教育改革のとりくみ 目次
信頼される活力ある学校づくり〜生徒指導を中心にした学校経営の推進〜
熊本市立東野中学校

1.はじめに

 生徒指導上の課題があり,その解決に向けた平成18年度から平成20年度までの取り組みで,平成18年度の取り組みが中心となっている。

(1) 生徒数 522人16学級(内特学1)(H21.3現在)

(2) 本校は,熊本市東部に位置し,熊本市電終点の健軍一帯の商業地と東南部に旧農村部,住宅地が広がった地域である。隣接には,東に上益城郡益城町,南に嘉島町があり,西には湧水で出来た熊本市民のオアシス江津湖がある。校区には,幕末の改革に力を注いだ横井小楠の私塾跡「四時軒」がある。本校の創立は,昭和37年で47年の伝統がある。数年前から生徒数が減少傾向にある。部活動が盛んで昭和の終わりには,バレーボール,バスケットボール,サッカーは全国大会出場,優勝等の経験を誇る。また,平成14・15・17年には,環境緑化で環境庁官賞,文部科学大臣賞,内閣総理大臣賞の栄誉に輝く受賞がある。


2.生徒指導上の課題

 これまで生徒指導上困難な時期があり,平成17年の1学期から2学期,3学期と急激に生徒の問題行動が多発し,生徒指導上の困難な状況があった。無関心を装う生徒が多くなり,悪いことを悪いと指摘しない自浄作用の機能の無さが目立っていた。人や物にやつ当たりする生徒もおり,弱い立場の生徒の中には,教室で授業が受けられない生徒もいた。授業では,学習への真剣さややる気がない状況があり,学年を経るにつれ学力低下の状況が続いていた。平成18年4月の時点では,問題行動,いじめ,不登校,生活習慣の乱れなど生徒指導上の課題が多く,授業にも支障をきたしていた。そのため学校に対する不信感が芽生えていた。


3.生徒指導の基本的な考え

(1) 生徒指導の基本は,授業つくり,学級つくりにある
(2) その日のことはその日のうちにうちに解決
(後回しにしない)
(3) 生徒に関わりを持ち手立てを打った指導
(当たり前と決め付けて指導しない。心を開く指導)
(4) 職員が危機意識を持ち,組織力を生かしてチームで取り組む
(職員室を1つ情報の共有化)

 平成18年度4月,校長が,信頼ある学校づくりのため「めざす学校像」を掲げ,生徒指導上の基本的な考えを示し,組織的にその具現化に取り組んだ。

「めざす学校像」
規範意識と思いやりの心を育む 整った環境で,生徒が粘り強く誠実に取り組む学校
生徒のよさが輝く活力のある学校


4.仮説

(1)  生徒指導上の問題は,職員が危機意識を持ち組織的に,その日のことはその日に,その週のことはその週に生徒に関わり,解決を図っていけば,問題行動はなくなる。また,生徒は精神的に安定し,信頼関係を築くことが出来るだろう。
(2)  生徒一人一人の問題の状況を把握して,個別に対応し手立てを打ち,関わりをもった指導を繰り返していけば,いじめ,問題行動はなくなり,自己判断力が高まるだろう。
(3)  教師が,授業の始業時間を守り,出欠確認や分かる授業,生徒が出来る授業を丁寧にやっていけば,生徒の集中力が高まり授業が成立するだろう。
(4)  学習やスポーツなど成就感,達成感を実感させていけば,生徒は意欲的になるだろう。
(5)  特別活動,学校行事等のねらいを明確にし,目的意識を持たせた取り組みを行っていけば,生徒の意識が高まり活力ある学校づくりが出来るだろう。
(6)  生徒会,学級や学年,部活動でリーダー育成を行い,学校行事等で力を発揮させていけば,自浄作用が高まるだろう。
(7)  朝の挨拶運動,清掃活動,環境緑化活動を積極的に行えば,生徒の心を耕すことが出来るだろう。
(8)  いじめ,不登校の課題は,定期的なアンケート,教育相談,スクールカウンセラーの活用など,積極的に行っていけば解決できるだろう。
(9)  学校を開き,生徒の様子を便り等で発信していけば,保護者,地域の信頼は得られるだろう。


5.取り組みの組織

(1)  校内組織
1 生徒指導
 
生徒指導委員会・・・ 毎週木曜日,各学年の生徒指導担当者が学年,学校全体の情報交換取り組みを確認し,金曜日の朝,職員全体へ報道しその週の問題等について解決を図る。
主任会・・・・・・・・・・ 毎週月曜日,学年主任,保健主事,生徒指導主事等で不登校生,別室登校生,教育相談(スクールカウンセラー)など,生徒の課題に対する手立ての立案と取り組みの確認を行う。

2 学習及び環境つくり
 
研究部・・・・・・・・・・・・・・ 学習への取り決め,目標達成テスト(100問程度1週間ほど前に問題を配布し,問題を出題するテストで,生徒が合格目標点を設定する。目標は保護者も確認しコメント等いただく。)授業研究,校内研修など企画立案する。
環境部・・・・・・・・・・・・・・ 環境部と生徒指導部,生徒会,部活動と連携した朝の清掃活動,環境緑化,挨拶運動などの企画立案を行う。
特別支援教育委員会・・・ 月に1回,不登校,学習遅延や学習障害,特別支援教育について個別指導計画の検討を行う。

(2)  地域や関係諸機関との連携
 
東野中学校見守りたい・・・・・・・ 父親を中心に父母の学校教育,校外指導への協力団体
HSサポートチーム・・・・・・・・・・・ 県警本部少年課,熊本市教育委員会教職員課,学校生徒指導部,青少年センター,PTA会長及び執行部で編成し,主に校外,家庭へ赴いて指導を行う。
青少年健全育成ネットワーク・・・ 学校,学校評議員,地域防犯協会,地域青少協,小中学校,PTA役員で構成し,地域での児童生徒の健全育成を図る。


6.取組の具体的な内容

(1)  問題行動,学校事故等への対応(生徒指導委員会,主任会)
1 積極的な家庭訪問の実施
 
 平成18年学年始め休業日から,生徒指導上の課題の改善を図るため,チームを組み積極的な家庭訪問を行った。特に,不登校生や生徒指導上気がかりな生徒に対し,家庭訪問の際,始業式へきちんとした形で登校できるよう声掛けを行い,髪やピアス,服装がきちんとなっていない生徒へは,再度,本人保護者へきちんと整えるように協力を促した。(夏休み,冬休みも同様)
 不登校生に対しては,別室登校や教育相談,スクールカウンセラーとの相談など対策を示し安心感を与えていった。
 学校で,生徒が負傷した場合は,学校から病院へ連れて行き,確実に家庭へ説明を行った。

2 組織力を生かした丁寧な指導の徹底
 
 生徒指導委員会,不登校・特別支援教育委員会で生徒指導上の課題,いじめ,不登校,別室登校等の対応,学習障害,特別支援教育について今何をすべきかを方策を計画した。
 平成18年度から機会ある毎に,生徒指導上課題のある生徒に,担任ばかりでなくチームを組み職員複数体制で,個別指導に心がけ,「今何を改善できるか」を本人に確認し,保護者と連携した指導を繰り返し行った。不登校の生徒に対しては,家庭訪問や三者面談を実施し,別室登校での教育やユア・フレンドの活用等改善を図った。
 4月,5月には,校内研修を4回実施し,生徒の特性や留意事項の共通理解を図るとともに,学習障害等について正しい認識,指導のため特別支援教育の専門家を招いた校内研修会を行った。
 休み時間は,職員で事故防止や落ち着いた行動を促すために,廊下や教室の巡視や敷地内巡視を行った。また,課題のある生徒が遅れて登校した際は,校内電話を使い職員が連携して対応した。また,学習ルームでの心を耕す話や課題学習を行い,授業者や担任と確認して授業に入れるようにした。

3 方策(手立て)を打ち,関わりを持ってからの指導
 
 生徒指導主事を中心に一つ一つの問題行動や課題についての抑制の方策を立てるとともに,問題発生時は,その日のうちに解決するよう心がけた。例えば,問題発生の原因,経緯等,生徒から十分話を聞き,何を改善すべきかを明確にし,生徒や保護者と教育相談,課題解決に取り組んだ。あわせて問題行動を防止する手立てや指導を行った。
 不要物の持ち込み禁止,服装の改善,授業中の立ち歩き防止など改善に向けた指導について集会や学校・学年・生徒指導便りで周知するとともに,生徒への面談や保護者と教育相談を積極的に行って協力を求めていった。

4 授業成立への取り組み
 
 基本的生活習慣と授業の成立については,学級・学年での「教室へ入ろう」「授業をきちんと受けよう」などルールを作り,生徒自身が意識するよう改善を図った。
 職員は始業時間を守り,教室にいない生徒については,授業担当のない教師との連携し対応した。改善に向けて家庭訪問,三者教育相談に積極的に取り組んだ。
 教師がきちんと授業を成立させることは,生徒に学力をつけるとともに,安心感・信頼感を与える。そこで,遅刻してきた生徒,教室に入ろうとしない生徒,無断で教室を出ようとする生徒に対して,授業空きの教師が廊下を巡回しながら授業担当者と連携し,別室指導に当たった。課題については,その日で解決(継続的指導)することを徹底した。
 集団での問題行動や徒党を組んだ行動に課題があったので,必ず個別にして,それぞれの生徒一人一人に対応する個別指導を徹底した。

(2)  活力ある学校づくり,生徒の自浄作用(主任会,研究部,部活動)
 
 生徒が燃える学校行事等(体育大会,文化発表会,クラスマッチ,卒業式など)の取り組みをきっかけに学級作り,学年作りを行いながらリーダー育成に心がけるとともに,活力ある学校づくりを行った。
 生徒会活動,委員会活動や部活動で率先して,朝のボランティア清掃や挨拶運動,緑化活動を行うことで,全校生徒の挨拶や清掃活動等を高め,活性化を図った。
 教室へ入りたがらない生徒に対しても計画的に緑化活動を行った。
 生徒会や部活動が積極的に地域と連携したボランティア掃除や吹奏楽演奏会などを行った。吹奏楽部は,地域の病院や介護施設,商店街等での演奏活動,生徒会では,市民センターでの幼児への読み聞かせなどを行って,地域でも生徒活動の活性化を図った。

(3)  不登校生徒,いじめ等への対応
1 生徒を見守る取り組みと心の教育
 
 登校時,毎朝の校門や通学路で挨拶運動を行い,教室でも心身の健康観察を実施した。
 生活ノートの提出及び学期はじめや終わりのいじめ・悩み調査を行い,いじめの早期発見,早期対応を実施するとともに,道徳や特別活動,集会,学校行事等を活用した仲間作りや思いやりの心,命を大切にする授業等を実施した。

2 居場所つくりと教育相談の実施
 
 教室に入れない生徒の居場所と学習に集中できない生徒の対応のために,余裕教室を改装し,いくつか学習ルームを作った。本人や保護者と担任,学年主任,校長が積極的に教育相談を行い,別室での学習やユア・フレンド,スクールカウンセラーによるカウンセリングなど,本人や保護者の要望に応じた方策を立てながら対応を行った。
 スクールカウンセラーは,平成18年4月より男女1人ずつ配置があり,週に各半日勤務であった。不登校生徒や教室に入れない生徒については,必ず活用を図り,心の安定を図った。また,保護者に対して積極的に教育相談し,スクールカウンセラーによるカウンセリングを実施した。また,担任とともに家庭へ出向いてカウンセリングも行った。
 ユア・フレンドの活用は,教室に入れない11人の生徒に対しては,熊本市教育委員会から17人のユア・フレンド(熊本大学生)を派遣していただき,生徒の話し相手とした。時には,学習の質問相手にもなってもらった。

(4)  基礎学力,やる気(活力)を育てる取り組み
1 基礎基本の徹底と学力の充実
 
 決め細やかな指導をするために,少人数指導,TT指導,個別指導(空き時間教師や校長,教頭による支援及び授業)を実施した。
 平成18年度より校長の提案で目標達成テストを定期テストの間に実施し,基本的事項の定着とともに,やれば出来る,努力が結果として現れるといった成就感,達成感を育てた。また,学習意欲を高めた。
 職員が標準学力テストなどで生徒の実態と課題を把握し,生徒の学力に応じた指導を意識し授業づくりを行った。
 全員が研究授業(校内研修)を行うことで,わかる授業から生徒が出来る授業への転換を工夫していった。
 生徒が授業に臨むレディネスを確立するために朝読書を行うとともに,1時間1時間を大切にするために,教師が始まりの時間を守るといった基本的な取り組みを行った。日ごろから,宿題を出し,連休や長期休業中の宿題については,課題に対してのテストの時間を設け家庭学習の定着にも心がけた。
 別室対応の生徒,どうしても授業に集中できない生徒へは,余裕の教室を改装して,個別に学習できるようにした。指導は,管理職を含めて授業のない教師が当たり,生徒が分からないところを中心に,課題学習を行った。

(5)  整った環境つくり(環境部,生徒会,部活動)
 
 緑化委員会の生徒が,昼の掃除時間を使い,種から育苗や花壇,プランターの整備を行うとともに,全クラスで学級花壇つくり,花壇コンクールを行って環境緑化,美化に取り組んだ。夏季休業等の長期休業日には,全生徒が当番となり水やり,花壇整備,草とりを行った。
 生徒会や部活動で朝のボランティア掃除,挨拶運動を展開し,環境整備と心の醸成を図った。

(6)  学校を開き,意識を高める広報活動
1 「ちょっといい話」「ちょっと耳の痛い話」「自分に今出来ることは何か!」
 
 毎月,生徒指導便りを発行し,「ちょっといい話」「ちょっと耳の痛い話」「自分に今出来ることは何か!」のコーナーを設け,生徒の心を耕していった。毎週の学年便り(信頼,コミュニケーション,灯台)を出し,「大人を勘違い」など,生徒の考えてもらいたいことや学年の様子を伝えていった。保護者からの意見も吸い上げながら,学校を開き保護者との連携を密にして行った。学級便り,秋津野(学校便り)も発行し生徒,保護者,地域の理解を図った。 クリックで拡大表示

(7)  家庭,関係諸機関との連携
1 「東野中見守りたい」の活動
   毎週月曜日と火曜日の朝の挨拶運動,昼休み時間等の校内の見回り,月2回の地域補導を実施して,基本的生活習慣の定着,非行防止を促した。

2 開かれた学校づくり
 
 学校を開き生徒達をよく見守るために,平成18年度の1学期始業式と入学式には,PTAの役員,青少年センター管轄の警察等に学校とともに挨拶運動を展開し,トラブル防止に協力をお願いした。
 見守られていることを生徒に意識させ,生徒のよさを伸ばし活力ある,定期的な授業参観や入学式,体育大会,文化発表会,卒業式など学校行事へ保護者や警察,教育委員会,進路先となる高等学校の校長や生徒指導の教師を招待し,学校を積極的に開いて行った。また,高等学校の教師を講師にした講演会,進路講話など行った。

3 HS(東野中学校)サポートチーム
 
 随時学校内での巡回指導や生徒への声かけ等を行った。また,生徒指導上課題がある生徒に対しては,保護者から承諾を得,校外指導,家庭訪問,声かけ等の健全育成を行った。サポートチームの指導で,地域の交通安全のための看板つくりも行った。

4 地区懇談会の実施
 
 中学校の改善の状況を知っていただくとともに,夏休みの生徒の非行防止のために,保護者,自治会長,青少年健全育成協議会,防犯協会,民生児童委員,警察などを招いて地域懇談会を実施した。家庭や地域には,積極的,意識的に声かけをしていただくようお願いした。青少年ネットワーク事業を設立し,情報交換と地域の清掃活動を行った。


7.取り組みの成果

(1)  生徒指導面での成果
1 平成18年度の1学期の始業式や入学式で,3年生を中心に私語や立ち歩き等注意をしなければいけなかった生徒が,1学期終業式には,私語も無く整然と見違えるような態度で終わることができた。人,物への八つ当たりはまったく無くなった。平成19,20年度は,全くといって良いほど生徒指導の課題は無くなった。
2 今まで,教師の注意を聞き入れていなかった生徒が,教師の言葉や教師との約束事を守れるようになった。卒業のとき,課題があった生徒も全員が教師へ感謝の意を述べ卒業し,進学を決めた。
3 一般の生徒が,授業への遅れや授業中の立ち歩きがなくなり,落ち着いて授業を受けるようになった。生徒の授業を受ける態度や表情が無表情だったのが,発表や挙手等意欲が出てきた。
4 平成17年度は生徒指導の件で,学校や教育委員会への苦情が多かったが,平成18年度は激減した。(学校の指導に対して生徒や保護者から信頼を受けてきた。)平成19,20年度は,問題行動についての苦情は,ほとんど無くなり,地域の方からの挨拶や思いやりの心で褒められるようになった。
5 体育大会では,平成18年度も概ねきちんと出来たが,組体操がほとんど出来なかった。平成19,20年度は,安心して出来るようになった。また,熊本市で部活動,陸上競技,弁論,英語暗唱大会など優勝や最優秀を受賞するなど評価されている。
6 生徒指導の推進に関して,校長を中心に生徒指導主事や生徒指導委員会が有機的に働き,教師集団として組織的に機能し,教育効果が表れた。
7 スクールカウンセラー,ユア・フレンドの効果的活用ができ,生徒の気持ちが安定し,学校での生徒の居場所づくりが出来た。また,高校進学が全員出来た。
8 授業,朝自習,目標達成テスト等の取り組みにより,多くの生徒が,基礎学力を定着させ,やればできるという達成感,成就感を感じることができた。また,平成18年度末の高等学校入試で,公立高等学校への合格率,合格絶対数は,過去10年間で一番よかった。平成20年度は,更に,公立高等学校への合格率,合格絶対数が上がった。
各学年の学力偏差値(入学時と比較)も少し上がってきている。
平成18年度4月 3年生1.3ポイント減,2年生2.1ポイント減
平成19年度4月 3年生0.5ポイント増,2年生0.0ポイント
平成20年度4月 3年生0.2ポイント増,2年生0.1ポイント増
9 種からの育苗などの生徒の環境緑化活動を通して,生徒,教師の意識化が図れ,地域の環境緑化にも貢献できた。平成19年度の学校環境緑化コンクールでも「つばき賞」を受賞し成果を得た。
 
(2)  地域との連携
1 体育大会,文化発表会入学式卒業式に多くの地域,高等学校等の来賓に出席いただいたが,非常に落ち着き,すばらしいといい評価を頂いた。
2 保護者,地域の役員,学校評議員等にきちんと情報を公開したことで,学校への協力体制を築くことができた。地区懇談会開催の折には,自治会長をはじめとする地域の役員の方にはとても喜ばれた。
3 近隣校と情報を交換することで,生徒指導上の連携が密になった。文化発表会や卒業式等,事前に3校で打ち合わせを行うことができるようになった。


8.今後の課題と対策等

(1)  この生徒指導上困難に対する対応の教訓を生かして,落ちついているときにこれまでの実践をふり返り,きちんとした組織作りと,心の教育を中心に自浄作用ができる生徒の育成を図る。
(2)  落ち着いた環境になると危機感の喪失が心配される。また異動してきた職員は,うわさに聞いている程度で,身に染みて本校の厳しかった状況を知らない。日常的にどういうことに細心の注意を払わなければならないかをわかった上で,共通理解,共通実践に取り組みたい。
(3)  卒業生と今年度の在校生とのつながりが心配されたが,平成19年度は,1件1年間,平成20年度は,1件5月までで激減した。ただ,今後も無職少年とのかかわり等で崩壊しかねないので,慎重に指導していく。


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