全数調査・標本調査

統計は,不確定な集団について,その特徴や傾向を知ることをねらいとしています。そのために,目的にしたがって資料を集め,その資料を分類・整理し,考察を加えてその集団の特徴や傾向を調べるのですが,この場合,次の2つの方法があります。
1つは,調べようとする集団の全体について調査する方法で,全数調査といいます。一般に,全数調査では,多くの時間と労力,費用がかかります。また,工業製品のように,すべての製品について全数調査することができないものもあります。
これに対して,全体(母集団)の中から一部分(標本)を選び出して,それから全体のようすを推しはかる方法を標本調査といいます。

この標本調査をもとにして,平均や散らばり(標準偏差)などを調べ,母集団のようすを推定します。これを統計的な推定といいます。

例えば,下のような1.~3.の調査をするときは,1.については全数調査をし,2.3.については標本調査をするのがふつうです。
1. ある学級の男子と女子のソフトボール投げの記録
2. わが国で,ある意見に賛成の人の割合の調査
3. 電球工場で,製品の点灯可能時間数の調査
このように,社会一般に行われている統計調査のほとんどは標本調査で,全数調査は,母集団の要素の数があまり多くない場合や国勢調査のように厳密な情報が必要な場合に行われます。

標本調査で大切なことは,標本のとり方です。標本が母集団の特徴をよく表すように,ある部分に偏らないようにしなければなりません。そのため,標本のとり方はランダム(無作為)でなければなりません。ふつう,ランダム表を使いますが,小学校では,カードやさいころ,出席簿の番号などを利用することが多いようです。

また,小学校では,標本調査によって得た結果を全数調査によって得た結果と比較して標本調査の意味を理解させることまでは扱いません。