暗算

数観念をもとにして,計算の過程を念頭で処理する計算の方法を暗算といいます。
口頭で計算問題を出し,暗算で結果を求めさせる方法を聴暗算,計算問題を数字にかいて提示し,暗算で結果を求めさせる方法を視暗算として区別することもあります。

紙にかいている数でも,また,34+12のように横書きにしても,右のように縦書きにしても,頭の中で計算をして数観念に基づいて答えを出せば,それは暗算ということです。

このように暗算は,念頭にある数の観念によって計算するものですから,その計算は,直接に数観念に密着し,数の性質や計算の仕組みがもとになって行われることになります。それで,そうした数の性質や計算の仕組みの理解にも役立つことになり,また,数についての判断や見通しを立てる上でも有効な働きをすることになります。しかし,数を念頭で処理する限界や,生活上必要な範囲,計算の仕組みを理解するのに必要な範囲などから考えると,暗算の範囲は,自ずと限られたものになります。

指導にあたっては,次の点に留意が必要です。
・正しい方法で計算させ,速さは要求しない。
・順序よく段階的に進ませる。
暗算の方法はいろいろありますが,無理なく,誰でもできるようにするためには,
・上の位から下の位へ処理する
・数をなるべく結びつけたままで行う
ということが大切です。
暗算については,軽視される傾向がありますが,日常生活で必要な身近な計算に役立ち,また,見積もりや概算力を高めるなど生きる力にも結びつくため,系統づけて指導することが大切です。