1年
創作童話「豆忍者小太郎の宝探し」   
−ストーリーのある授業展開−     
1年「大きいかず」

 1.本単元のめあて

大きい数を用いる場面に興味・関心をもち,進んで用いようとする。
十進法に基づく数概念を身につける。
100までの数と100を少しこえる数を読んだり,書いたりできるとともに,数の大小判断ができる。
数構成に基づく(何十とあといくつに着目した)加減の計算ができるようにする。
100までの数と100を少しこえる数の数概念と数系列を理解する。

 2.教材観

(1) 前後の関係(新学習指導要領に準拠)

1) 前に学習している内容とのつながり

かずとすうじ10までの数の概念
なんばんめ   〃
いくつといくつ  〃
20までのかず20までの数の概念
  〃 数構成に基づく計算 (十何)+(1位数)=(十何)

10までの数の合成・分解は数概念の基礎となる。
20までの数の数え方,唱え方,表し方について学習してきているが,2位数としての取り扱いは重視していない。
20までの数を「10といくつ」ととらえる学習は,「10のまとまり」をつくるよさに気づくことにつながる。


2)

 これから学習する内容とのつながり

1年100までのかずのけいさん
2年 1000までの数
2年10000までの数

2位数について,数を数えたり,読んだり,書いたりすることや,各位の数字の意味や空位の意味がわかり,一の位や十の位の用語を正しく使うことができることは3位数や4位数について,十進数の構成やその記数法,命数法と数の大小,系列や数の相対的な大きさについて学習することの基礎となる。


(2)

 指導内容の分析

1)  100までの数と100を少しこえる数の数え方,表し方,順序,系列,大小について理解する。
・100までの数の数え方と言い表し方
・数と物との対応
・2位数の位取り記数法
・2位数の構成
・数字と物の対応,2位数の数構成
・100までの数表の系列,読むこと,書くこと
・100までの数の大小,系列
・100までの数の習熟
・100までの数直線
・100を少しこえる数の構成と読み方,書き方
・100をこえる数の順序と使われ方
を理解する。

2)

 数構成に基づく(何十とあといくつに着目した)加減の計算ができること
・100までの数の構成に基づく計算ができること


(3)

 指導計画

1) かずのかぞえかた
 ・20から60までの数の数え方と言い表し方1時間本時
 ・60から100までの数の数え方と言い表し方1時間 
 ・数と物の対応1時間 
2) かずのかきかた
 ・2位数の位取り記数法1時間 
 ・2位数の構成1時間 
 ・数字と物の対応,2位数の数構成1時間 
3) 100までのかず
 ・100までの数の数え方と言い表し方1時間 
 ・100までの数表を読むこと,書くこと1時間 
 ・100までの数の大小,系列1時間 
4) おかね
 ・100までの数の構成に基づく計算1時間 
5) すごろく
 ・すごろく遊びによる100までの数の習熟2時間 
 ・100までの数直線  
6) 100をこえる数
 ・100をこえる数の構成と読み方,書き方1時間 
 ・100をこえる数の順序と使われ方1時間 

 本単元は,十進位取り記数法の基礎・基本となる単元であるので,児童に様々な体験をさせながら学習を進めていきたい。そして,10ずつまとめることのよさや,十進位取り記数法のすばらしさを体感させたい。本時は,作業的・体験的な活動を重視した単元全体の導入ともいえる内容である。

 3.導入における工夫

(1) ストーリー
 この時期の児童は,空想の世界に自分自身を入り込ませ,好奇心を働かせて楽しみながら活動したり学んだりするものと思われる。そこで,本単元では豆忍者「小太郎」の宝探しという創作童話のストーリーの展開とともに学習を進めていくことにした。そのことにより,興味をもって課題をとらえ,また,意欲がとぎれることなく単元全体を学習していくことができる。

(2)

 豆忍者小太郎の宝探し
 「豆忍者小太郎は,ある日,亡くなったおじいさんからの手紙を見つける。その手紙には宝の隠し場所が示されており,小太郎は宝探しをはじめた。最初の隠し場所にたどり着くと古い箱にはたくさんの巻物が入っていた。そこには,その巻物の数だけ歩くと宝物の場所にたどり着けるという手紙が置いてあった。しかし,幼い小太郎には,その数え方がわからない。そこで,〇〇小学校の1年生に助けを求めて来た」という設定である。その後の話を続けて,単元を通した学習が組めるようにする。

(3)

 楽しく操作活動
 小太郎が手にした巻物を数えることを通して10ずつまとめると数えやすいことを実感させ正しく数える経験をもたせることにした。そのことで十進位取りの原理の初歩的な考え方を理論的な理解だけでなく,具体的な操作活動で直観させ理解させたい。

(4)

 ファックス資料(「5.ファックス資料」参照)の活用法
・絵の上におはじきを1対1対応して置かせ,おはじきの数を数える。
・巻物の絵の数を数え,印をつけたり,線で囲んだりして数える。

 4.指導の流れ

(1) 創作童話を聞き,本時のめあてをつかむ。
・小太郎からの手紙を読む。
・「小太郎に,大きな数の数え方を教えてあげよう」のめあてをみんなでつくる。
 ただ数えるのではなく,何個あるかが一目でわかるような数え方の工夫をしよう。
・どのくらいあるかを予想する。

(2)

 巻物の数を数えて,小太郎に教える方法を考える。
・まず,1つずつ数えてみる。52だったり,51だったりとばらばら。
・2ずつ数える。5ずつ数える。10ずつ数える。

(3)

 数えた巻物を後で見てわかるような数え方を考える。
・「数えた巻物の数を,小太郎が見てすぐにわかりますか」と問いかける。
・1ずつ,2ずつ,5ずつ線で囲んでも,わかりにくいことに気づかせる。
・10ずつを線で囲んでいく(おはじきの場合は,10のかたまりをつくる)。

(4)

 「早くて簡単,正確に」の観点の基にどの数え方がよいか話し合う。
・1ずつだと間違いやすい。
・2ずつも時間がかかる。後から見ても,すぐにいくつといえない。
・5ずつは,5とびの数え方で数えられる。
・10ずつは,10がいくつで何十,ばらがいくつで何十何とすぐいえる。
・10ずつは,確かめるときも,簡単にできる。
・10ずつは,数え間違いが少ない。

(5)

 10ずつまとめて数えていけばよいことに気づき,これからもっといろいろな数を数えていこうという意欲をもつ。

 5.ファックス資料


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