2年
『大根パーティーをしよう』               
兵庫県加東市立滝野南小学校
長谷川 恭央

1.はじめに

2.単元名 大根パーティーをしよう

3.単元目標

夏野菜育てに引き続き,大根の種をまいて,大切に世話をして育てる事ができる。
  大切に育ててきた大根を調理して味わい,収穫を喜ぶ事ができる。

4.学習活動

(1)夏野菜土作りから収穫まで
 ● ミニトマト一人一鉢
 ● ピーマン,万願寺とうがらし,すいか,おくら,きゅうりを学級園に植える。
 ● 学級園の草ぬき,土起こし,土作りなど児童がお互いに共同作業をする中で,夏野菜育てに気持ちを込める。
 
 ● 子どもの日記より
「肥料の牛ふんがくさかったよ。手をにおうと,土のにおいがしたよ。」
「ぼくが,くわで土を耕すとサクッと音がしたよ。でも先生はザクッと音がしたよ。」

 ● 毎朝の水遣りと生活の時間での観察を続けて小さな発見を見つける。
「あっ,とうがらしの赤ちゃんや。」
「すいかにも,ちゃんとしましまがある。」
 ● 収穫を迎え,ピーマンと万願寺とうがらしをしょうゆ炒めにする。「いただきます。」とは「野菜の命をいただくことだよ。」と説明し,感謝の気持ちを持たせた。普段,食べるのが苦手な子も最初は前歯でかじり,それから一気に食べた。

 ● 次の野菜作りへの意欲が児童に芽生え,秋植えの大根育てが決まった。

(2)大根で何を作ろう
 ● 「大根パーティーを開こう」と先にねらいを持たせ,さらに意欲を高める。
 ● みんなが食べたい料理法を発表する。
 ● おでん,さらだ,たくあん,丸かじり等が出てきた。
 ● 「たくあんって,大根からできるの?」「丸かじりはできるかなあ。」
 ● お家の人に料理法をインタビューしてみよう。
(3)料理法・材料調べ
 ● お家の人に大根料理を教えてもらい,発表し合う。
 ● 「丸かじりは,味がないと思います。」「おでんなら,みんなが食べられて良いと思います。」
「おでんの材料を聞いてきました。大根,こんにゃく,ウインナー。」「ウインナー?」
 ● 意見交流を通じて,各家庭のおでん料理が想像でき,へーっという驚きも生まれた。
 ● 「大根パーティー」の料理は,おでんと大根サラダに決まり,インタビューした材料を表にした。
 ● 金曜日の宿題に,「土曜日,日曜日に,お家の人の買い物についていって,おでんの材料の値段を調べてきましょうね。」と言うと,みんな喜んでいた。
 ● そして,「おでん材料ねだん表」が完成し,表の横には,おでんの絵が描かれていた。
(4)大根種まき・観察日記
 ● 大根の葉が出てきた様子を観察する。
 ● 「葉っぱがいっぱい広がっている。」「虫に食われてるね。」「ぎゅうぎゅうだ。」

 ● ぎゅうぎゅうのままだと,大きくならないことを観察中に説明し,間引きすることを予告する。放課後に教師が間引きをする。間引きをした葉は学校で飼育しているうさぎに食べさせた。
 ● 「おいしいおでんが食べたいな。早く大きくなってね。」「おでんが楽しみだよ。」
(5)買い物出発
 ● おでんの具を話し合う。

 ● 「ウインナーは絶対いる。」「多数決や。」熱のこもった話し合いとなった。
 ● 近くのお店にお願いに行き,品物をチェックしておく。

 ● 12品に厳選し,近くのお店に買い物に行くことにする。
 ● 買い物の約束を班で話し合う。
「あいさつをする。」「お店の中では騒がない。」「いらない物は買わない。」
 ● みんなで買い物に出発する。約束を守ろうとしていたが,お店の中ではやっぱりざわざわする。
「絶対,これや。」「日付見て買わなあかん。」「何枚入りの買うの。」「先生,お金足りへん。」

 ● 未来のお父さんお母さんの後ろ姿が見えた。買い物後,快く協力していただいたお店の方にお礼の言葉を伝えて来た。
(6)収穫
 ● 「大根の白い所が見えてたよ。」2学期の終わりで,時間の限りがある中収穫するが,あいにくの雨のため,カッパを着て収穫した。
 ● 「せーの,それっ,おー,抜けた。」「小さいなあ。」「おっ,まあまあやな。」「先生,足みたいになっとる。」雨の中だったが,二人一組になり,大根を次々と抜いていった。
 ● 昇降口の辺りは,大根の山積みになった。
 ● 「先生,葉っぱどうするの。」「ウサギにあげてもいい?」おいしそうにうさぎが食べている様子を見て,そのうち,小さい大根も持っていき出した。

(7)大根洗い・皮むき
 ● カッパを脱いで,班ごとにたらいの中で大根洗いをする。
 ● 冷たい水で洗っている中,お湯を足してやるとお湯のありがたみを感じていた。
 ● 洗ううちに土まみれの大根がみるみる白くなり,「先生見て,真っ白や。」
 ● 家庭科室で大根の皮むきをピーラーでする。

 ● 一人3個ずつ,おでん用の大きさに切る。
 ● 充分に注意して,どきどきして,けがすることなく無事終了した。
(8)大根に感謝
 ● おでんの下ごしらえは教師がして,仕上げの部分をみんなで作った。
 ● 切らなくて良い材料をおなべの中に入れる。ごぼう天,ひら天,ウインナー…。

 ● 煮込む間に,サラダを作る。余った大根とにんじんをピーラーで薄くむいて,お皿の上にのせる。マヨネーズで食べます。
 ● おいしそうなにおいが部屋いっぱいになり,おはしとおわんとお皿を班で協力して準備する。
 ● いよいよ大根に,お日さまに,雨に,学級園に感謝して「いただきます!」
 ● 「あつっ,おいしい!」「まだ熱くて食べられへんわ。でもいいにおい。」「大根おかわり。」

 ● 満足そうな顔で満ちあふれていた。お家から持ってきたおにぎりと一緒に2年生だけの特別メニューになった。

5.学習を終えて

 ● 大根作りから,家庭での調べ活動,買い物体験,おでん作りと活動が予想以上に広がる学習となった。
 ● 活動していくうちに内容をどんどん広げてしまい,計画性のないまま進めていった事が,課題である。年度当初から見通しを持った計画が必要である。

 ● 「大根パーティーをしよう」という,ゴールを始めに提示することで,児童の意欲的な活動へとつながった。
 ● 買い物に行ったお店,また,事前にそのお店に保護者が買い物に連れて行ってくれるなど,学習の様子を理解して協力していただき,スムーズな校外学習ができた。
 ● 自然の恵みに感謝するきっかけになる学習活動になった。

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