操作活動

算数の指導では,操作活動を,実際に具体物を「手を動かして考える」手作業(manipulation)に近い具体的操作と,頭の中に対象とする事柄のイメージを思い描いて,内面的に思考する念頭操作に分けることができます。
第1学年では,
・数図ブロックを動かして計算の過程を表現する。
・箱や空き缶を使って,立体を作る。
・計算棒を数えて,10ずつのまとまりをつくる。
といった具体的操作が活動の中心になりますが,内容によっては,具体的操作が念頭操作と結びついて初めて目的の達せられるものもあります。
例えば,8+3のような繰り上がりのある計算では,初めの段階では,数図ブロックなどを使った具体的操作を通して加数分解による算法の理解を図ります。このような具体的操作活動を何度か繰り返すことを通して,次第に数図ブロックなどの具体物を扱わない,実際の行為を念頭で想定して操作する段階へと高めていきます。(右図参照)

そして,最終的には,数図ブロック操作のイメージなしに,具体を離れて抽象数だけで処理できる形式的操作の段階へと高めていくのです。このように,念頭操作は具体的操作と式の計算の媒介をする役目も担っているといえます。
なお,念頭操作の段階で思い描くイメージのことを,シェーマということもあります。