数学トピックQ&A
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三角形の面積
Q  △ABC の面積 S で与えられるというのは,三角形の(2)2辺角の場合の公式ですが,(1)3辺(3)2角辺の場合に相当する公式はあるのですか。
A  三角形の形状について,(1)(3)の場合も残りのものが決まることを発展のところで確かめたので,面積を表す式もありそうです。
(1)3辺の場合には,有名なアレクサンドリアのヘロン(Heron 紀元60年頃)の公式があります。
  として,
Q  こんな古い時代に,すごい式を見つけたものですね。
A  測量には便利な式ですね。
 では,これを証明してみましょう。
  ……[1]
 [1] の両辺を2乗して,を使うと,
  ……[2]
となります。
 余弦定理  を[2]に代入すると,S abc の式になります。
まず,[2]で,としておいて,計算してみましょう。
Q   

となりました。

A  b2c2+2bcb2c2−2bc は因数分解できます。

  

これに[1]の2sabc を代入するとどうなりますか。

Q  abc =2sab=2scbc =2saca=2sb だから,

  

よって,
  この公式は,形がきれいで,覚えやすいですね。

A  ご苦労様でした。
 (3)2角辺の場合は,aBC が与えられたとして,面積を求めてみましょう。
 ……[1] で,bcaBC で表せばよい。
 正弦定理から,
 これを[1]に代入するとどうなりますか。
Q   
A  ABC=180°だから,

  

 これを使うとどのようになりますか。 

Q   

となります。

A  これで,すべてが解決されたことになります。
  三角形の面積は,古くからいろんな公式が知られています。内接円の半径 r や外接円の半径 R を使って表す公式もあります。
 ア 内接円の半径 r と3辺の長さ abc で表す。
   

 イ 外接円の半径 R と3辺の長さabc で表す。
   
   外接円の半径 R と3つの角 A,B,C で表す。
   S=2R 2 sinA sinB sinC
 ウ 内接円の半径 r,外接円の半径 R,3つの角 A,B,C で表す。
   SRr (sinA+sinB+sinC )
 いずれも,簡単ですから証明してみてください。

Q  アは,△ABCの内接円の中心を I とすると,
  S=△IBC+△ICA+△IABになっています。だから,
   
 イは, に,正弦定理 を代入すればよい。
  下の方の式は,正弦定理 a =2R sinAb =2R sinB を代入すればよい。
 ウは,に,正弦定理  a =2R sinAb =2R sinB
c =2R sinC を代入すればよい。