算数実践実例集

1年　たしざん（1）

ここでは，日常の事象の関係をとらえ，数量や｢＋｣「＝」の記号を用いて加法の式に表し，その計算の仕方を考え確実にできるようにすることがねらいである。
式との出会いが初めてである1年生に，形式的な式指導や計算にならないよう，具体から抽象への過程を丁寧に扱って指導することが大切である。

(1) たし算の意味が分かり，式を考え出し，創り出す過程の工夫

絵を見てのお話づくりやブロック操作を通して加法の場をとらえ，式に表していくようにする。また，式を早めに導入し，加法の場を広げていくようにする。

(2) 豊かな式の見方を育てる工夫

式に表すだけでなく，式から事象を考えさせることが大切である。そのためには，「式からどんなことが見えますか。」と問うことで，たし算の場がいろいろと考えられ，式を豊かに見ることができるようになる。

3＋2=5

3匹と2匹のかえるをあわせると，5匹
男の子3人と女の子2人みんなで5人

※ たし算の場が広がらないときは「ちょうちょではできないかな。」などのヒントを出していく。

絵を見てのお話づくりから加法（合併）の場をとらえ，たしざんの式に表すことができる。

学習活動		発問と子どもの反応・指導のポイント
1	絵を見てたし算の場をとらえる。	（具体的なたし算の絵①を提示）絵① Ｔ絵を見てお話ができるかな。Ｃかえるが葉っぱに乗っています。Ｃ島の右に2匹，左に3匹います。Ｃみんなでかえるは5匹です。絵①を見てお話づくりをさせることで，事象を言葉で表現させる。その後，絵②を提示する。絵②
2	ブロック操作をしながら操作と事象とお話を結びつける。	Ｔ二つの絵を見て，続けてお話を作ってみましょう。Ｃ右のかえるが2匹，左のかえるが3匹はっぱに乗っています。島におりたのでみんなで5匹になりました。Ｃ 3匹と2匹が一緒に島におりたので，みんなで5匹になりました。Ｃ 2匹と3匹が一緒になったので5匹になりました。ここでは，子どもなりの表現を大事にしながら「みんなで」や「あわせて」などの言葉を使ってお話づくりをさせる。
3	たし算の用語，記号を知り，式に表す。	Ｔお話したことをブロックでやってみましょう。ブロック操作をすることで，手の動きと「あわせる」という言葉を結びつける。Ｔこのことを算数では3＋2＝5とかきます。Ｃ見たことがあります。それはたし算です。Ｔそうです。「＋｣はあわせるということで「たす」といいます。「＝」は「は」といって「5になる」ということです。すぐに「たし算」という言葉が出てくると思われるが，ブロック操作をさせ，それを言葉で表現させながら式に導いていくようにする。
4	式に表す練習をする。	Ｔブロックに置き換えて式に表してみましょう。Ｃわかった。 5＋3＝8です。Ｃだって5こと3こをあわせると8こになるからです。 ① 5こ 3こあわせると8こ 5＋3=8 Ｃこれもたし算で4＋3＝7です。Ｃ「みんなで」というのは「あわせて」と同じに4にん3にんなるからです。 ② 4にん 3にんみんなで7にん 4＋3=7 Ｃ簡単。 5＋2＝7です。Ｃブロックですると「あわせる」と同じです。 ③ 5さつ 2さつぜんぶで7さつ 5＋2=7 場面を広げてブロック操作をさせることで，「あわせて」「みんなで」「ぜんぶで」でも同じ手の動きになることに気づかせ，たし算の式に表させていく。逆に式が早く出たら，その説明としてブロック操作をさせるとよい。
5	式からお話づくりをする。	Ｔ 3＋2=5の式を見てどんなことが見えますか。Ｃケーキが3個と2個。合わせると5個です。Ｃ男の子が3人女の子が2人みんなで5人。たし算の式から具体的な場面を考えさせることで一つの式にはたくさんの事象がつまっていることに気づかせたい。なかなか気づかない場合には，一例を示すとよい。
6	学習のまとめをする。	Ｔ今日の勉強で分かったことは？Ｃたし算の式が分かりました。Ｃたし算は「あわせると」「みんなで」「ぜんぶで」のときに使うことが分かりました。Ｃもっとたくさんのたし算を見つけたいです。

(1)　合併の場がとらえやすく身近で親しみのわく事象を取り上げたことで，楽しくお話づくりをすることができた。

(2)　身近な場面を言葉で表しブロック操作をしたことで，合併の場がより分かりたし算の式も無理なく表すことができた。
　また，早めに式を取り上げたことで，いろいろな合併の場をブロック操作を通して広げることができた。

(3)　事象（絵）→ことばで表現→具体的な操作→加法の式の過程を大事にすると同時に，式から事象を考えさせることで，式の意味が分かり，広がり，豊かになってきた。