6年 資料の調べ方

資料の代表値としての「平均」の意味を理解させる指導

1 指導のねらい

前学年までは測定値の平均について学習してきている。ここでは,資料の代表値としての平均について知り,平均についての理解を深めることをねらいとしている。そこで,いくつかの数量があったとき,それらを同じ数量にならすという意味を踏まえながら,集団の特徴を表す値として平均が用いられることに触れるようにする。

その際,平均が同じような場合でも,値が密集しているか分散しているかによって特徴が異なることなどについて理解できるようにすることが必要である。

2 私のアイディア

(1) 資料の代表値としての平均や散らばりに気づく教材の工夫

①自分たちのクラスのソフトボール投げの記録と他校の記録を段階的に出し,比較させる。

第1段階(教材1)

実際のデータなので,子どもの気持ちを配慮して,出席番号順ではなくばらばらの順番で提示する。
第2段階(教材2)

教材1と人数が違っているもの(違いは2~3人ぐらいまで),平均は同じだが,散らばり具合が違うものを提示する。

②2つの資料を色分けしたドット(点)で数直線上に並べて比較させる。

ソフトボールの記録を色シールで貼ることで,ちらばりに着目できる。

(2) 代表値としての平均の意味を深める教材の工夫

教科書教材


ちらばりの様子が分かるよう数直線上に表す。

全国の6年生の資料


全国の資料は柱状グラフで表す。

3 授業の実際

1 目標

代表値としての平均の意味が分かり,2つの資料の特徴を平均や散らばり具合に着目して読み取ることができる。

2 展開

学習活動 発問と子どもの反応・指導のポイント
1 クラスのソフトボール投げの記録を見て話し合う。
クラスソフトボール投げの記録です。あなたの記録はどこにありますか。
あった。あだ。(さです。・・・)
表からどんなことが分かりますか。
同じ記録の人がいます。おかはふ
最高記録が36mで,最低記録は11m。
合計÷29で平均も求められる。
最高記録と最低記録の差は25m。
ポイント
記録表から自由に読み取らせていくが,自分の記録や最大値,最小値などを読み取らせたい。
2 自分たちの学校と比べながら読む。
A小学校の記録も借りてきました。
A小は最高記録が42m。私たちは36m。A小学校はすごいなあ。
A小の最低記録は7mだけど,私たちは11m。
私たちの学校は最高と最低の差が25mだったけど,A小は35mもある。私たちの方が差がないと思う。
ポイント
自分たちの記録の読み方を生かして,他校の記録を読み取るようにしていく。その中で,どちらの記録がよいといえるかを考えさせ,平均を出す必要感をおこすようにする。平均の計算は電卓を使わせる。
3 平均で比べる。
どちらの記録がよいといえるでしょう。
ぼくは,A小学校だと思う。それは,25m以上の記録が多いから。
でも,私たちは10m以下の記録がないから,私たちの記録がいいと思う。
ぼくたちは,最高では負けているけど,最低では勝っているし…どちらがいいかよくわからない。
平均を出したらいいと思う。
平均を出して比べてみましょう。
平均は両方とも約21.7mで同じだった。
ということは同じということかな。
平均が同じだったら,2つの小学校は同じといえますか。
どうかなあ。平均は同じだけど,わたしたちの方がまとまっているし。
A小は差が大きいから。
ポイント
平均が同じ2つの集団は同じだといえるのかを考えさせ,散らばりに着目させていく。
4 ちらばりで比べる。
まとまっているかどうかを考えているようですね。もっとよく分かるように記録を数直線上に表して比べましょう。
ポイント
自分たちのクラスの記録は,一人一人にシールを持たせて数直線に貼らせていく。A小学校の記録は,あらかじめ教師が貼っていた図を提示して読み取らせていく。

ちがうところがよく分かる。A小は広がっているけど,ぼくたちはまとまっている。
わたしたちは,10mから20mの記録の人が多いけど,A小は15mから25mの人が多い。
平均は同じだけど,ちらばりは全然違う。
ぼくたちがいいと思う。平均は同じだけど,まとまっているから。
平均だけでなく,ちらばりも見ないといけないようだ。
ポイント
資料を比べるには,平均だけでなくちらばりからも考えることをおさえる。
5 資料の見方を深める。
次は,教科書の6年2組の記録をみてみましょう。
わあ,まとまっている。
わたしたちのクラスより範囲がせまい。
平均はわたしたちよりいいと思う。
平均は26mぐらいかな。
平均を出したら26.2mでした。
わあ,やっぱり,平均は真ん中ぐらいにありそうだ。
ポイント
さらに,ちらばりの様子や代表値としての平均についての見方が深まるように教科書のデータを数直線上に表して提示する。

最後に,全国の6年生男子のソフトボール投げの記録を見てみましょう。
山みたいなきれいな形になっている。
わたしたちやA小学校とはちがう散らばり方だ。
平均はだいたい24mかな。平均の近くが多く集まっている。
みなさん,すごいですね。平均は約23.8mでした。
ポイント
最後に,全国のソフトボール投げの結果を表した柱状グラフを提示して,さらに考察を深める。
6 まとめをする。
今日の勉強で分かったことや感想をまとめましょう。
記録を比べるときは,平均だけでなく散らばりも見ないといけないなあと思いました。
A小学校と私たちの学校を比べたら,ちらばりの様子は全く違うのに,平均はほとんど同じだったからびっくりしました。
全国の資料はきれいな山のような形になっていました。

4 授業を終えて

(1) 「資料を調べてみたい」という興味が湧くように,自分たちのソフトボール投げの記録と近隣の小学校の記録を教材にしたことで,進んで資料を読み取ることができた。

(2) 身近な資料から導入し,最後は全国の記録の柱状グラフを提示したことで代表値としての平均の意味理解が深まった。

(3) 2つの資料の比較読みをすることで,資料のちらばりの様子や代表値としての平均の意味が理解できた。

事例集トップへ戻る