数学トピックQ&A
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2次方程式の歴史
Q  2次方程式のようなことを問題にして,それを解くということを,人間はいつの頃から考えるようになったのですか.
A  数学の勉強をするとき,「人類はいつの頃からこんなことを考えるようになったのだろうか」という疑問を持つ人は,数学は問題を解くことだと思っている人に比べて,はるかに豊かな勉強をしている人です.
 2次方程式の考えは,紀元前からあるようです.
 紀元前300年頃に著されたというユークリッドの「原論」には,現代の書き方にすると 

  x2ab  x (ax) =S  x (ax) =S

を定規とコンパスで解くことのできる問題として取り上げています.
 また,古代バビロニア,インド,アラビア,中国など各地で2次方程式が研究されていました.
 ここでは,9世紀前半アラビアの数学者アル・フワーリズミ(Al-kwarizmi 780〜850?)が書いた「代数学書」に書かれたものを紹介しましょう.

 x などの文字の使用がまだ知られていなかったその当時,アル・フワーリズミは,問題も解き方もすべて記号を使わずに,通常の言葉を使って説明しているが,図の助けを借りている.
 「ある数の平方に21を加えた和が,もとの数の10倍に等しい.もとの数はいくらか.」
 アル・フワーリズミはこの問題を,右のような図に表している.
 正方形 ABED は未知数 x の平方,長方形 CDEF は面積が21とすると,AC=10になる.AC の中点を M として,正方形 MNLC を作ると,図のの面積は52−21=4=22となり,求める数 x は,5−2=3となることがわかる.図を使って解く場合は,1つ1つの問題によって図のかき方も考えなければならない.また,2次方程式には解が2つあるが,負の数の解は図では見つからない.



←方程式に書くと,
 x2+21=10x
 x2−10x+21=0
 (x−3)(x−7)=0
 x=3,7

←DM=5−x
 FL=5−x

←上の図では,x =7
 は表せていない.