(3) 現実とリサイクル−関西中学生コンクールで佳作を受賞−
 このグループは,身近にあるゴミの問題からリサイクルについて調べ,いろいろな資源の再利用の中で,廃油を使った石鹸づくり,新聞,雑誌,牛乳パックなどを用いた再生紙づくりに取り組んだ。また,市内にある『共和紙料』いう会社に行き,紙のリサイクルの現状について,聞き取り調査を行った。
 <実験1>廃油の再利用
 準備するもの:廃油,水酸化ナトリウム,水,ハーブ,鍋,温度計,紙コップ,メスシリンダー,上皿てんびん
 実験方法:
1) 水500mlに水酸化ナトリウム180gを溶かし,水酸化ナトリウム水溶液をつくる。
2) 廃油1リットルを入れた鍋を火にかけ,50〜70まで加熱する。
3) 廃油に1)の水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ入れ,ゆっくりかき混ぜる。
4) どろどろのジャム状になるまで,かき混ぜながら煮詰める。
5) 火を止める少し前にハーブを加え,よくかき混ぜる。
6) 火を止めたら,すぐに紙コップに入れる。(写真14)
7) 約10日間,涼しいところに置いて固める。(写真15)


写真14

写真15

 <実験2>再生紙づくり
 準備するもの:ミキサー,紙すき器,のり,新聞,雑誌
 方法:
1) 新聞,雑誌を細かくちぎる。
2) ミキサーに水を入れ,細かくちぎった紙を入れてよくかき混ぜる。
3) 細かくなったらのりを入れ,どろどろになるまで回す。
4) 紙すき用の型に入れ,水をきる。(写真16)
5) 板で挟み,さらに水を切る
6) 板を床に置き,足でよく踏んで平らにする。
7) 板をはずし,紙を自然乾燥させると出来上がり。

写真16

 聞き取り調査:市内で紙のゴミが1ヶ月でどれくらい出るか,また1tの古紙からどれくらいの再生紙がつくられるか,新しい紙をつくるのにどれくらいの木を使わないといけないか,さらに,ダイオキシンについてなど,ゴミに関するいろいろなことを調査した。
 生徒の様子:自分たちで再生紙をつくったあと,工場見学に行き,現在のリサイクルの大切さや再生紙をつくる上での苦労,ゴミを出す側にできることなどを改めて認識し,研究レポートにまとめている。

5.取り組みを終えて
 2002年より「総合的な学習の時間」が始まることも取り組みを進めていくときに頭の中にはあったが,それ以上に21世紀の社会を担うこれからの中学生に,自分中心に物事を考えるのでなく,周りの人や自然を思いやったり,地球規模で物事を考えることができる人間になってほしい。特に,あと半年で卒業する生徒たちに,このあとの進路を考えるとき,今回の取り組みが少しでも今後の生き方に結びつけばいいなという思いをこめて取り組みを進めた。
 取り組みをするに当たっては,図書館やインターネットを使って様々な資料を集めたり,授業もこの間だけT.T(ティーム・ティーチング)で行ったりと力を注いだが,やはり初めての取り組みということもあり,様々な問題点も出てきた。例えば,実験の準備物が揃わなかったり,連絡がうまくいかなかったため施設見学ができなかったりというようなことが起こり,生徒が立てた計画が教師側の準備不足で変更せざるを得なかったケースもあった。
 しかし,こちらの予想以上に生徒が積極的な動きを見せ,地域の施設や市役所の環境課へ出向いて資料を集めたり,保護者にインターネットにアクセスしてもらって資料を集めたりするなど,教師が集めた以上に資料や情報が集まり,中身の濃いレポートが多数つくられた。
 ただ最後の研究発表が,慣れていないせいか,今ひとつ盛り上がりに欠けていたのが残念であった。これについては今後,パソコンを使ってまとめたり,プレゼンテーションソフトを使って,もっと視覚に訴えるような形で発表させることを考えていきたいと思っている。

 参考文献
佐島群己編:環境問題と環境教育 国土社 1992
佐島群己・堀内一男・山下宏文編:学校の中での環境教育 国土社 1992

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