数学トピックQ&A
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正弦定理・余弦定理
Q  教科書では,正弦定理は,三角形の外接円の円周角,直径を使って証明してあります。
 余弦定理は,三平方の定理を使って証明してあります。2つの考え方は大いに違うのに一緒にして扱っているのは何か訳があるのですか。
A  正弦と余弦を一緒に考えているから,正弦余弦の定理も一緒に扱えばいいだろうと思っていましたが,おもしろい質問ですね。ちょっと気がつきませんでした。
 それでは,この2つの定理は,一緒に扱ってあげた方が良さそうということを考えてみましょう。

 △ABCでAから対辺BCへ垂線AHをひきます。この三角形の左右真横から光を当てます。そうすると,ABの影 c sinB ,ACの影 b sinC はいずれもAHとなって,等しくなります。したがって,
  c sinB b sinC
  
 同じように,BからACに垂線をおろして考えると,
  

となって,正弦定理が得られます。

 次に,△ABCでBCに垂直に真上から光を当てるとどうなりますか。

Q  ABの影AHは c cosB,ACの影CHは b cosC だから,a = CH+BHより,
  a b cosC c cosB……[4]
 同じように,AC,ABの真上から光を当てて,
  b c cosA a cosC……[5]
  c a cosB b cosA……[6]
A  上の[4],[5],[6]を第一余弦定理といい,以前は教科書にも出ていました。
Q  これは余弦定理とは違いますね。
A  [4],[5],[6]から余弦定理を導いてみましょう。
 [4]×a +[5]×b −[6]×c を計算してみてください。
Q  a2b2c2=2ab cosC となります。
 これは,
    c2a2b2ー2ab cosC
 となって,余弦定理になっている。
A  結局,三角形の2辺の影(これを正射影といいます)を考えることによって,正弦定理,余弦定理が出てきました。