3年
グラウンドを使った楽しい「円と球」の活動  
〜活動「的当てゲーム」を取り入れた単元導入〜   
新潟県亀田町立亀田東小学校
黒崎 博幸
1.活動「的当てゲーム」の提案

グラウンドでの活動の様子
グラウンドでの活動の様子
 新学習指導要領算数科の目標に,「算数的な活動」という新しい用語が盛り込まれた。これは,算数的に価値のある活動を取り入れ,子どもたちが楽しく学べるようにすることが一層強く求められていることの表れである。

 しかし,現実の算数学習はどう変わったか。多くの先生が,活動を取り入れる意義はわかりつつも,なかなか取り組めないでいる。特に,活動がダイナミックになればなるほど,躊躇しがちである。その主な理由は,「活動を取り入れると,授業時数が余計にかかって困る。」「子どもは活動には意欲的に取り組むが,学習内容と関係ないところに夢中になってしまう。」ということであろう。

 そんな先生方に,3年「円と球」の単元導入には,活動「的当てゲーム」を提案したい。

2.活動「的当てゲーム」とは

活動「的当てゲーム」
子どもたちが,的に向かってボールを投げ(転がし),その精度を競うゲーム。
(ゲームを公平に行うためのコート作りの活動も含む。)

 <用意する物>ボール(ベースボール型ゲームで使うもの),的(体育教具のコーン)
長い棒,長いひもなど(大きな円を描く道具)

 <活動場所>

グラウンド,体育館,多目的室等の広い教室 など

 この活動には,次のような特長がある。

 ・体育科の「ベースボール型ゲーム」と関連させられる活動であるため,意欲付けが容易である。また,それほど多くの算数科の授業時間を必要としない。

 ・

子どもは,グラウンド等の広い場所で楽しく活動しながら,その過程で円の性質や円の描き方に気付くことができる。

3.活動構成(算数科:2時間 点線内の活動は,体育科の学習で実施)

4.活動の実際

 (1) 問題の発生

 体育科の「ベースボール型ゲーム」では,ピッチャーが子どもたちのあこがれのポジションである。それだけに,ストライクが思うように入らないと,「ちゃんといいところに投げてよ。」「ピッチャー代わってよ。」などと,クレームがつくことも多い。

 本実践でも,体育科の学習で「ハンドベースボール」を行っていると,子どもたちの中から,ピッチャーに対して不満が出てきた。そこで,子どもたちに「ゲームが終わってから,的当てゲームをやって,誰がピッチャーになるかを決めたらどうか。」と助言した。

 ゲーム終了後,子どもたちは思い思いに,体育教具のコーンをめがけてボールを投げ始めた。しかし,これでは誰がコントロールがよいか決められない。そのうちに,子どもたちの中から,「みんなが並べる線を引こう。」という声があがった。これがきっかけとなり,「的当てゲームのコートの形を考えよう。」ということが子どもたちの問題となった。


 (2)

 子どもたちの考えたコート

直線コート 三角コート 真四角コート 八角コート

 子どもたちの考えたコートは,上の通りである。話合いの結果,コートの作りやすさもあって,「真四角コート」が多くの子どもたちの支持を得た。早速,「真四角コート」を作って,的当てゲームを行った。しかし,角に近いところになった子どもからは,ボールが的からはずれる度に「僕の場所は,遠くて不利だ。」といった不満そうな声が聞かれた。

 再度,話し合ったところ,「角のところにカーブをつければよい。」「まん丸なコートなら,みんなが同じ距離になるはずだ。」という考えが出され,「まん丸コート」を作ることになった。この話合いを通して,子どもたちは「円は,中心から等距離にある点を結んだ曲線。」であることに気付くことができた。


 (2)

 「まん丸コート」作り

 「まん丸コート」を作るため,子どもたちはみんなで手をつなぎ,円を作ろうとした。しかし,どうしてもきれいな円ができない。困っている子どもたちに,「みんなが必要な物があったら,貸してあげるよ。」と助言すると,「長い棒がほしい。」「長いひもがほしい。」と言ってきた。そして,子どもたちは,棒やひもを使って,きちんとした「まん丸コート」を作ることができた。こうして,子どもたちは円の描き方に気付いていった。
 最後に,この「まん丸コート」を使って,的当てゲームを行い,みんなが納得できる形でハンドベースボールのピッチャーを決めることができた。


棒を使ったコート作り

ひもを使ったコート作り

5.新たな活動を求めて

 子どもたちは,教室での活動では見られない生き生きとした表情で活動に取り組んだ。広いグラウンドで全身を使った活動は,子どもにとって魅力いっぱいの活動となった。また,「ハンドベースボールのピッチャーを決めなくてはいけない。」ということが,子どもたちに学ぶ必要感をもたせることができた。

 もちろん,課題もある。一つは,この導入での意欲を,次時から行われる教室での活動(コンパスを使った活動や円の様々な性質を見付ける活動)にどうつなげていくかである。また,グラウンドでの授業は,せっかく子どもたちがすばらしい考えを出してもその場でノート等に書き表しにくいことも悩みである。

 しかし,今,学校では,新教育課程の編成に向けて関連的,総合的な活動の開発が求められている。算数科もその例外ではない。これらの課題を克服しながら,今後も他教科との関連をもたせた様々な活動を開発していきたい。

<参考文献>
 新潟大学教育学部附属長岡小学校研究誌「子どもと授業」No.34 平成7年


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