中学数学教科書「未来へひろがる数学」Q&A

Q6
三角形の合同条件の記述が,以前の教科書と変わっていますが,その理由を教えてください。

回答
  三角形の合同条件の記述(2年p.96)について,平成24年度教科書から次のように変更しております。
【旧教科書】

(1) 3辺が,それぞれ等しいとき。
(2)2辺とその間の角が,それぞれ等しいとき。
(3)1辺とその両端の角が,それぞれ等しいとき。

   ↓
【新教科書】

(1)3組の辺が,それぞれ等しいとき。
(2)2組の辺とその間の角が,それぞれ等しいとき。
(3)1組の辺とその両端の角が,それぞれ等しいとき。

 合同条件は,実際に証明を行う際に頻繁に使うものですので,できるだけ端的なことばでその意味がとらえられる記述が好ましいと考えております。そのため,あえて「組の」と入れなくても誤解なく意味が伝わると思われる合同条件については,これまではできるだけ短く「3辺が,それぞれ等しい」のような記述にしてきました。
 一方で,3年の相似条件については,従来「3組の辺の比が,すべて等しい」のような記述をしてきました。そのため,合同条件には「組の」と入れない理由,つまり,合同条件と相似条件で記述をなぜ変えているのかというご質問をしばしばいただいておりました。
 その理由は,このように「組の」と入れるか入れないかに合同条件と相似条件で差をつけることによって,それぞれの等しい関係の違いが明確になると考えていたためです。つまり,
    a=a´, b=b´, c=c´ (合同条件) (1)
    a:a´= b:b´= c:c´ (相似条件) (2)
のように,合同条件については辺どうしが等しい関係であること,相似条件については組にしてとった比どうしが等しい関係であることの違いです。
 しかし,生徒の覚えやすさの観点から,できれば合同条件と相似条件の表現を統一してほしいというご意見もたくさんいただいておりました。
 今回,新学習指導要領のもとでの最初の教科書改訂を迎え,どうすべきかをあらためて見直し,学習指導要領解説の合同条件の表現も「組の」と入っていることもふまえて,合同条件と相似条件の記述を統一する形での改訂を行った次第です。