいな!」             
愛知県A教諭


1.単元のねらい

 野菜の栽培活動を軸にした食育学習を通して,自分たちで育てたり作ったりした食べ物への愛着を深め,苦手な食べ物が食べられるようになったり,食べ物を大切にする気持ちを育んだりすることができる。


2.単元について

 近年,食事内容の質の低下や,朝食をとらない子どもの増加が問題視されている。本学級の子どもたちの給食の時間の様子を見てみると,いろいろな野菜が入っている献立の日は,食べきれずに残す子が多いことに気づいた。そこで野菜に関するアンケートを行ってみた。その結果,野菜は「すき」と答えた子が16人,「ふつう」が8人,「きらい」が6人であった。子どもたちの半数近くが,野菜に苦手意識を持っていることが分かった。また,校区は幹線道路に囲まれ,田畑が少なく,お米は田んぼでできることすら知らない子も多い。そこで,野菜の栽培活動を軸にした食に関する単元を構想し,実践することにした。自分たちで野菜を育てたり食べ物を作ったりすることで手間をかけて作った食べ物への愛着を深め,食べ物を大切にする気持ちを育んでほしいと考えている。


3. 単元構想(28時間完了)
1学期      
夏野菜を育てよう(5時間)
サンドイッチパーティをしよう(1時間)
田植えをしよう(2時間)
梅干しを作ろう(5時間)
収穫の喜びや食べる楽しさを味わう
 
     
2学期    
冬野菜何を育てようかな ( 4時間 )
めざせ野菜作り名人 ( 3時間 )

稲刈りをしよう ( 1時間 )

精米大作戦(2時間)

自分たちで育てた野菜のおいしさに気づき,
苦手な野菜が食べられるようになる

栽培の苦労や収穫の喜びを実感し,
食べ物を大切にする気持ちを培う

収穫パーティを開こう(5時間)
 

自分たちで作った食べ物はおいしいね。大切な食べ物をこれからは残さず食べるよ。

 


4. 単元の流れ

夏野菜を育てよう(4月〜9月)

すごくすごくやさいができるのが楽しみです。(A子)

野菜が苦手なB男はあまり意欲的ではなく,教師に声をかけられてから水やりをする日が続いた。(B男)

みどり色のプチトマトはもうトマトのにおいがしました。 (A子)

キュウリのまきひげがぴんぴんにのびています。(B男)

A子ちゃんの育ててくれた大切なトマトおいしかったよ。(A子の母親)

妹はキュウリすきだから食べられそうだよ。(B男)

とてもうれしそうにキュウリのことをいろいろ話してくれました。(B男の母親)


サンドイッチパーティをしよう(7月)   ☆ 収穫の喜びや,自分たちで作った野菜を食べる楽しさを味わった。

じぶんでつくったサンドイッチはおいしかったよ。やさいはじぶんたちでそだてたやさいだよ。(B男)
夏野菜作りの楽しさを次の活動のエネルギーに


冬野菜を育てよう(10月〜12月)   ☆ 畑の整備,作る野菜を決めるのも
自分達で・・・
(ダイコンが嫌いだからみんなで作って食べられるようにしたいという意見に心を動かされ)ラデッシュは食べたことがないからそれに決めたよ。(B男)

まびきした芽はみそしるに入れるとおいしいんだって。(A子)

大盛りのまびきしたミズナを残さず全部食べました。スーパーで買うのに比べとてもおいしく感じるようで。(B男の母親)

ラディッシュはちょっと苦いけどおいしかったよ。(A子,B男)

☆ 自分たちで育てたことで
苦手な苦い野菜もおいしく食べられた。



梅干しとお米を作ろう(6月〜10月)収穫パーティをしよう(12月)

ミニ田んぼに田うえをしてから4か月もかかってやっとおこめができたよ。(A子)

精米活動では,一粒の米も無駄にするまいとする姿が見られた。(B男)
 

次々に味見をする友だちを見て,B男は初めて梅干しを口にした。(B男)

 
梅干し名人を招いての収穫パーティでは,梅干しをおにぎりに入れ,苦手だったダイコンを何度もおかわりするB男の姿が見られた。(B男)

☆ 作る手間を体験し,食べ物を大切にする気持ちを培った。



5.成果と課題

食べられなかった野菜が食べられるようになった子も多く,単元開始前と単元終了後では,子どもたちの野菜に対する意識に,以下のような変容が見られた。
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また,給食に対する意識にも変化が見られた。ご飯粒を残さず食べようとしたり,苦手な野菜が入ったおかずも頑張って食べようとしたりする姿が見られるようになった。
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今後は,地域と連携して食育活動を進められるような単元を開発していきたい。

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