数学切り抜き帳
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長方形の足し算
桜花学園大学教授
岩井 齊良
 2つの長方形を変形して1つの長方形に作り変えることを考えよう.
 2つの長方形を次の図のように並べる.


 それぞれの高さ(ここでは縦の長さと呼ばないで高さと呼ぶ)を h1,h2 とする.
 簡単に処理できるのは
         h2<h1<h2
の場合である.
 この場合は次のように補助線を引く.


 中央上の三角形と同じ三角形を左下部分に作る.


 とマークした線分の長さが等しくなるように左下の三角形を決めればよい.
 とマークした線分の長さも等しい.
 2つの三角形を右上に平行移動して1つの長方形が出来上がる.


 この図がここまでの手順の全てを物語っている.
 上では長方形の高さを高い方にそろえたが,低い方にそろえることもできる.
 まず,の長さを同じにとり補助線を引く.


 後の手順は次の図に示すとおりである.


 ここまでは h2<h1<h2 という条件で変形した.
 高さが2倍以上違う場合は次のようにすればよい.


このように,長方形を高さの低い方にそろえるのは簡単である.
 高い方にそろえることもできる.


 以上により,2つの長方形を合わせて1つの長方形に変形できることが分かった.
 2つを1つにできるのだから,長方形がいくつあってもそれらを合体して1つの長方形に作り変えることができる.
 上の変形で注目して欲しいのは,

     図形の移動は平行移動だけ

であることである.
 回転や線対称の移動は使っていない.