ここでは，整数は観点を決めると偶数，奇数に類別されることを指導し，整数の性質の理解を深めることがねらいである。

そのためには，身の回りの生活や学習の場面で偶数・奇数に分ける場を設定し，2で割り切れるかどうかの観点で類別していくようにすることが大切である。

(1) 整数の豊かな見方から，偶数・奇数の類別に気付く過程の工夫

クラスの出席番号を教材として取り上げることで，自分たちの問題としてとらえ，分け方を意欲的に考えることができる。また，「〜である」と「〜でない」という集合の見方をさせることで整数を豊かに見ることができる。

(2) 偶数・奇数の意味の理解から発展的に余りに着目した見方へ
    （余りに着目した類別に発展させる工夫）

偶数と奇数の意味が分かり，整数を2つに類別することができる。

学習活動		発問と子どもの反応・指導のポイント
1	整数を2つに分ける方法を考える。 出席番号をばらばらにしておく	Ｔ みなさんの出席番号です。これはどんな数ですか。 Ｃ 1から22までの数です。 Ｃ 整数です。 本時は整数について考えることを明確にしておく。整数に気付かない場合は，小数や分数を提示する。 Ｔ これらの整数を2つの仲間に分けます。どんな分け方があるでしょう。 Ｃ 1桁の数と2桁の数に分けます。 Ｃ 2・4・6・8…とあと残りの数に分けます。 Ｃ 11より大きい数とそうではない数です。 Ｃ 2の段の答えとそうではない数です。 自分で観点を決めて，「〜である」と「〜ではない」の仲間にいろいろ分けさせることで，整数の見方を豊かにしていく。
2	ドッジボールのチーム分けをする方法を考え，偶数・奇数に分ける。	Ｔ ドッジボールをするために2つに分けたいです。どんなに分けますか。 Ｃ 1から11までと12から22までのチームです。 Ｃ でも，男女の数が違うのでだめです。 Ｃ ぼくは，2・4・6・8…と1・3・5・7…がいいです。 Ｃ 私も，偶数と奇数がいいです。 ゲームをするためのチームに分けたいという目的をもたせることで，偶数・奇数に分けさせていく。偶数・奇数が出ない場合は，教師から4〜5枚分けた後，どちらのチームに入れるか考えさせて分けさせる。
3	偶数・奇数の意味・用語を知る。	Ｔ Ａチームはどんな数と言ったらよいでしょうか。 Ｃ 2とびの数です。 Ｃ 2の段の九九です。 Ｃ 2で割り切れる数です。 Ｔ Ｂチームはどんな数と言ったらよいでしょうか。 Ｃ 2とびの数です。 Ｃ 2で割り切れない数です。 Ｃ でも，2とびはどちらでも言えるから区別ができません。 Ｃ 2の段の数は，18までしかないからだめです。 Ｃ はっきり分かるのは，2で割り切れる数です。 Ｃ Ｂチームは，2で割り切れない数です。 Ｔ それぞれ2で割って確かめてみましょう。 自由に表現させたあと，明確な表現にしぼっていく。 Ｃ やっぱりＡチームは割り切れました。 Ｃ Ｂチームは割り切れませんでした。 Ｔ 割り切れないとは，どういうことですか。 Ｃ 余りがみんな1でした。 Ｃ Ａチームはありません。 Ｃ だったらＡチームは余りが0です。 それぞれの数を2で割る計算をさせることで，割り切れるかどうかだけではなく，余りにも着目させる。
4	偶数や奇数を見分ける練習をする。 (1)　0について	Ｔ 0の番号の人はどちらのチームに入るでしょう。 Ｃ Ａチームです。0÷2＝0で割り切れるからです。 Ｃ 数直線で考えると1つとびになっているから偶数です。 0を考えさせることで，偶数の意味がより深まる。ここでは，2で割らせたり，数直線を使って考えさせたりするとよい。
	(2)　カードを使って	Ｔ 次の数は偶数ですか。奇数ですか。 Ｃ 28は偶数です。28÷2＝14で2で割り切れます。 Ｃ 101は奇数です。101÷2＝50余り1で2で割り切れないからです。 Ｃ うわー，大きいです。 Ｃ 分かった。一の位を見るとすぐに分かります。 偶数か奇数かを見分ける練習をさせながら，数を大きくしていくと，一の位の数に着目すればよいことに気付くことができる。また，桁の大きな数を出すことで，すべての整数が偶数と奇数に類別されることの理解が深まる。
	(3)　シートで
5	3つのチームの分け方を考える。	Ｔ 次は3チームに分けたいです。どのように分けたらよいでしょう。 Ｃ 1・4・7…と2・5・8…と3・6・9…の3チームに分けられます。 Ｔ 3・6・9…は，どんな仲間ですか。 Ｃ 3で割り切れる整数です。 Ｃ 3で割ると余りが0の整数です。 Ｃ 1・4・7…は3で割ると余りが1の整数の仲間です。 Ｃ 2・5・8…は3で割ると余りが2の整数の仲間です。 時間があれば，3チームでの分け方についても考えさせることで，発展的に3で割って余りが0，1，2で分けられそうだと考えることができる。
6	学習をふりかえる。	Ｔ 今日の学習で分かったことを言いましょう。 Ｃ 偶数は2で割り切れて奇数は2で割り切れない数です。 Ｃ 偶数は2で割ると余りが0で，奇数は2で割ると余りが1です。 Ｃ 一の位に目を向けると，偶数・奇数に分けられます。 学習のまとめでは，日常生活の中にあるカレンダーを紹介することで，さらに子どもたちの興味・関心が高まる。

(1)　学級を2つに分けるドッジボールのチームを考えることで，子どもたちの興味・関心が高まり，自分たちの問題としてとらえ，いろいろな分け方から偶数・奇数の分け方を導き出すことができた。

(2)　0は偶数か奇数かということを課題にし，2で割ったり数直線を活用して考えたりすることで，さらに偶数や奇数の理解を確かなものにすることができた。

(3)　余りに着目した表現に気付かせることで，整数の見方が広がった。