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1.はじめに
はじめて理科の学習が始まる3年生。生活科で学んだ経験を生かした理科学習指導が展開できないものかと考え,「昆虫図鑑を作る」という目標に向かった理科学習指導を試みてみました。ご存じの通り,3年生は比較しながら,問題を見いだしたり,解決したりする力を身につけなくてはいけません。モンシロチョウの体のつくりを核に,他の昆虫を比較しながら昆虫の特徴が明らかにしていくことができると考えました。
また,主体的な問題解決活動がいわれますが,なかなか,子ども主体になり得ないものです。私は,本単元に入る前に,「植物を育てよう」という単元でも同じように,核になる植物の観察を基に,他の植物と比較しながらその特徴を明らかにしていくような展開を試みています。そこで学んだ追究の仕方(学び方)が生かされ,本単元ではより主体的な活動が期待できるものであると考えました。
2.単元でのねらい
昆虫の育ち方やつくりを互いに比べながら調べる活動を通して,昆虫の体のつくりや成長には,きまりがあるという見方や考え方を養うことが主なねらいです。この学習を通して,今まで,漠然ととらえていた昆虫の特徴に気づかせることができるとともに,自分なりに観点を持ち,自然に働きかけ,きまりを見つけることで,科学する喜びも味わわせることができると考えます。
3.展開計画(総時数 12時間)
| (1) | 昆虫やその卵を探したり,昆虫の育ち方や図鑑づくりについて話し合ったりして,本単元を設定する。 | 3 |
(2) | 卵や幼虫から成虫に変化していく様子を調べ,昆虫図鑑に表す。 | 5 |
(3) | 昆虫の体のつくりについて調べ,昆虫図鑑に表す。
| 1) | モンシロチョウの体のつくりについて調べる。 | (1) |
2) | 自分の選んだ昆虫の体のつくりについて調べる | (1) |
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(4) | 調べたことをまとめ,昆虫図鑑を完成する。 | 2 |
4.本時
本時に至るまでに,子どもたちは,モンシロチョウの体のつくりについて,羽の数,頭・胸・腹,足の数,羽や足のつき方,触覚という観点から,モンシロチョウの体のつくりを調べてきています。そこで,本時は,自分で選んだ虫を自分なりの観点にそって体のつくりを調べたり,友達の調べた虫との共通点を見つけたりしながら,昆虫としての体のつくりについて理解し,昆虫図鑑に表すことができるようにする1時間です。
この時間に工夫したことは,子どもが主体的に活動できるようにするために,植物で学習したことや学習の仕方,モンシロチョウの体のつくり,学習の進め方を掲示しておきました。
モンシロチョウの体のつくり
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羽−4枚 頭・胸・腹 足−6本 胸−足,羽 触角−2本 |
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学習の進め方
| 1 | めあてを確かめる。 |
| 2 | モンシロチョウと比べながら,自分の虫を調べる。 |
| 3 | こん虫の体のつくりについて話し合う。 みんなの調べた虫の体のつくりを比べながら |
| 4 | ふりかえる 学習の仕方や中身から |
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また,右のような図に,観察し発見したことを,観点別に色分けしたカードに記入し,添付していくようにしました。 このときの約束として,同じ内容は,重ね合わせるということです。
| 体のわかれ方 | − | 黄緑 |
| 足の数 | − | 水色 |
| 羽の数 | − | ピンク |
| 触角,口 | − | 黄色 |
| その他 | − | オレンジ |
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5.学習の実際
子どもたちは,学習の進め方にそって,下のような図鑑を完成させていくことができました。このとき,観点別に色分けしたカードを使ったことで,観点ごとに比べやすくなると同時に,同じ内容は貼り足していくということで,調べた内容に客観性を持たせることもできました。
【子どもの調べた虫とそのつくり】
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6.終わりに
子どもたちは,調べたい虫を自分で選んでいたことや学習の仕方や進め方がわかっていたために,主体的に互いの虫の体のつくりを比べていくことができました。また,昆虫ではないヤスデ対象として入れておくことで,昆虫の特徴をクローズアップし,理解する事にもつながりました。
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